強かった川﨑春花
安定したショットで3日目までノーボギーのプレーで4打のリードを築いた川﨑選手。最終日は同学年で3日目までショットが好調で、パットさえ決まればビッグスコアがでそうな尾関彩美悠、同じく同学年で今季は苦しい前半戦を過ごしたものの、今大会で復調の兆しを見せている櫻井心那選手とのラウンドになりました。

「ミネベアミツミレディス」で2年ぶりのツアー通算3勝目を飾った川崎春花
1番ホールで3パットのボギーとし、ノーボギーの記録は途絶えましたが、2番からも安定したショットとパットで終始落ち着いてプレー。集中力の高さは印象的でした。何度もピンチのパットを決め、17番で値千金のバーディを奪い、リードを広げ最終18番へと向かいます。
18番ホールはフェアウェイ右サイドに入れてはいけない深いバンカーが並ぶので、川﨑選手が入った左のラフは想定内。そこからフェアウェイウッドでピン奥のカラーに運び、パターで寄せると短いウィニングパットを決め、2年ぶりの優勝を手にしました。
優勝会見で「ミスショットも多かった」といい、ショットに関しては「良かったわけではないです。まだまだ」と話していましたが、今週課題として取り組んだ「目の前の一打に集中することをやり通せたこと、これからも続けたい」と優勝を手繰り寄せた要因を話してくれました。
「この2年は長かった。涙する日々を見ていたので」と父・太郎さんは話します。ルーキーイヤーにあたる22年に「日本女子プロゴルフ選手権」と「マスターズGCレディス」で複数回優勝を挙げましたが、23年はポイントランク48位で終え、今季も7度の予選落ちを経験していました。

スウィングとパットの改善に取り組み辛く長かった日々を糧に今季初優勝を飾った
「人前でゴルフをするのが怖かった」というくらいショットも荒れ、気持ちも落ち込んでいたようです。太郎さん曰く「芯の強い子」という川﨑選手は、試行錯誤の中でクラブを優勝したときのセッティングに戻し、悪くなった原因をスウィングに定め、取り組み続けていました。「インに引きすぎていたテークバックをアウトに上げトップを高くするイメージ」へと改善し、ショットが復調してきていたといいます。
3週前の「ニチレイレディス」からパッティングのスタイルをそれまでの順手グリップからクロスハンドグリップに変更。右手が悪さをしてパンチが入っていたといい、「クロスハンドにしたら手首を使わなくなって距離感が合うようになった」と教えてくれました。

3週前の「ニチレイレディス」からクロスハンドグリップに持ち替えていた
敗れはしましたが2位で終えた櫻井選手も、今季の不調から脱却しつつあります。「4打差はありましたが優勝争いの中で戻ってきた」とラウンド後の囲み会見で話しました。プレー中の顔つきも昨年の良かった頃に戻り、後半戦の活躍が期待されます。
この後1週間のオープンウィークを挟んで福岡県に舞台を移し「大東建託・いい部屋ネットレディス」が開催されます。強い川﨑選手、復調した櫻井選手が戻って来たことで女子ツアーは益々、群雄割拠の様相を呈して来ています。次はどんなヒロインが誕生するのでしょうか。引き続き注目していきましょう。
PHOTO/Hiroaki Arihara