「富士通レディース」で今季初優勝を飾った山下美夢有。最後まで安定した総合力の高さを見せたスウィングをみんなのゴルフダイジェスト特派記者でプロゴルファーの中村修が解説。

絶対女王の山下美夢有選手が、ついに今季初勝利を挙げ、出場19試合で実に7度の2位(タイを含む)というシルバーコレクターとして過ごしてきたトンネルを抜け出しました。

昨季の同時期までは26試合に出場していましが、今季はオリンピック出場もあり19試合の出場にとどまっています。それでもポイントランク2位を維持して来れたのは、総合力の高さに基づいた安定感が大きな理由でしょう。

画像: 古江彩佳とプレーオフの末、今季初優勝を飾った山下美夢有(写真/有原裕晶)

古江彩佳とプレーオフの末、今季初優勝を飾った山下美夢有(写真/有原裕晶)

ここで言う総合力とは、ショットの調子は今一つでもそれ以上悪化させない修正力、スコアメークに重要なアプローチやパットの技術、コースマネジメント、メンタル、体のコンディション、オリンピック出場を目指したスケジューリングなどを指しますが、本人だけでなく家族やマネジャー、キャディ、トレーナーなどチーム力の高さにあったと考えます。

ゴルフは個人競技ではありますが、選手を支えるチームの存在があればこそ。それぞれのメンバーが自分の仕事をしっかりとこなすことで選手もプレーに集中できるというもの。もっと言えばスポンサーやファン、試合を開催する主催者や運営するボランティアまでのトーナメントをサポートする大勢のメンバーの応援までもを力に変えて、頑張って来たからに違いありません。

スウィングをじっくり見てみましょう。アドレスではオーソドックスなスクエアグリップで握り、両ひじを内側に軽く絞って胸の前から手元を外さずにテークバックしていきます。上体を大きく揺さぶることなく、重心移動はスタンス幅の中で収まり、クセがないことが特徴と言えます。

画像: 画像A オーソドックスなスクエアグリップで握り、手元を胸の前から外さないテークバック(写真/大澤進二)

画像A オーソドックスなスクエアグリップで握り、手元を胸の前から外さないテークバック(写真/大澤進二)

後方からの画像を見ると、アドレスでは肩(肩甲骨)を下げ、フェースを開かずにボールに向けたま始動しています(画像B)。そうすることによって開いて閉じるタイプと比べるとフェース管理はシンプルになります。

画像: 画像B 肩を下げ背筋を伸ばしたアドレスからフェースを開かずに始動する(写真/田中宏幸)

画像B 肩を下げ背筋を伸ばしたアドレスからフェースを開かずに始動する(写真/田中宏幸)

ダウンスウィング以降を見ても山下選手のスウィングはとてもシンプルです。足の使い方も右ひざが前に出ることなく、内側に内旋するように使い、左ひざはタイミング良く伸ばされ骨盤をターンさせています。

練習場ではコーチを務める父・勝臣さんとスマホを使ってリモートでチェックを受ける様子を見ていました。スウィングチェックする手腕は疑いの余地はありませんが、スウィングだけでなくプロとしてのメンタリティも指導していることでしょう。

画像: 右ひざが前に出ずに内側に内旋させる(写真/田中宏幸)

右ひざが前に出ずに内側に内旋させる(写真/田中宏幸)

年末の米女子ツアーのQシリーズ(予選会)を受け突破するためにもチームの力を発揮することでしょう。

竹田麗央選手との女王争いも益々楽しみになって来ました。引き続き注目していきましょう。

This article is a sponsored article by
''.