
試打・解説/小林大介プロ
地元である横須賀の湘南衣笠ゴルフで多くのアマチュアにレッスンを行う。クラブ選びの際のポイントは「1にやさしさ、2に打ちやすさ」と豪語する。

試打/平均スコア95の今井翔平さん
現在、アイアンの買い替えを検討中。性能ももちろん大事にしているが、構えた時の見た目も重要視したいこだわり派。
前作の進化版が「TYPE/S」
GD インプレス ドライブスター アイアンの新モデルは「TYPE/S」と「TYPE/D」の2つにわかれました。この2つ、大きく違う点はどこでしょうか?
小林 「TYPE/S」は前モデルの進化版という印象です。構えた際の顔の雰囲気、打ち出し球の感じが似ています。前のモデルが気に入っていてさらに新しくしたいという人は、「TYPE/S」のほうが違和感なく扱えそうですね。
GD 「TYPE/D」の特徴はどこですか?
小林 「D」はドローの意だと思いますが、その名の通りつかまりがいい! 僕はこっち推しです。

ヤマハ インプレス ドライブスターのTYPE/DとTYPE/Sについて語る小林プロ(左)と今井さん(右)
GD 決めるの早いですね……。それぞれについて、もう少し詳しく教えてください。後継モデルっぽさがあるという「TYPE/S」ですが、これは前モデルからどこが進化しているのでしょうか?
小林 「TYPE/D」ほどではないですが、こちらも前作に比べてボールをつかまえやすい。これはヘッド形状でいえばフェース長(横の長さ)が短くなったことによる、フェースの返りやすさが増したからです。ヘッドが小ぶりになったぶん、振りやすさも良いように感じます。あとはソール幅が広くなっているので振っていて安心感がありますね。
GD 打ち出した球の感じも似ているというのはどういうことですか?
小林 つかまりすぎることがなく、ターゲットに対して真っすぐ打ち出していける感じがします。それでいて前作より「TYPE/S」のほうが高さが出やすいですね。前作と比べるとわかるのがネックの短さです。また、内部構造に目を向ければ、前作が7Iで46gだったタングステンウェイトが「TYPE/S」では77gと31gも増えており、これらの効果による低重心化をした恩恵だと思います。

両モデルともフェース長が短くなっているため、フェースが返りやすく球をつかまえやすい
GD 逆に変わらない部分はありますか?
小林 前モデルのユーザーからすると、構えた際に受ける印象や打感といった「変わってもらっちゃ困る」という部分はしっかり受け継がれています。その点が「TYPE/S」が後継モデルっぽいと言った点です。と言うか、さすがヤマハだなって感じですね。アベレージゴルファーにも扱いやすい機能的な部分を備えつつ、顔の印象はボテッとさせない。いやー、いいですね!
つかまりに特化した「TYPE/D」
GD そんな「TYPE/S」よりさらにつかまりがよいという「TYPE/D」ですが、こちらの特徴を詳しく聞かせてください。
小林 「TYPE/D」は重心を下げるためにホーゼルを短くしているので実際よりコンパクトに見え、つかまりがいいイメージがあります。それでいてトップブレードを厚くしているので、構えた際の安心感があります。

TYPE/Dのほうがトップブレードが厚いから、見た目から安心感が得られる
GD 確かにヘッドは小ぶりに見えますが、構えて難しいという印象は受けないですね。つかまりやすい順では①「TYPE/D」→②「TYPE/S」→③前モデルということでしょうか。
小林 そうですね。なので基本は、ボールをよりつかまえたい人は「TYPE/D」。そもそもボールはつかまえられており、逆に左に引っかかるイメージを消したいという人は「TYPE/S」という選び方でよいと思います。

芝生の上から試打をする小林プロ
GD 今回試打した「TYPE/D」には「フジクラ スピーダー NX」のドライブスター専用シャフト(カーボン)が挿されていますが、相性はどうでしょうか?
小林 中調子でクセがなく、とてもいい感じですね。わりと先端側が走るため、ボールがつかまりやすいのはこのシャフトの性能という部分もあるでしょう。この専用シャフトは「TYPE/S」でもラインナップされているので、見た目は「TYPE/S」がいいんだけど、もう少しつかまりが欲しいという人は、このカーボンシャフトを試してみるといいかもしれません。

SPEEDER NX for Yamaha M-425i(中調子)(SR/R)
コースで分かった実践の強さ
GD ここからはアマチュアの今井さんにも加わっていただきコースで打ち比べてもらいます。
小林 今日は結構風が強いんですが、出球が強いですね。特に「TYPE/D」のほうが。
GD 高く上がるので風の影響を受けやすそうですが。
小林 そういった印象はありません。過度にバックスピン量が増えないような設計になっているのでしょう。
今井 高さを出そうとしなくても、かなり上がってくれますね。しかも振り抜きがいい! インパクト後に突っかかる感じがまったくないです。

厚いソールが抜けの良さにつながっている
小林 厚いソールのおかげですね。僕の生徒さんにもいらっしゃるのですが、アマチュアの方はアイアンで高さを出そうとするとあおり打つか、バックスピン量を増やそうとして上からつぶすように打ってしまいます。このアイアンなら、どの番手でも横から払うように打っていけば、クラブが球を上げてくれます。
今井 これくらいソールの幅があれば、冬の芝が薄いような状況でも安心して打てそうですね。あと、傾斜で打った際に打点が散らばってしまったのですが、そこまで距離が落ちていない気がします。僕は構えたときに安心感のある「TYPE/S」がいいかな。

TYPE/D(左)、TYPE/S(右)の断面図。ヘッド後方のタングステンウェイトの大きさからも、やさしく上がる低重心設計は一目瞭然
小林 今井さんはフェースの大きさに安心感を覚えるタイプですね。「TYPE/D」にもグースネックやトップブレードの厚さなど違う面で安心感を与えてくれるポイントがあります。これは好みの問題もあるので、ぜひご自身で構えて比べてほしいと思います。
今井 ラフからも打ってみたんですが、当たり負けしない感じもあります。特に「TYPE/D」のほうで感じました。
小林 ヘッドが若干小さいので抜けやすいんだと思います。また、トップブレードが厚いというのは、打点の位置が高くても当たり負けしないことにつながります。ラフでもこれだけ前に飛んでくれればそもそも力任せに振りにいかないので、ミスヒットも減りそうですね。
どちらのモデルもA、ASまで入れてほしい
今井 両モデルとも7番~PWの4本が基本セットで、あとはそこに別売りのウェッジを足していく感じなんですね。
TYPE/D 7番~PWのセット

TYPE/S 7番~PWセット


ヤマハ インプレス ドライブスター TYPE/D 7Iの顔

ヤマハ インプレス ドライブスター TYPE/D 8Iの顔

ヤマハ インプレス ドライブスター TYPE/D 9Iの顔

ヤマハ インプレス ドライブスター TYPE/D PWの顔

ヤマハ インプレス ドライブスター TYPE/S 7Iの顔

ヤマハ インプレス ドライブスター TYPE/S 8Iの顔

ヤマハ インプレス ドライブスター TYPE/S 9Iの顔

ヤマハ インプレス ドライブスター TYPE/S PWの顔
GD 別売りオプションで5、6番、あとはA、AS、SWがラインナップされてます。
今井 今、ウェッジは50度、54度、58度の3本を入れているのですが、どう揃えたらいいですかね?

ヤマハ インプレス ドライブスター AWの顔

ヤマハ インプレス ドライブスター ASの顔

ヤマハ インプレス ドライブスター SWの顔
小林 「TYPE/S」も「TYPE/D」もPWのロフト角は37度です。ウェッジとの間が空きすぎてしまうので、別売りのA(42度)、場合によってはAS(48度)も入れてほしいです。上のほうの5番、6番はUTとのロフトの兼ね合いで決めればよいと思います。

アイアンセットを揃えたら、流れを作るために別売りのAとASはマストアイテム
今井 AやASでも結構ロフトが立っているんですね。でも構えた感じは見た目がまるっきりウェッジの形状だ。これなら力まず振れるかも。
小林 A以下も、とてもやさしい顔をしていますよね。
今井 確かに。「きっちり100ヤード打とう!」と意気込んで振らなくても、フツーに振ればしっかり高さと距離が出てくれました。

100ヤードでもきっちり狙っていけるウェッジ
小林 ヤマハドライブスターのTYPE/SやTYPE/Dを揃えたなら、オプションのAとASまで足してあげると、100ヤード以内のゴルフも変わってくると思いますよ。ぼくはすっかりファンになってしまいました。
TEXT/SHOTANOW
PHOTO/Yasuo Masuda
THAKS/葉山国際カンツリー倶楽部