
コースでの「場外飛球」、どう対処する?(写真はイメージ)
場外飛球が増えた訳
今回は最近よく耳にする、「場外飛球」についての問題提起をさせて頂きたいと思います。ゴルフ練習場でもネットを越えて場外にポールが飛び出てしまう「場外飛球」は問題になっていると聞きますが、今回は「ゴルフ場での場外飛球」がテーマです。
河川敷のコースや、市街地に近い場所にあるゴルフ場では、近年コース外へボールが飛び出る「場外飛球」が増え、その対策に追われているコースが増えているそうです。
原因としては「クラブやボールの性能が進化し、ゴルファーの飛距離が伸びたこと」とよく言われます。ただ昔と違うのは、ただ距離が伸びたというより「ミスショットでも遠くまで飛ぶようになった」こと。
ドライバーヘッドが大型になり、曲がらなくなったハズなのに、実際には出だしから大きく左右に飛び出す、野球で言う「特大ファール」のようなミスショットを多く見かけるようになりました。
フェースの芯を大きく外れたミスショットならボールのスピードも落ちるのでそれほど遠くまでは飛びませんが、この種の「特大ファール」は当たりが良いのにインパクト時のフェースの向きが合わなかった、というケースが多く、驚くほど大きな幅で曲がっていきます。
これが、今までは、よほどの飛ばし屋じゃないと越えなかった防球ネットを越えていく「場外飛球」が増えた要因だと思われます。
また、昭和の時代ならボールが住宅に飛んで行っても、支配人が菓子折りを持って謝罪に行けば済むといったケースもあったようですが、今の世の中ではそう簡単には済みません。
場外飛球で、事故が起きたら?
ゴルフ場の場外にボールが出てしまって、人や建物などに被害が出てしまった場合、プレーヤーが故意にネット越えを狙った、などのケースでなければ、事故の責任は防球対策をするべきゴルフ場側にあります。
ただ、実際には、どんな打球でも越えないような、とてつもない高さの防球ネットを設置するには、莫大な費用がかかりますし、打球事故の補償が度重なるようになれば、いくら保険があるとは言ってもゴルフ場の経営にも影響が出てしまいます。
実際に行われているゴルフ場側の対策としては、
1 防球ネットを高くする(赤羽GCなど)。
2 ティーグラウンドの位置を変更し、ボールが曲がっても場外に出ない場所からプレーしてもら う(小金井CCなど)。
3 クラブの使用制限をして、場外まで飛ばないクラブでプレーして貰う(茅ヶ崎GL、新東京都民Gなど)。
などが行われています。
1の対策は理想的と言えますが、経営に余裕のあるコース以外では難しいでしょう。問題は、2と3てす。
2のティーの変更は、ホールの攻略ルートを無視した、とんでもない場所に移されるケースや、パー4がパー3に変更され、ドライバーを打てなくさせたりして、そのコースの元々のレイアウトでプレーを楽しむことが出来なくなってしまいます。
3の使用クラブ制限では本来ドライバーで打てるホールを、例えば7番アイアン以下と決められ、広いフェアウェイにショートアイアンで打つという、味気ないプレーを余儀なくされることになります。
このように「場外飛球」によって、そのコース本来のプレーが出来なくなるというゴルファーにとっての愉しみが奪われる事態が起ってしまっているのです。
また、伝統あるコースで設計家の意図した攻略ルートを無視したティーからプレーさせられるという事は、そのゴルフ場の持つ魅力を半減させることになってしまいます。
ゴルファー側としても対策を!
それではゴルファーとしてはどうすれば良いのでしょう? まずは、自分が「特大ファール」を打つ可能性があるかどうか、しっかり自覚すること。
そして、「民家があるので要注意」などという看板や、防球ネットの有無を確認し、そうした危険が予想されるホールでは、
1 ドライバーの使用を避ける。
2 ドライバーを使う場合でも、ティアップを低くして高いボールが出にくくなる工夫をする。
などの対策を実行すると良いと思います。
ゴルフコースに来たら、「思い切りドライバーを振り回して遠くまでボールを飛ばす快感を味わいたい」という気持ちはよく分かります。また、たとえボールが出てしまってもほとんどの場合、プレーヤーが賠償を求められるケースは少ないようです。
それでもゴルフ場や、ゴルフというゲームの立場を悪くしないためにも、「場外飛球」の可能性があるホールでは、飛ばしたい欲望を抑えて安全なクラブでプレーする。
そんな心がけをして頂けたらと思います。