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近年、素材の進化によってパフォーマンスも上がり、40グラム台の軽量シャフトに注目が集まっています。今回のNX バイオレットにも歴代スピーダーNX同様40グラム台はラインナップされていますが、NX バイオレットの40グラム台はどのように仕上がっているか検証してみたいと思います。
NX バイオレット40(S)※シャフト振動数247CPM
40Sは53グラムあるため、軽量シャフトらしさはそれほど感じず50グラム台と同じ印象ですが、バット径は15.15(※50グラムSフレックスは15.30)と細くなっています。全体的にシャフト剛性を落としてあると思いますが、しっかりとしたシャフトの印象は変わりません。
強めの切り返しで手元側がもたつく感覚もなく、シャフト全体に張りがあってレスポンスもいいので、一体感のある挙動でスピード感があります。しっかりと振っても振り遅れはなく、強めのインパクトでも当り負け感はありません。バックスピン量も少なめです。

NX バイオレット 40グラム台はどのような仕上がりか、フレックスごとに検証
大慣性モーメントヘッッドが全盛期時代の中で、ヘッドスピードダウンの要素を見事に払拭した設計のシャフトです。アスリートゴルファーをターゲットに設計してあるイメージの仕上がりですので、僕がイメージする40Sよりもしっかりとしています。硬く感じる方もいると思いますが、NX バイオレットのシャフト設計を体感するにはこのフレックスを試すと理解しやすいと思います。
NX バイオレット40(SR)※シャフト振動数239CPM
SRは51グラムで50SRと5グラムしか違いませんが、フィーリングは結構違います。シャフト各部分の剛性が落ちていて、スウィング中も扱いやすく、振り抜き感が気持ち良いフレックスです。Sフレックスより中間部のしなり量は多くなりますが、しなり戻りはスピード感があり、インパクト時にヘッドが戻ってきてくれて、しっかりとボールをとらえてくれます。
このクラスのシャフトとしてはアスリート要素のですが、軽量シャフトのメリットの振り抜きやすさと、NX バイオレットの持つボールをしっかりととらえて前に行くというパフォーマンスを体感しやすいバランスの良いフレックスです。
NX バイオレット40(R)※シャフト振動数232CPM
40Rは49.5グラムと40グラム台。Rフレックスでも手元側と先端部分の剛性は上げてありますので、頼りなさはありません。シャフトのしなるポイントはSRフレックスに比べて中間部分からやや先にあるように感じ、先端部分のスピード感を生み出しているのがわかります。
他のフレックス同様、インパクト時に振り遅れはありません。しなり戻りのタイミングも良く、インパクトで打点がばらつかず、しっかりボールを押し出すパワーがあります。バックスピン量も少なめですので、メーカー純正シャフトをお使いで、ボールが吹き上がってランが出ないという方にオススメです。リシャフトする際はRフレックスを基準に考えるのが良いでしょう。
NX バイオレット40(R2)※シャフト振動数220CPM
R2フレックスは48グラムと最も軽量で軟らかいフレックスですが、しっかりした印象です。R2のフレックスのイメージより鋭く動き、シャープな振り心地。スウィング中にスピーダーらしい走り感もありますし、打ち出し角度も上がり、ボールも掴まります。
先端部分の剛性感はR2フレックスでもNX バイオレットそのものです。最近の大慣性モーメントヘッドでも当り負けることはないでしょう。軽く軟らかいイメージではなく、しっかりとした鋭さがあるシャープなシャフトです。
最近ヘッドスピードが落ちてきた方で「振り抜きのスピード感」と「ボールをとらえて飛距離アップする」軽量シャフトを求めている方にオススメのフレックスです。軽量シャフトは振りやすいけれど飛距離が出ないと思っている方に試して頂きたいですね。
NX バイオレットとフェアウェイウッドとのマッチングは?
NXシリーズには歴代FW専用モデルの設定はなく、NX バイオレットもFWに装着する場合はドライバー用を装着することになります。シャフトによってはFWに装着するとドライバーで感じていたイメージと全く違うイメージになることもあります。NX バイオレットをFWに装着したクラブを打ってみたので参考にして頂ければと思います。
テストクラブはテーラーメイド「ステルス2 プラス」の 5番ウッドでチップを0.5インチカットして装着したもの。(フレックスはNX バイオレット60S)
全体的に張り感があるNX バイオレットですので、5番ウッドのレングスになるとバット側のシャフトカット量が多くなるため、硬く感じるのでは? と思いましたが、不思議と手元側の硬さが増すことなく違和感はありませんでした。

FWにバイオレットを装着することで先はあまり動かないものの、絶妙にボールを拾える印象だと吉田氏
手元側の剛性も高く先端部分のトルクも抑えられていますので、ドライバーのフィーリングが合う人には流れが揃い、違和感なく振れるマッチングになるでしょう。しなり戻りのスピード感のわりに先端部分の動きは少ないですが、絶妙なボールの拾い感もありますので、FWであまり先の動くシャフトが苦手な方にもNX バイオレットは良いと思います。
シャフトの重量はドライバーと同じでも良いですし、ロフトのあるFWならドライバーよりも一つ上の重量のシャフトを入れても良いでしょう。また、ドライバー用シャフトをFWに装着する際に「チップカットは必要かどうか?」ですが、必ずしも必要ではありません。ただし、装着するヘッドのシャフト挿入ミリ数に応じて必要な場合は、5番ウッドで0.5インチを目安にするのが良いでしょう。
初代スピーダーNX ブルーと比較
初代「NX ブルー」と後継モデルに当たる「NX バイオレット」の違いを一言で表すと「鋭さが増している」という印象です。
初代NX ブルーはタイミングの取りやすい中調子の振りやすさを重視したシャフトながら、VTC(VARIABLE TORQUE CORE)テクノロジー(部分トルク制御)を3次元シミュレーション設計で、手元と先端のトルクを引き締めてあるため、しっかりとボールをとらえながら打ち出し角度もキープするシャフトに仕上がっていました。

NX「ブルー」と「バイオレット」を比較試打
最新作「NX バイオレット」はVTCもさらにブラッシュアップさせています。よってNX ブルーよりもシャフトに張り感があり、スウィング中のシャフト挙動に一体感があります。DHXテクノロジーがシャフトの無駄な変形を抑えているのもあり、とにかく鋭さが増している印象です。

「DHX」とはヘッドスピードアップを実現する新テクノロジー。90度と45度以外の角度のシートで「第2バイアス層」の全長をいろんな角度で補強している
実際にNX ブルーと比較して打ってみると、NX バイオレットはNX ブルーに比べてシャフト全体の各部分がしっかりして張りがあり、潰れない印象です。切り返し時に「ゆとり」を感じるNXブルーに比べて遊びが少なく、ロートルクでシャフトにスピード感が増していると感じました。
スウィング軌道に対してフェースが開いて当たりにくいのはほぼ一緒ですが、ボールのつかまりはブルーよりもやや抑えられていて、弾道の高さはブルーよりもやや抑えれています。また、バイオレットのほうがバックスピン量は少なく、ボールが前に行く直進性能が増しているイメージです。
個別のスウィングに対しての振りやすさは人それぞれで変わりますが、飛距離性能だけにフォーカスするとNX ブルーよりもNX バイオレットが上回るでしょう。