ベンタスシリーズは2018年の発売以来世界のトッププロを始め多くのアスリートゴルファーに支持されてきたシャフトです。世界中ツアープロはもちろん日本のツアープロのドライバーシャフト使用率も40パーセントを超え、ツアー用シャフトの代表的なブランドとして認知されています。

2024年11月に発売されたフジクラ「24ベンタスレッド」について検証
最初に登場したブルーに加えてレッド(日本未発売)、ブラックをラインナップに追加。その後ブルー、レッド・ブラックにTRシリーズが加わりました。そして2024年4月に「24ベンタス ブルー」、11月に「レッド」と「ブラック」が発売されました。
今回は「24ベンタス レッド」を検証していきたいと思います。
24ベンタスシリーズの最大の特長として挙げられるのが先端部分の”VELOCORE”を更にアップデートしたVELOCORE PLUSテクノロジー。複数の高弾性素材をバイアス層に積層しているVELOCORE PLUSテクノロジーを採用した24シリーズはオフセンターヒット時のヘッドのブレを抑制して安定性がさらにアップしているようです。実際に用意したシャフトを打って検証してみたいと思います。
今回用意したのはこちらのフレックスです。
50グラム台:R、 S
60グラム台:S 、X
弾道コントロールしやすい「24ベンタス レッド(5R)」
※シャフト振動数244CPM
先ずは50グラム台から打ってみましょう。ひと目でベンタスとわかる伝統のデザインにマット塗装のレッドを採用したコスメは派手さを抑え、やや落ち着いた印象です。
早速5Rから打ってみましょう。

「24ベンタス レッド」を検証!シャフト重量は50R・50S共に59.5グラム
しっかりとした手元剛性から中間剛性は歴代ベンタスレッドの流れを感じます。24ベンタスレッドは手元側と中間部の硬度の高さとの剛性差で先端部分に動きを出しているシャフトのため、先端部分は硬く、一般的な先端がはしる中先調子の感じはありません。ワッグルした時に感じた先端部分の動きよりもスウィング時の動きのほうが抑えられています。Rフレックスでも先端部分が大きく動くことはないので、インパクト時にフェースが大きくクローズになることはありません。
実際に打った弾道はややつかまりの良い安定したドローボール。大きなドローボールではなく、落ち際で少し左に入ってくるイメージです。ドロー回転が入っているぶん、バックスピンは少なめですが、極端なロースピンボールではありませんので弾道コントロールしやすいと思います。中先調子ながら打点ブレも感じず、弾道も非常に安定感があるのはVELOCORE PLUSテクノロジーの効果でしょう。
ボールのつかまりを求めるけど、先が走るシャフトではなくシャフトの動きを自分でコントロールしていきたい方に非常に扱いやすいと思います。
ボールを押し込んでくれている「24ベンタス レッド(5S)」
※シャフト振動数255CPM
50グラム台のSフレックスは日本での「24ベンタスレッド」のセールスの約35パーセントを超える人気モデルになります。Sフレックスはどんな感じか試してみましょう。
重量はRフレックス同じ59.5グラムですが、重量感があり、手元側と中間部の硬度が増してしっかりしている印象です。スウィング中もシャフトが部分的にねじれるイメージがないのでスッキリとした一体感のある振り心地。シャフト挙動は中間部よりも先に少し動きがありますが、中先調子シャフトながらRフレックス同様インパクト時にフェースがクローズになるほどの動きは感じません。

VELOCORE PLUSとは複数の高弾性素材をバイアス層に積層することで、ヘッドのねじれを抑制し、優れたボールコントロール性能を実現したフジクラ独自のテクノロジー
Sフレックスは先端部分がボールをとらえる直前にほんの少し飛球線方向にヘッドの動きをアシストしてくれ、ボールを押し込んでくれているようなインパクトイメージです。シャフト先端部分が勝手に走るようなこともなく、フェース面がクローズになるようなこともないので自分のイメージ通りにフェースがしっかりとボールをとらえやすいでしょう。打点のバラつきも少なく、安定感のある弾道が魅力的です。
自身のスウィングでしっかりとボールをつかまえて行きたい方でも左を気にせず安心して振って行くことができるでしょう。
ミートしやすく、ボールをしっかりととらえられる「24ベンタス レッド(6S)」※シャフト振動数258CPM
6Sは5S同様の販売比率を誇る人気のモデルで、重量は65.5グラムでバット径は50グラム台と同じく15.45です。
振ってみると、結構シャフトのフィーリングが違いますね。シャフト重量の差だけなのでしょうか?
50Sを振ったイメージよりもしっとりした重厚なフィーリングです。50Sよりもシャフト自体の動きにスピード感は出ないものの、重厚な加速感があり、安定感があります。またフェースが右を向かずボールを押し込んでいくようなインパクトが更に厚く感じられます。ミートしやすく、フェースでボールをしっかりととらえることができるのでボールスピードも高くなると思います。

50グラム台と比べ、60グラム台はしっとりした重厚なフィーリング
手元剛性の高いシャフトですので、個別のスウィングによって切り返し時にうまく対応できない場合もあると思いますが、ダウンスウィングの切り返しの際にしっかりとシャフトにテンションをかけることができればイメージ通りのシャフトプレーンで振ることができますし、それほどヘッドスピードが速くなくても打てることが実感できるでしょう。
スウィング中にヘッドポジションも感じやすいのでヘッドコントロールしやすく、特に6Sはドローボールのコントロールのしやすさは抜群ですね。シャフトにほんの少しボールのつかまりを求める方でも左に巻き込みすぎることもないので安心して振っていけると思います。
先端部分が走り過ぎない安定感のある「24ベンタス レッド(6X)」
※シャフト振動数269CPM
6Sよりも手元剛性が更にアップしているため切り返し時に硬く感じられ、私のパワー(HS43m/sほど)だとオーバースペックで本来のシャフトパフォーマンスを発揮することはできませんが、先端部分のシャフト挙動やインパクトイメージは6S同様24ベンタスレッドそのもののイメージを感じとることができました。
6Xはフィジカルの強い本来のターゲットの方が打てばそれほど手強さは感じずに振っていけるシャフトだと思います。インパクトで叩いていくハードヒッターよりもインパクトエリアを速いスピードで振り抜いていくハードスウィンガータイプのプレーヤーに合うシャフトだと思います。
先中調子ながら先端部分が走り過ぎない安定したシャフト挙動はドローコントロールはもちろんですが、上級者にはフェードコントロールもしやすいと思います。
フジクラが世界のツアープロからのフィードバックで設計されたツアーレベルの先中調子シャフトの持つパフォーマンスを体感することができるでしょう。打ってみると新しい発見があるはずですので、是非試して頂きたいと思います。
次回は「24ベンタスブラック」を検証していきます。