24年のメルセデス・ランキングを見ると岩井明愛選手が3位(3勝)、千怜選手が5位(3勝)、そして桑木志帆選手が6位(3勝)と、桑木選手にとっては追いつけ追い越せの良いライバルでもある岩井姉妹。桑木選手は初優勝から3勝を挙げ飛躍のシーズンとなりましたが、岩井姉妹は米女子ツアーの最終予選を千怜選手は2位、明愛選手は5位で通過し、米女子ツアーへと駒を進めます。その3人が合同で合宿をすれば、間違いなく良い刺激になるだろうと実現しました。

つかの間のオフで22歳の普通の女の子に戻る瞬間もあった
1月は主にトレーニングを重視する時期でもあるので、温暖で乾季のタイを選び、滞在するホテルは充実したジム施設があることを前提に選択し、ラウンドはホンダLPGAタイランドが開催される「サイアムCC」の3コースを使用しました。

ホンダLPGAタイランドが開催されるサイアムCCオールドコース
ある1日のスケジュールを紹介すると、5時10分にホテルを出発し朝食の後にウォーミングアップ、軽くレンジで練習しスタート。18ホールをスルーでプレーした後にランチを取り、練習後にホテルに帰宅。そこから2時間のトレーニングをみっちり行った後にみんなで夕食。
コースはバミューダ芝のグリーンで硬く、スピードも出ていました。アンジュレーションの大きなグリーンは、ピン位置によってグリーンを外しても寄せられるエリアが限られていて一般的な日本のコースよりも難しく、ショットの精度、アプローチのバリエーションが求められます。特に初日にプレーしたサイアムCCのローリングヒルズは、距離の設定も長くグリーンには大きな傾斜と難しいコースに手を焼きました。
トレーニングはみっちりと負荷をかけたているので筋肉痛が残りながらのラウンドですが、桑木選手は初めてのタイでのゴルフは、日を追うごとにアジャストできる対応力を見せてくれました。岩井姉妹は「ホンダLPGAタイランド」に出場しているので慣れたものですが、間近で見る二人のプレーは飛距離とショット力、パットはどれも相変わらずの一級品。2月のLPGA「ファウンダースカップ」、その次に「ホンダLPGAタイランド」と続きますので、楽しみでしかありません。

サイアムCCでラウンド後にアプローチ合戦で熱い戦いを繰り広げた
ラウンド後は三人でアプローチ合戦をやり、負けた人はバーピージャンプ10回と筋肉痛の体にさらに負荷をかける罰ゲームをやったりしました。
ホテルに戻るとジムでのトレーニングが待っています。岩井チームは卒業した武蔵丘短大で教鞭を取り日本オリンピック委員強化スタッフでもある荒川崇先生が、桑木チームは理学療法士で稲見萌寧のオリンピック銀メダルをサポートした小楠和寿トレーナーが担当します。

お互いのチームのトレーニングを体験し刺激を与えあった
どちらも基本的には体幹を鍛えるトレーニングを重視しながらも、岩井チームはフリーウェイトを使ったベンチプレス、スクワットや懸垂を、桑木チームはよりパーソナライズされたトレーニングを行っています。お互いにどんなトレーニングをしているのか興味があったので、荒川先生、小楠トレーナーの指導の元で互いのトレーニングに取り組んでいました。新たな発見があったのか、たとえば岩井チームが桑木の側屈を入れた腹斜筋のトレーニングを取り入れるなど、互いに貪欲さも見せていました。

懸垂10回は楽にクリアする岩井明愛
岩井チームは荒川先生のトレーニングを在学中から受けているので既に3年以上取り組んでいることもあり、明愛選手は懸垂を10回、千怜選手は8回は楽にクリアします。その後に補助を受けながら残った力を追い込んでさらに3回と、かなりハードに負荷をかけていました。
飛距離や安定したスウィングに体力は必要ですが、1年間戦うためにはしっかりとした基礎体力をつけることでケガや故障のリスクも減らすことにつながります。三人ともトレーニングの途中でボオーっとするくらい追い込む姿に、1ミリでも限界を越える成功体験を積み重ねることの大切さを肌で感じました。
午前中にトレーニングした後に海に出かけるオフ日も作り、離島まで高速船で出かけバナナボートを楽しむと普通の22歳の女の子に戻った瞬間に立ち会うことができました。合宿中のほんの少しの時間でしたがリフレッシュとなり、翌日からまたハードなトレーニングに励みました。

ハードなトレーニングの合間に体験した「バナナボートが一番楽しかった!」と口を揃えた
12月はスポンサー関連のイベントが多いので本格的な始動は年明けから。まずはトレーニングをスタートし、1月下旬から2月は打ち込みやショートゲーム、最後にラウンドを重ねて開幕戦へと向かいます。それぞれのステージに向かってもうシーズンは始まっています。