
PGAツアー初戦でセンターシャフト系パターにチェンジした松山英樹(Photo/Blue Sky Photos)
センターシャフトはパッティングの原点に戻れる
みんゴル取材班(以下、み):最近ツアープロの間でセンターシャフトのパターが流行っています。松山英樹も今年のPGAツアーの初戦でセンターシャフトのパターにチェンジしてバーディを量産し、PGAツアー最少アンダー記録で優勝しました。センターシャフトを使うメリットを教えてください。
宮城:プロがセンターシャフトを使うのはパッティングの原点に戻ることができるからでしょう。身近な例でわかりやすいのが石川遼です。彼は昔からL字マレットの9番とセンターシャフトの2本を持っていて、パターの調子のいいときはL字マレットを使いますが、悪くなるとセンターシャフトでリセットしています。
み:リセットですか。原点に戻るとは具体的にどういうことでしょう。
宮城:ひとつは打点です。L字マレットは難しいイメージがありますが、実はネックがヒールについているため左右の慣性モーメントはネオマレット並みの大きさです。昔の話ですが、当時ジャンボさんの使っていた「IMG5」と流行り始めの「2ボール」の数値を試しに測ってみたら「IMG5」のほうが大きく、ジャンボさんがよく「真ん中からヒールなら転がりが同じだからどこで打っても入る」と話していた理由がわかりました。これに対してセンターシャフトはネオマレットでも芯が1点しかないので、そこを外せばミスになります。
み:やさしいパターを使ってアバウトになった打点の感覚を、シビアなセンターシャフトで戻すわけですね。
宮城:もうひとつ、センターシャフトの最大のメリットはヘッドが消えることです。
え:え、消える?
宮城:実際にヘッドが消えたり、見えなくなったりするわけではありません。シャフトの先端がスウィンググアークに沿って動くセンターシャフトは、ストローク中、ヘッドではなくシャフトに意識が集中するようになります。それをヘッドが消えると表現するプロがいます。反対にセンターシャフト以外のパターはどうしてもヘッドの動きに意識が向いてしまいます。
み:シャフトに意識が集中するとどうなりますか?
宮城:シャフトがアークに沿って動き、それによってフェースが自然に開閉するのがパターストロークの基本です。センターシャフトを使うことで、自分で必要以上にフェースローテーションを使ったり、ヘッドを無理に真っすぐ動かそうとしたり、といった余計なことをしなくなります。