
スコットランドなどではプレー後の「19番ホール」で仲間と語り合うのが一般的(写真はイメージ)
豊かな「19番ホール」をゴルフライフに取り入れたい
今回は、ゴルフとお酒がテーマです。
スポーツ中の飲酒? と眉をひそめる方もいらっしゃるかも知れませんが、ゴルフは古くから飲酒しながら行われていました。よく引き合いに出されるのは、スコットランドの寒い地方に、プレー中の暖を取るため、ポケットにウイスキーを忍ばせてプレーしていたというもの。
日本でもゴルフ場のクラブハウスのレストランでは昼食時はもちろん、スタート前の朝の時間からアルコールを提供していますし、コース内の売店でも手に入れることが出来ます。また飲料の持ち込みを規制しているコースはほとんど無いため、缶ビールや缶チューハイなどを持ち込むことも出来ます。
お酒好きのゴルファーにとってはありがたい状況だと思いますが、最近ちょっと気になるのが、「ゴルフ場の居酒屋化」です。朝から大量のアルコールを持ち込み、スタート前にまず乾杯。数ホールも進めば、テンションが上がってきて、自ずと大声での会話になってゆき、周囲への配慮も怠りがちになって、ひいてはマナー違反やスロープレーに繋がることも。
そしてその狂騒はレストランでも続きます。これでは、果たしてゴルフに来ているのか、お酒を呑みに来ているのか、疑問に思ってしまいます。
こうしたゴルファーが目立つようになったのは、コロナ禍の期間でした。街中では飲食店も営業自粛。飲み会も自粛で、家飲み以外、飲酒の場がなく、ゴルフ場は仲間と公然と飲酒出来る場所として珍重(?)されたという時期がありました。
この流れがそのまま居座ってしまった感もありますが、プレー中のアルコールはあくまでアクセント。飲酒も節度を持って。ゴルフ場はボールを曲げた時に,危険を知らせる「フォアー」の掛け声以外、大声を出す場所ではありません。周囲に迷惑をかけるほどの大騒ぎは慎んで頂きたいものです。
一方、ゴルフの大切な文化として再認識して頂きたいのが、「19番ホール」です。19番ホールとは、プレー後に利用するバーやレストランのこと。
スコットランドなど、本場のゴルフでは18ホールのプレー後、仲間とその日のプレー談義に花を咲かせる「19番ホール」も含めたものが、「ゴルフ」だったのでしょう。プレー後に、その日のプレーを振り返って仲間と語り合う時間は確かに愉しいものです。
日本でも古くからあるゴルフ場では、そうしたメンバーのためにレストランを夕方まで営業しているコースが多くありました。ボドルキープの棚が用意されているコースもよく見かけましたね。
もちろん、飲酒運転は出来ませんから、クラブバスを利用したり、運転手を連れてきたりと19番ホールのために車の運転をしないで訪れる、というゴルファーも多かったと思います。もちろん、甘党の方向けのお茶やスイーツも充実していました。
そう、昔のゴルファーには、シャワーを浴びたらレストランに集まり、お茶やお酒で喉を潤し、その日のプレー談義を愉しむ時間を共有してから解散、という流れがありましたね。最近は、そうしたニーズが減って、ゴルフ場のほうも効率化のため、時短営業のレストランが増えてきました。
でも「19番ホール」の場所はゴルフ場のレストランでなくても良いのです。最近よく見かけるのが、コース近くのコンビニで、アイスやスナックを齧りながら談笑しているゴルファー達です。
あれも「19番ホール」の新たな形なのかも知れません。そういえばコンビニのイートインコーナーでコンペの表彰式をやっているのを見たこともあります。私が毎年参加している年末コンペでは、「車での来場禁止」という不文律があって、19番ホールも含めた参加が、デフォルトになっていました。
プレー後に一旦帰宅してから近所のお店に場所を移しての「19番ホール」というパターンもあります。この場合は、参加者がある程度近所に住んでいる必要がありますが、同じマンション内でのコンペなどではよく行われているようですね。
いずれにせよ、プレー中のお酒はほどほどにしておいて、その日のプレーを肴にした19番ホールをゆっくり愉しむ。そんな豊かな「19番ホール」をゴルフライフに取り入れて頂けたらと思います。