スウィング動画をAIによる3D解析技術でデータ化することができる、コーチ専用のゴルフスウィング解析アプリ「スポーツボックスAI」。このアプリを活用しているゴルフコーチ・北野達郎に、ザ・プレーヤーズ選手権を制したローリー・マキロイのスウィングを解説してもらった。

こんにちは。SPORTSBOX AI 3Dスタッフコーチの北野 達郎です。今回はPGAツアーで「第5のメジャー」と位置付けされている「ザ・プレーヤーズ選手権」に優勝しましたローリー・マキロイのドライバースウィングをスポーツボックスのデータと共に解説させていただきます。今回は後方アングルからのスウィング分析です。後方アングルから分析するにあたり、10年前と現在のマキロイを比較しました。

主な違いは、以下の3点です。

①トップは現在の方がよりフラットで、手の奥行きが深い
②ダウンスウィングでの手のループが現在の方が少ない
③現在の方が、よりインサイドに振り抜いている

この違いは、昔はドローヒッターだったマキロイがフェードを多用するようになった現在で変わった点です。それでは早速チェックしてみましょう!

現在の方がトップはフラットで、手の奥行きが深い

まず最初はトップを比較します。スポーツボックスのデータ項目「Hand Thrust」は、両手がアドレスの位置から前後にどれだけ移動したか? を表します。(手の軌道の前後の移動距離。プラスはボール側へ、マイナスは背中側へ)

マキロイの昔と現在を比較すると、昔はマイナス42.6cmに対して、現在はマイナス51.5cmと、現在の方がより両手が背中側の深い位置まで移動しています。

画像: 画像①トップの比較 昔より現在の方がトップの手の位置(デプス)が深く、フラットなトップになっている

画像①トップの比較 昔より現在の方がトップの手の位置(デプス)が深く、フラットなトップになっている

スポーツボックスAIが独自で調査した、トップの手の位置の男子ツアープロレンジは、マイナス32cm〜マイナス50.8cmですので、ツアー平均と比較しても現在のほうがより手の位置が深くなり、フラットなトップになったと言えます。そして興味深いのは、この手の位置が深くなったことがマキロイの場合は、ドローではなくフェードを打つための変化であることです。その理由をダウンスウィングで解説します。

フラットなトップで、昔より「ハンドパスのループ」が少なくなった

続いてダウンスウィングを比較しましょう。P5(左腕が地面と平行)の位置での手の位置は、昔がマイナス37.2cm、現在がマイナス33.6cmと、現在のほうがより手がボール側に戻っていて、昔のほうが手はより背中側に残っていることがわかります。

画像: 画像②ダウンスウィングの比較/現在のほうが手はボール側に戻っていて、ハンドパスのループが少なくなっている

画像②ダウンスウィングの比較/現在のほうが手はボール側に戻っていて、ハンドパスのループが少なくなっている

ここで、「ハンドパス(手の軌道)のループ」に注目します。昔はアップライトなトップから、切り返しで手を背中側に残しながらクラブを下ろしていたので、ハンドパスのループが大きかったのですが、現在はトップがフラットになったぶん、切り返しで手は少しボール側に動くようになり、その結果、ハンドパスのループが小さくなりました。ハンドパスのループが小さくなると、手の動きの再現性が高まり、スウィングはインサイドアウトではなく、インサイドインに振れるようになります。これがトップがフラットになっても、ドローではなくフェードを打つようになった要因と言えます。

昔はインサイドアウト、今はインサイドインのフォロースルー

最後にフォロースルー(P8・クラブが地面と平行の位置)を見てみましょう。まず手の位置は昔がマイナス0.6cm、現在がマイナス12.9cmで、現在のほうが手はより背中側に抜けているのがわかります。

画像: 画像③フォロースルー/昔は手とクラブがアウトサイドに抜けているのに対し、現在のほうが手とクラブはインサイドに振り抜いている

画像③フォロースルー/昔は手とクラブがアウトサイドに抜けているのに対し、現在のほうが手とクラブはインサイドに振り抜いている

そして、もう1つのデータ項目「Club-Hand Gap」は、手とクラブヘッドの前後差(マイナスはクラブヘッドが手より背中側、プラスはクラブヘッドが手よりボール側)を表しますが、昔は手とクラブの前後差がプラス42.2cmで、手よりクラブヘッドが右に見えていますが、今はプラス15.5cmで、手にクラブヘッドが隠れているのがわかります。

これでわかることは、昔はアップライトなトップ、手のループが大きいダウンスウィングからインサイドアウトに振りぬくフォロースルーだったのに対して、現在はフラットなトップ、手のループが小さいダウンスウィングからインサイドインに振り抜くフォロースルーに変わっていることです。この手とクラブの軌道の変化は、スウィング軌道をインサイドアウトからインサイドインに変えますので、ドローからフェードへの球筋の変化と関連していると言えますね!

今回はローリー・マキロイの後方からのスウィングを解説させて頂きました。今回の優勝で今季PGAツアー2勝目を挙げたマキロイ。悲願のキャリアグランドスラムに向けて、来月のマスターズでどんなプレーを見せてくれるのか楽しみです!

北野達郎のスウィング分析はこちらも!

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