2022年の全米女子アマを制し、翌23年にプロ入りして、今季から米女子ツアー参戦を決めている馬場咲希。そんな彼女を中学1年から指導してきたのが、坂詰和久コーチ(ニックネームは、わきゅう)である。今回は、馬場プロの他にも多くのジュニアを育ててきた坂詰コーチに、ジュニアの育成法について聞いていく。

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小・中学生はのびのびとやってほしい

――坂詰コーチは、馬場プロ以外にも、宮田成華プロや、23年の日本アマを制した中野麟太朗さん(早稲田大学)など、多くのジュニアゴルファーを育ててきたと伺いました。何か、秘訣のようなものはあるんですか?

坂詰 いやぁ、そんなものはありませんよ。ボクは上達の手助けをしてきただけで、選手たちが優秀なんです。中野くんなどもコロナ禍でなかなか会えなかったのに、ボクが教えたことをしっかり咀嚼して、自分で考えて結果につなげてくれましたから。

――でも、それだけ結果を出していると、ジュニアゴルファーの親御さんたちは、その理由を知りたくなると思うのですが、馬場プロにはどんな指導をしてきたのでしょう?

坂詰 特別なことは教えてないですよ。中学時代に教えたのはシャドースウィングと素振りのやり方くらいで、好きに打たせていただけです。

――子供の頃から英才教育をしてきたわけじゃないんですね。

坂詰 まったくないですね。中学生に、プロに教えるような難しいことを教えても理解できませんし。小・中学生は、スコアを気にせず、型にはめず、気持ちよく振って、遠くに飛ばしてゴルフを楽しむことのほうが大切だと思うんです。
 
ちなみにボク、小学生以下のジュニアは教えないことにしてるんですよ。最低でも中学1年、できれば中学3年生以上になってから教えたいんです。

――それはどうしてですか?

坂詰 中学生以下のジュニアには、いろいろな競技を経験してほしいんです。陸上だとか、野球だとか、バスケットだとか。そうすることで体力や筋力もつきますし、いろいろなセンスも磨かれますから。それは必ずゴルフに役立つと思うんです。それに可能性も広がるじゃないですか。

――可能性?

坂詰 複数の競技をやっていたら、ゴルフ以外の種目で才能を発揮できるかもしれないですよね。それを、子供の頃からゴルフ一本に絞って、型にはめて指導したら、そういう芽を摘んでしまいそうな気がして……。それが嫌なんです。

――欧米では、子供の頃には3~4種目を経験させて、20歳くらいまでに専門の種目に絞っていくような指導が主流になっているようですね。

坂詰 ええ。それに対して、日本では子供の頃からゴルフ一本に絞るケースが多いですよね。だから、ジュニアの世界大会では、欧米の選手より、日本の選手が活躍することも多いわけです。でも、それが大人になると逆転されちゃう……。それは、子供の頃の指導法も大きいと思うんですよ。

――子供の頃に多くの競技を経験したほうが、大人になってから伸びるということでしょうか?

坂詰 もちろん、絶対とは言い切れませんよ。でも、たくさんの競技を経験した選手のほうがアスリートとしてのスケールが広がりやすいと思うんです。たとえば、石川遼プロなどは、中学時代は陸上部に所属していて、サッカーも大好きですよね。決してゴルフだけをやってきたから強くなったわけじゃない。

――ゴルフ漬けの生活を送ればゴルフが強くなると思いがちだけれど、そうとは限らないということですね。

坂詰 そういう意味では、ちゃんと勉強をしておくことも大切だと思うんです。「スポーツ選手にそんなものは必要ない」と考える人もいますが、世界に出ていくなら語学は必須ですし、強い選手はみんな賢いですからね。勉強しておけば、必ずゴルフにも役に立ちます。米国の大学なんて、成績の悪い選手は試合に出られないんです。ああいうルールは、とてもいいと思います。

――ただ、親御さんとしては、なるべく早く、我が子に専門的な指導を受けさせたいと思うものですよね?

坂詰 その気持ちは理解できます。でも、プロコーチを就けて、本格的なスウィング作りをするのは、高校生になってからでいいと思うんです。もちろん、高校までまったくの未経験では、プロになるのは難しいと思いますよ。でも、小・中学生のうちにやるべきことをやっておけば、高校からでも十分に間に合いますよ。

――やるべきこと、というのが気になりますね。そこにジュニア育成の秘訣がありそうな……。次回はそのあたりを詳しく聞かせてください。

坂詰 わかりました。よろしくお願いします。

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画像: golf-digest.co.jp
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