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スコアを求めない
――坂詰コーチがジュニアを教えるとき、やらないようにしていることはありますか?
坂詰 これは前回も少しお話ししましたが、小・中学生にはスコアを求めないようにしています。子供のうちにスコアを求めすぎると、早い段階でミスに対する怖さを覚えてしまいますからね。
――曲がるのが怖くなって振れなくなる、ショートパットが怖くなってシビれる、などということですね。
坂詰 そういうことです。振れなくなれば、飛距離は出ないし、体も使えなくなる。すると、どんどん選手としてのスケールが小さくなってしまうわけです。さらに、パットが怖くなれば、子供のうちからイップスになってしまうかもしれない。それじゃあ、可哀そうじゃないですか。とにかく、小・中学生のうちは、スコアなんてどうでもいい。パットなんか入らなくてもいいから、ゴルフを楽しんでほしいですね。
――競技に出ていると、選手も親御さんもスコアを求めてしまうと思うのですが?
坂詰 いいスコアが出たときとか、試合でいい結果が出たときに喜ぶのはいいんです。問題はスコアが悪かったときですよ。そういうときに、努力が足りなかったんだとか、もっと頑張れとか言ってスコアを求めすぎてしまうのがよくない。
――あぁ、スコアを求めないというのは、スコアが悪いときに責めないという意味なんですね。
坂詰 そういうことです。あと、変化を恐れるようになるのも困るんです。スコアを求めすぎると、ケガをしやすい動きをしていても、それを改善、修正することを嫌がってしまうんですよ。
――スウィングを直すことで、スコアを崩すのを避けるわけですね。
坂詰 ええ。だから、ある意味、スコアの出ていない子のほうが、コーチとしては修正しやすいんです。
――他に、親御さんがお子さんを指導するときに注意する点などはありますか?
坂詰 まず、球数や時間を強制しないことです。よく、「1日1000球打て」とか、「1日3時間練習しろ」とか言っちゃうんですが、人の集中力って、大人でも40分くらいしか持たないんです。それを無理矢理やらせても効果は少ない。さらに、嫌々やっていたらケガをするかもしれないので、やめたほうがいいですね。
――1000球打つこと、3時間練習することが目的になって、上達することが目的ではなくなるということですね。
坂詰 そういうことです。もちろん、本人が好きで楽しくて、いつの間にか1000球打っちゃった。3時間練習しちゃった、というのはいいんです。でも、それを強制するのは百害あって一利なしだと思います。
――他に、やってはいけないことはありますか?
坂詰 絶対にダメなのが、他人と比較することです。「●●くんがやっているから、あなたもやりなさい」とか、「■■ちゃんはできるのに、なんであなたはできないの?」なんてセリフをよく聞くんですよ。でも、同じ人間じゃないんだから、同じことはできないし、同じことをやっても、絶対同じ結果にはならないんです。
――自分がそんなことを言われたら嫌ですね。
坂詰 でしょ。ゴルフが上手くなりたいのであれば、自分がいくつで回るために何をすべきか、ってことだけ考えていればいいんです。その答えは、100人いたら100通りあって、誰かの答えをマネしても意味がない。そもそも、その「●●くん」や「■■ちゃん」が、何年後も活躍しているとは限らないじゃないですか。
――たしかに。叱られている子が逆転するかもしれませんしね。
坂詰 そういうことです。親御さんが熱心なのはわかるんですが、子供の成長が多少遅くても、試合でスコアが悪かったとしても、それを責めていいことはないんです。だいたい、スコアが出なくていちばん悔しいのは本人なんですからね。傷口に塩を塗り込まないようにしないと。
――子供を追い込まないことが大切だってことですね。
坂詰 ええ。だから逃げ道を作ってあげることはとても大事だと思います。お父さんは厳しくても、お母さんはやさしいとか。まぁ、親子の場合は、多少厳しくしても許される部分もあると思うんです。でも、親と一緒になってコーチも責めてしまったら、もうその子に逃げ道がなくなっちゃうじゃないですか。
そうしたら、ゴルフが嫌いになってやめてしまうかもしれない。だからボクは、小・中学生にはスコアも聞かないし、時間も球数も強制しないし、他人とは比較しない。たとえ試合で叩いたとしても、「また頑張ればいいじゃん」って送り出すようにしているんです。
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