「MT-28」「MTIウェッジ」など数々の名器を世に送り出し、日米両ツアーで多くのプロ支給品を手がけたクラブ設計家、宮城裕治氏が流行に惑わされないクラブ選びとクラブ設計の真実をクールに解説。今回は米ツアーで流行中のゼロトルクパターについて考察してみた。
画像: テーラーメイドの”ゼロトルク”パターで、先日のバレロ・テキサスオープンを制したB・ハーマン(Photo/Getty Images)

テーラーメイドの”ゼロトルク”パターで、先日のバレロ・テキサスオープンを制したB・ハーマン(Photo/Getty Images)

いままで体験したことないフィーリング

みんゴル取材班(以下、み):LABゴルフやオデッセイ「スクエア2スクエア」などゼロトルクパターが流行っています。どんなメリットがあるのか教えてください。

宮城:ちょうど先日、LABゴルフのパターを試してきたところです。確かにヘッドが真っ直ぐ動きますね。バックスイングからいままで体験したことのないフィーリングでした。

み:どんな人に合いそうですか?

宮城:LABゴルフのトルクテスターにセットして打ってみて気付いたことがあります。

み:2本の平行な棒の間にパターを吊す器具のことですね。

宮城:両側の棒を握ると自然と肘を張ったかまえになります。そのままストロークするとヘッドがすごく真っ直ぐ動きます。したがって昔みたいに肘を外旋して肩でストロークする打ち方にはとても合います。逆に腕と体を一体化して胸でストロークすると自分の思ったほうにヘッドが上がらなくて気持ち悪さを感じます。

み:イン・トゥ・インに振りにくいということですか?

宮城:フィル・ミケルソンがLABゴルフを使っているのがちょっと信じられません。あれだけインサイドに引いていた彼がどうやって打っているのか。まあストロークを邪魔することはないので自分なりに感覚をつかめば問題ないのでしょうが。

み:ショートパットが入りやすいという話を聞きました。

宮城:肩幅の中では真っ直ぐ動きますから。ただし肩幅を超えたらどんなパターでもインサイドに入れるか腕を伸ばすしかありません。

み:ということは?

宮城:1ピンくらいまでのショートパットにはすごくいい。ロングパットは難しいとまではいいませんがゼロトルクの効果があるのかどうか。ただ、ゼロトルクに注目が集まっていますがメリットはもうひとつあります。

み:それは何でしょうか。

宮城:ゼロトルクパターはヘッドが回転しないようにシャフトが重心に向かって挿さっています。

み:フェースがかなり前に出ていますね。昔あったオデッセイの「バックストライク」ほどではありませんが。

宮城:パターイップスの人にはすごく効果があります。手が動かなくても最下点までは重力で落ちて、そのときにはフェースは前に出ているのでボールを押してくれるからです。球が滑ってつかまらない人、スライスラインが苦手な人、左に打ち出せない人にもいいと思います。また、自分から見たらシャフトが左から斜めに入っているので、構えがハンドファーストになり、インパクトゾーンが長くなるのもメリットです。

み:聞けば聞くほど使ってみたくなります。

宮城:自分のストロークがあって、自分なりの距離感ができている人には違和感が大きいかもしれません。ゼロトルクはパターだけで考えれば理想的かもしれませんが、人間がどこを支点にして振っているかを考慮すると一長一短があります。あと一つ付け加えるとアドレスの精度は上がります。ヘッドがねじれず構えた通りにヘッドが座るからです。

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