番手ごとに役割を明確にする
長い番手でも止める、確率良くミートする。そのために複数のモデルを組み合わせる〝コンボアイアン〞。Pシリーズはコンボも視野に入れ、ロフト設定や顔のつながりを考慮して作られている。PGAツアー屈指のアイアン巧者、コリン・モリカワはコンボを実践する代表格だ。
「7番からPWは 〝スコアリングクラブ〞。できればウェッジのように狙い打ちたい。僕はフェースが小さく見えるクラブのほうが、集中力が増して芯でとらえやすいからマッスルバック(MB)を選択。5番、6番になると、方向性はそこまでシビアではなく、タテ距離の誤差をいかに抑えるかが重要。MBがキャビティに代わるだけでミスヒット時の距離の落ち込みは半減する。そしてロングアイアンでは狙いはもっとアバウトで、グリーンのセンター、右サイド、左サイドと分け、その範囲に入ればOK。ミスヒットした時に、さらに距離が落ちないものを選んでいるよ」(コリン)

PGAツアー屈指のアイアン巧者、コリン・モリカワ。コンボを実践する代表格のプレーヤーだ
コリンがアイアンに求める役割
【ショートアイアン】
ウェッジのように狙い打つために集中力が高まる小ぶりなヘッド
【ミドルアイアン】
芯を外した時でもできるだけタテ距離のズレが抑えられる性能
【ロングアイアン】
200Y以上先のグリーンの幅に高確率で入ってくれるもの
組み合わせ方は変わってもコンボを実践し続ける

コリン・モリカワのクラブセッティング。左が2024年、右が今年だ
今年は7番以下がP730、6番から上がP7CBの2モデルのコンボだが、昨年は7番以下が同じくP730、5番、6番がP7MC、4番がP770、3番がP790という4モデルを組み合わせていた。「コンボにはアドバンテージしか感じない」(コリン)
コリンのように番手ごとに役割を明確にするコンボを実践するにも、自分のアイアンデータの把握は欠かせないと、今回試打を担当した加藤颯プロは言う。
「できれば下の表のようにPWから打ち、1番手ずつ上の番手に持ち替えていくと、キャリー距離のギャップが詰まる、あるいはなくなるところが見つかる。そこがコンボの境界線です」
アイアンをさらに機能させるには、僕らにやれることはまだまだ残されているようだ。
飛距離の階段を整える 落下角度とキャリー距離をチェックしよう
試打・解説 加藤 颯プロ
自他ともに認める“ギア好き”プロ。クラブ性能の違いを感じ取る感性に優れる。オールデイゴルフ所属
P790 高初速性能とやさしさが際立つ

P770 やさしさと操作性の絶妙な融合

P7CB 高い操作性の中に寛容さも備える

※ショットデータは3球以上打ったうちのベストボール(計測機器:EYE MINI)
※ボールはTP5xを使用
ロフトは大事、初速も大事
7番のロフトはP770、P7CBが33度と現在のアイアンにしては大きめ。一方P790は30度と3度立っているが、球の高さは同等。初速性能の高さによって最高到達点が先に延び、結果高弾道になるからだ。

P790の弾道イメージ
コンボするには顔のつながりも大事

顔の違いが小さく、違和感なく構えられる
それぞれに役割を持たせるにしても、形状が違いすぎれば違和感が出て使いづらくなる。Pシリーズの3モデルを見ると形状が非常に近い。この統一感も大事