
米女子ツアー・ブラックデザート選手権で2日目7位に急浮上した渋野日向子(写真は25年Vポイント×SMBCレディス)
渋野日向子は9アンダーまでスコアを伸ばして7位タイとトップテン内に。トップとは5打差で、十分に優勝を狙える位置で週末を迎えることになりました。
さて、今シーズンの渋野選手は今週を除けば7試合に出場し、5試合で予選を通過しているものの、最高順位はシェブロン選手権の44位タイと、上位でフィニッシュした試合がありません。
では、今回の爆発には何か背景があったのでしょうか。
「シェブロン選手権でバッグを担いだ古賀雄二キャディから、『ドライバーは距離が出ていて、アイアン、パットも悪くなかった。後は噛み合えば』と話を聞かせてもらっていたのですが、古賀キャディの言葉通り『噛み合った』ってことだと思います」と語るのは、女子ツアーに詳しい中村修プロ。
「渋野選手は、今シーズンクラブ契約フリーとなり、使用クラブをガラッと変えています。地面から打つアイアン、ティーアップするドライバーでは、クラブ軌道の中でインパクトの位置が変わるし、地面を転がすパター、強く振らないアプローチ……と14本の役割は多様。全体が調和するのはそう簡単ではありませんが、それが徐々に調和してきたということも一因としてはあると思います」
渋野選手の場合、クラブだけでなくボールもチェンジ。当然、微細な感覚のズレは生じるはずで、数カ月のキャリブレーションを経て、そのズレが埋まってきたことも大きいはずです。
「そうして頭が整理されてくれば、1打1打切り替えることができます。打つ前に左脳で状況を判断し、実際に球を打つ右脳へとスムーズに切り替えられている。運動能力の高い右脳優位で打てている印象です」
いい意味で天真爛漫なプレーぶりは渋野選手の魅力であり強み。ギア、ショット、フィジカル、メンタル……もろもろの要素が噛み合ってきたからこその、急激な復調ではないかと中村プロは予想します。
昨年も不調かなと思っていたら全米女子オープンで突然優勝争いに絡み、2位フィニッシュを果たした渋野選手。日本選手のなかでも“なにかをやってくれそう”という気配は常にNO.1の彼女らしさが出てきたと言えるかもしれません。
ちなみに渋野選手、スタッツを見ると非常に興味深い指標を見つけることができます。それが「ラウンド2平均スコア」。他の3日間の平均スコアがどれも100位台というなか、渋野選手は2日目のスコアが69.50で19位と突出していいのです。
LPGAが公式Xにアップした2日目の渋野のプレーぶり
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x.com予選通過がかかる2日目に強い渋野選手。今週は3日目4日目もスコアを伸ばし、優勝争いに絡む活躍が見たいですね。(文・大川喬司)