国内男子ツアーのACNツアー第3戦「JAPAN PLAYERS CHAMPIONSHIP CHALLENGE in FUKUI 2025」が5月7日(水)から9日(金)までの3日間の日程で、福井県・越前カントリークラブで開催。5回目を迎える今大会は2021年に始まったジャパンゴルフツアー選手会主催によるトーナメント。昨年までACNツアーを実況や現地リポーターとして7年間観てきた萩原菜乃花が、この試合の注目選手を紹介!

昨年まで下部ツアーなどの実況や現地リポーターを担当していた萩原(撮影/岡沢裕行)

はぎわら・なのか。名門日本大学ゴルフ部に所属して腕を磨き、ベストスコアは75。学生時代から週刊ゴルフダイジェストなどに登場。大学卒業後はライムライト所属のフリーアナウンサーとして活動中。

ACNツアー3戦目! 舞台は福井県・越前カントリークラブ!

ACNツアーはJGTO(レギュラー)ツアーの下部ツアー。昨年末に実施されたQTランクで120位前後に入った選手が出場でき、若手選手の育成に貢献しているのはもちろん、レギュラーツアーへの出場権獲得を狙う、男子プロゴルファーの登竜門のような存在。全試合入場無料で、試合によってはギャラリーもクラブハウス前の駐車場に停めることができ、さらに、クラブハウスに入場でき、レストランで食事をとれるところもある。

今大会は「JAPAN PLAYERS CHAMPIONSHIP」の冠があるように、ジャパンゴルフツアー選手会が主催。開催に至った経緯は2020年から長引いたコロナ禍でプロの職場ともいえる大会が減少していくなかで「自分たちでトーナメントを開催することを目指した」と選手会会長で実行委員長の谷原秀人は話す。

そして、「『JAPAN PLAYERS CHAMPIONSHIP CHALLENGE In FUKUI』は、ジャパンゴルフツアー選手会の『勇気を出して一歩目を踏み出そう、自分たちと地元の皆さんの手でトーナメントを作っていこう、そしてそこからたくさんの“楽しい”を発信していこう』という想いに共感していただいた多くの方のお力添えによって、福井県初の男子トーナメント開催が実現した」という。

そのような意義のある大会で、私が注目する3人を紹介!

昨年の前半戦はPGAツアー・アメリカズで戦う! 岡田絃希

画像: 岡田選手はプライベートも充実し、飛躍の年になる予感!

岡田選手はプライベートも充実し、飛躍の年になる予感!

まずは岡田絃希選手。昨年は下部ツアー7試合に出場したが、賞金ランク61位と振るわなかったが、年末のQTファイナルで9位タイ(QTランクは10位)に入って見事、レギュラーツアー前半戦の出場権を獲得した。

そんな岡田選手、昨年はPGAツアー・アメリカズ(PGAツアーの3部ツアー)に出場しており、その成果を「我慢強く、しぶとくなった」と語る。そもそもの出場経緯はこうだ。

もともとマレーシアに住んでいたこともあり、海外志向が強かった岡田選手は、2023年にPGAツアー・カナダに参戦。翌年のPGAツアー・アメリカズ(PGAツアー・カナダとPGAツアー・ラテンアメリカが24年に統合)のシード権を獲得した。

ちなみに、PGAツアー・アメリカズは前半戦の「ラテンアメリカスウィング」と後半戦の「ノースアメリカスウィング」があり、後半戦にはランキング上位60名に入るか「ノースアメリカスウィング」のQTを通過する必要があるが、岡田選手は残念ながら「ラテンアメリカスウィング」のみの出場になった。

海外生活の長い岡田選手にとっては言語や食事の壁はなく、一番大変だったのは移動。「ラテンアメリカスウィング」というだけあって、一番遠い会場はブラジルと日本の裏側‼︎ このPGAツアーアメリカズは岡田選手が日本人初参戦ということで、別の機会に詳しく紹介できたらと。

さて、本題に戻ると、2024年に結婚、現在は生まれた岡山県に在住。オフは結婚式を挙げたり新婚旅行も行けたそうで、「こんなにゴルフから離れたのは初めて」と息抜きもばっちり。

ACNツアー開幕戦「Novil Cup」は73位タイで予選落ちだったが、レギュラーツアー開幕戦「東建ホームメイトカップ」は2日目67のスコアで8位タイと気を吐き(3日目の73で、最終順位は37位タイ)、ACNツアー2戦目の「i Golf Shaper Challenge in 筑紫ヶ丘」で7位タイと好調の滑り出し。

画像: 話し方は穏やかで本連載もいつもチェックしてくれているという岡田選手。ありがとうございます!

話し方は穏やかで本連載もいつもチェックしてくれているという岡田選手。ありがとうございます!

現在の課題を、「マネジメント」といい、「ミスショットをしても気持ちをリセットして、いい精神状態で構えられるようにしています。それがまっすぐ打つ秘訣」と話してくれた。

自身の強みはその曲がらないドライバーで、今回のコースのように狭いホールが多く、他の選手が刻むような場面でも果敢にドライバーで攻める。総距離が短い今回は突き抜ける可能性があるためドライバーでないホールもあるが、そのアグレッシブな姿に注目だ!

初日は8時55分に10番Hから森博貴プロ、金岡奎吾プロ、大嶋宝プロとの組み合わせ。

日米2拠点生活でも今年は日本に専念、男子ツアーQT2位! 森山友貴

画像: 左腕のwhoopは四六時中一緒。ガーミンはゴルフ以外は着けるといい、ゴルフ中に外す理由は「日焼けがカッコ悪いじゃないですか(笑)」とお茶目な回答

左腕のwhoopは四六時中一緒。ガーミンはゴルフ以外は着けるといい、ゴルフ中に外す理由は「日焼けがカッコ悪いじゃないですか(笑)」とお茶目な回答

次は森山友貴選手。彼も昨年、PGAツアー・アメリカズに参戦。とはいえ、前述の岡田選手と違い、「ノースアメリカスウィング」からということで、入れ替わった形になる。

ジュニア時代から試合で何度かアメリカに遠征していたようだが、完全に拠点を移したのは高校から。その理由は「とにかくアメリカの大学に行きたかったから」だそう。その甲斐あって、オレゴン大学で2年間過ごした後、ネバダ大学ラスベガス校に進学。現在もアメリカではラスベガスに居を構えるが、「前半戦はほぼ出場できるので、今年は日本での生活がメインです」と話す。

なお、カジノのイメージが強いが、ゴルフの環境もかなり整っているそうで、「カジノに行くのは観光に来た人がメインで、華やかなのは一部だけ。ちょっと郊外に出れば静かでゴルフ場がたくさんある。環境はいいですよ」とのこと。

「日本で生まれたし、小さい頃から観ていたから」と国内ツアーに憧れ、ファーストQTから参戦して、セカンド、サードと勝ち進み、ファイナルで2位に。「うまくいっちゃいました」と、優勝を意識せずプレーできていたよう。

ただ本人は「緊張しい」だという。森山選手は、PGAツアーの選手たちも着用している『whoop』という機械を四六時中(例外は風呂場くらい)装着し、心拍数や睡眠の質などを計測しているのだが、レギュラーツアー開幕戦「東建ホームメイトカップ」の1番ティーショット時の心拍数はまさかの150と数値にも緊張が表れていた。そこから3ホールほどチーピンが続いており、後々、数値を確認したら心拍数は140ほどだったという。

アメリカの試合ではここまで緊張したことはなかったようで、「(対策は)試行錯誤中です。何がいいのかわからない」と笑いながらだが少し困っていた様子。ただ、3戦目の中日クラウンズでは120に下がり、最終順位は29位タイで、国内ツアーの初賞金をゲット。慣れと時間が解決すれば、一躍トップ争いに顔を出すのは間違いない逸材だろう。

画像: キャディのタイラーさんは米国時代からの大親友!

キャディのタイラーさんは米国時代からの大親友!

強みは距離が出て曲がらないドライバー。専属のコーチはつけておらず、クラチャン経験のある父に見てもらっている。またキャディはアメリカから一緒に来日した親友のタイラーさん。レギュラーだけでなくACNツアーも帯同するそう。2人のタッグにも注目!

初日は7時49分に10番Hから松村道央プロ、櫛山勝弘プロ、中島邦宏プロとの組み合わせ。

PGAツアーだけでなく全米OPにも出場! オダ ジョン

画像: ハワイ出身らしくシャカサインで写真に収まるオダ選手

ハワイ出身らしくシャカサインで写真に収まるオダ選手

最後はオダ ジョン選手! ハワイ出身で父親が日系アメリカ人、母親は日本人という家庭に育った。家で日本語を話すのかと聞くと、「お母さんが簡単な日本語で話して、僕は英語で返す。ジュニアレベルの日本語しかできないです」と日本語で教えてくれた。ただ、「まだ2カ月しかいないので、日本語インタビューは怖いです。ひとりじゃ無理」と、仲良しの呉司聡選手が通訳。呉司聡選手ありがとうございました!

オダ選手はなんとソニーオープン・イン・ハワイに15歳で出場。そして2017年の20歳で全米オープン出場。同年全米アマでベスト16入りした後に、プロ転向。プロデビュー戦となったPGAツアー『OHLクラシック at マヤコバ』で8位に入り、18年は『バラクーダ選手権』でPGAツアー自己ベストの3位と、輝かしい戦歴があるだけに日本のQTに参戦したときは周りのプロたちが騒然とした。

日本ツアーに参戦を決めた理由を聞くと、石川遼プロの名を挙げ、「彼(石川)は僕のアイドル! 高校生の時に彼を見てから憧れている」という。

練習環境の差はあれど日本の料理は大好きで、ホームシックに陥る心配もいまのところないというし、狭い日本のコースも好き。ただ、主戦場となるACNツアーは出場人数の多い試合もあり、4サムでのプレーやハーフで休憩があることがあり、「このスタイルは初めての経験でまだ慣れない」。ちなみに、前述の森山友貴選手とは大学の先輩・後輩にあたる間柄(オダ選手が5歳先輩なので学生生活では被っていないよう)なんだとか。

強みは真っすぐターゲットに差すショートゲームで、今年の目標は日本語を覚えること!

画像: 日本語の聞き取りはほぼできているように感じたので、目標の「日本語を覚える」は早々にクリアしそう!

日本語の聞き取りはほぼできているように感じたので、目標の「日本語を覚える」は早々にクリアしそう!

国内男子プロが戦々恐々としたオダ選手を要チェック! 最後にもう一度、呉司聡選手、ありがとうございました!

初日は8時11分に10番Hから小袋秀人プロ、中村匡志プロ、照屋佑唯智プロとの組み合わせ。

撮影/岡沢裕行

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