国内女子ツアーメジャー初戦「ワールドレディスサロンパスカップ」の最終日、首位でスタートした藤田さいきと、2打差で追った申ジエがともに7アンダーで終え、プレーオフに突入。18番パー5の1ホール目でバーディを決めた申ジエが通算29勝目を飾った。みんなのゴルフダイジェスト特派記者でプロゴルファーの中村修が現地からレポートお届け。

体調不良をおして出場した満身創痍の藤田さいき選手にとっては文字通り”死闘”となった最終日。2番ボギー、3番をダブルボギ ーとしスコアを落とすと5番でバーディを奪うも8番でボギーとし、前半に3つスコアを落とします。対する申ジエ選手はスコアカード通りにパーを並べ、左ラフに入れた5番パー4では砲台グリーンの右ラフに狙って外すとロブショットでピンに寄せパーを拾います。

画像: 今季初優勝をメジャー初戦「ワールドレディスサロンパスカップ」で飾った申ジエ

今季初優勝をメジャー初戦「ワールドレディスサロンパスカップ」で飾った申ジエ

申ジエ選手8アンダー、藤田選手7アンダーで折り返すと、藤田選手が10番をボギーとし、申ジエ選手に2打のリードを許しますが、107ヤードと短く設定された13番パー3でバーディを奪い1打差に迫ると、14番パー4で申ジエ選手がボギーで並びます。追い上げたい後続の葭葉ルミ選手は14番で奥からのアプローチをチップインバーディとするも、16番でドライバーを右に曲げボギーで一歩後退。最終18番パー5をバーディとし6アンダーで最終組を待ちます。

藤田選手は体調不良が悪化し、16番では座り込む場面も見られましたが、なんとかプレーを続けパーでしのぎ、正規の18番パー5でバーディを奪った選手が優勝するという息をのむ展開に。藤田選手は2打目を刻み3打目はピン左5mほどにつけ、申ジエ選手は2打目でグリーン右手前のバンカーに入れ、エッジから25ヤード奥の四畳半ほどのエリアに切られたピンに対してピン手前3m強につけます。

これを両者入れに行きましたが決めきれずにプレーオフへと突入。両者ドライバーをフェアウェイに運び、申ジエ選手はUTでグリーン手前の池の横まで運び、飛距離の出た藤田選手ですが、4Wの距離が合わないと判断し、2オンを狙わずアイアンで刻むと左のラフへ。藤田選手の3打目はピン右に飛びグリーンをオーバーすると、申ジエ選手の75ヤードからの54度のウェッジで打った3打目はピン横20センチにピタリと寄せます。藤田選手のアプローチがショートすると勝負は決着し、申ジエ選手は今季初優勝で7年ぶりのメジャー優勝(通算29勝)を飾りました。

画像: プレーオフ1ホール目の3打目をピンにピタリと寄せ中川桂輔キャディ(左)とハイタッチする申ジエ(右)

プレーオフ1ホール目の3打目をピンにピタリと寄せ中川桂輔キャディ(左)とハイタッチする申ジエ(右)

硬く速いグリーンに対して、ラフからのフライヤーや風を踏まえて、グリーンをオーバーしてもアプローチで寄せられるホールなのかどうかを決める判断力、ボールのライからグリーン上のランを計算して落とし場所を決めるといった経験値、2日目の雨や晴れて風のあった最終日の移り変わるコースコンディションへの対応力など、すべての番手に対する技術や経験値をフルに働かせた結果が、ベテラン勢が上位に名を連ねたスコアボードに表れています。

画像: 満身創痍の藤田さいきはプレーオフで惜敗し悔し涙を流した

満身創痍の藤田さいきはプレーオフで惜敗し悔し涙を流した

優勝会見ではメジャーではコースと自分との戦いが重要だと話し「集中を切らさない。切れそうになってももう一度引き戻すようにすること」と難セッティングの優勝争いの中で集中力を切らさず戦うことの大切さを申ジエ選手は話しました。

暫定リランキングに目を移すと、QTから前半戦の出場権を行使して参戦する葭葉ルミ(3位)、山城奈々、荒木優奈(6位タイ)、都玲華(8位タイ)選手らがポイントを積み重ねリランキングの上位へと駆け上がっています。

トップランクの選手の多くが米女子ツアーに参戦する中でベテラン勢の活躍が見られる今季の序盤戦。メジャー次戦は9月に開催される「ソニー日本女子プロゴルフ選手権」(大洗ゴルフ倶楽部)。それまでの4カ月の間にベテラン勢に挑む若手の成長が見られることを期待しています。

撮影/姉崎正

※2025年5月11日22時39分、一部加筆修正しました。

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