2月に開催されたQTで上位40名に入り、チャイナツアーのツアーカードを獲得した鈴木プロ。チャイナツアーの開幕自体は4月に行われたDPワールドツアーと共催の「ボルボ中国オープン」だが、鈴木プロのQT資格の場合、参戦できるのは5月に行われた3戦目「Chongqing Open」から。
しかし鈴木プロは国内男子ツアー「関西オープン」に出場していた関係で、6月開催の5戦目「Zhengzhou Yellow-River Open」がチャイナツアーでの初戦となる。

QTを通過し、チャイナツアーに参戦する鈴木千貴プロ(写真はQT時のもの 提供/チャイナツアー)
「PGAツアーチャイナがコロナ前にあったのは知っていたんですけど、(中国のツアーって)最近聞いてないなとは思っていて。去年JGTOのサードQTで落ちてしまったんですけど、JGTOの知り合いの方に『台湾や中国にもツアーがありますよ』と紹介いただいて、去年と同じ1年になるのは嫌だなと思って、海外へ挑戦してみようと」(鈴木プロ、以下同)
チャイナツアーに関するニュースはなかなか耳に入ってこないが、実はDPワールドツアー(欧州ツアー)と提携している。鈴木プロが得たQT資格では出場はできないが前述した「ボルボ中国オープン」のような共催試合があったり、非常に狭き門ではあるが欧州への道が用意されている。また、世界ランキングのポイントも付与されるという。
「今年から試合数も増えていて、5日間かけて行われたQTに行ったときもフィールドのレベルの高さは感じました。アジアンツアーに出場している選手やインターナショナルシリーズで優勝経験のある選手もいたりしました。ハワイ、シンガポール、オーストラリアなど色んなところからQTに参加しに来ていて、QTを通過した40人中、中国人は10人ちょっと。本当に国際色が強い印象でした」
ともかくまずは試合に出ること。「当たって砕けろの精神で頑張ります」とのこと。現在24歳になる鈴木プロが異国の地での挑戦を決めたのは「同級生プロの活躍に触発されて」のことでもあるという。
「大学の同級生でもある下家秀琉(しもけ・すぐる)プロがABEMAツアーで勝って国内ツアーのシードを取って。宇喜多飛翔(うきた・つばさ)プロも同級生で、同じくシードを取っているんです。
身近だった人達が全然違うステージでゴルフをしていて、上手いのにどんどん経験を積めるからもっと上手くなって、もっと差をつけられちゃうなって。追いつくためにはやっぱり試合で経験を積まないと、負けてられないぞって」
同級生の活躍に負けないように追いつきたい。そのための出場機会を求め飛び込んだチャイナツアー。そしてその先にある鈴木プロの目指す夢は、プロを目指す原動力にもなったマスターズだ。
「シングルの実力を持ち、日本シニアオープン、ファンケルシニアクラシックといった競技にも出場していた父の影響で、ゴルフを始めて。テレビで見たりしてなのか、いつの間にかマスターズに出たい、オーガスタでプレーしたいという思いがありました。フィールドが80名くらいってすごく狭き門じゃないですか。そこに出られるってすごいことだなって。日本でももちろんプレーしたいし、スケジュール的に問題なさそうなので日本のQTも挑戦します。何より自分が好きなゴルフをし続ける、好きなことで稼いで生きていけるって良いですよね」
鈴木プロのように日本国内で出場できる試合が限られている場合、国内のミニツアーで腕を磨く選手はいるが、海外に試合を求めて挑戦する選手はまだ少ない。みんゴルでは彼らのように挑戦する選手を引き続き紹介し、応援していきたい。鈴木プロの挑戦にぜひ注目してほしい。