初日、2日目と首位を守った宮田成華選手の初優勝が期待されましたが、最終日序盤にスコアを落とす展開に。前週に初優勝を飾った稲垣那奈子選手と同期の髙野愛姫選手が3~6メートルのミドルパットを次々に決め、終わってみれば9バーディ1ボギーの64と爆発し初優勝を飾りました。
髙野選手は日大ゴルフ部在学中に23年のプロテストに合格し、昨年、競技に専念するため中退。今季はQTランク23位の資格で参戦していました。開幕戦の2日目を首位タイで終えましたが3日目に崩れ、最終的には26位でフィニッシュ。
3週前の「Sky RKBレディス」の最終日は67と追い上げ11位タイと自身最高位で終えていましたが、その後2週連続で予選落ちが続いての今大会でいきなりの優勝と、前週の稲垣那奈子選手に続きツアー2年目での著しい成長が目立ちます。

「ヨネックスレディス」でツアー初優勝を飾った髙野愛姫
最終日に9バーディを奪ったパッティングについて、今季から髙野選手を指導するパットコーチの平田智コーチに聞いてみました。
「ショートパットが苦手で、向いている方向が違ったり、フェースローテーションも大きかったりと自分がどうなっているか気づいていませんでした。向きの修正やローテーションの少ないストロークと基本的なことに取り組んできました」

今季から平田智パッティングコーチに指導を受けパット力が向上していた
「みんゴル」にも連載している平田コーチのパットのドリルや向きのチェックなどを積み重ね、シンプルに狙いを決めたらターゲットに対して構えて打ち出すという基本的なことに取り組み続けた結果、ショートパットからミドルパットまで向上して来たと教えてくれました。
そしてもう一つパッティングに関してはクラブ契約をサポートするピンのツアー担当の岩田氏によると使用するピン「スコッツデール オスロ3」のロフト違いを用意してあったようです。
「通常3度のロフトを使用していますが、グリーンが遅めのときにように同じモデルで4度のロフトを作って渡しています。グリーンが遅いと感じていた髙野選手はロフト4度のモデルを使ったと思います」
ちなみに同週に国内男子メジャー「BMW日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ」でもピン契約の蟬川泰果選手がプレーオフで堀川未来夢選手を退けピン契約選手のアベック優勝となっています。
それでは、好調なショットに加えてパットが噛み合ったことでビッグスコアを生み出し、一気に初優勝をつかんだスウィングを見てみましょう。
オーソドックスなスクエアグリップで握り、ドライバーでの手元の位置はボールよりも後ろ。こうすることでヘッドの最下点を過ぎてからインパクトするドライバーの構えを作っています。
テークバックでは手首のコックを使いクラブヘッドの運動量を大きくし、167cmと長身ではありますが腕はコンパクトに使うことでスウィングの安定性を高めています。

オーソドックスなスクエアグリップで握り、手首のコックを使ってテークバックする
手首のコックを使ってテークバックの早い段階で作ったクラブと腕の角度をキープして切り返したら、しっかりとリリースして振り抜きます。そうすることで、ハンドファーストには当たらずにヘッドの最下点を過ぎアッパー軌道でボールを捉えるインパクトを実現しています。

ダウンスウィングではしっかりと手首をリリースしてアッパー軌道でインパクトを迎える
今季の開幕戦は岩井千怜の連覇から始まり、工藤遥加の初優勝を含めた穴井詩、申ジエらのベテラン勢の活躍、吉田優利、菅沼菜々、神谷そらの復活優勝、佐久間朱莉、稲垣那奈子、髙野愛姫選手らの初優勝と毎週ドラマを見せてくれる国内女子ツアー。今週の「サントリーレディス」では「AIG女子オープン」の出場資格も決まります。今週は現地からのレポートをお届けしますのでお楽しみに。
写真/大澤進二