
エプソンツアーに参戦中の原英莉花(24年撮影/岡沢裕行)
まず、エプソンツアーから米女子ツアーへの昇格条件を見ていきましょう。非常にシンプルで、年間のポイントレースで15位以内に入ることが条件(昨年、馬場咲希選手が18位で昇格をあと一歩で逃したのは記憶に新しいところです)。ポイントレースの名称は「レース・フォー・ザ・カード」。直訳すれば「出場権争い」と、これまた超シンプルです。
ちなみに、1位から10位まではより出場優先度の高い「カテゴリー9」のツアーカード、11位から15位までは「カテゴリー16」のツアーカードを得ることができます。原選手は、というかエプソンツアーに出場するすべての選手がこの上位カードでの米女子ツアー昇格を目指しています。
さて、原選手に話を戻すと、現在のランキングは702ポイントで9位。1位の選手は1210ポイントを稼いでいるので、およそ500ポイントほどの差がありますが、上位カードが得られる10位圏内に位置しています(先週の2位タイフィニッシュが大きかったですね)。とはいえ16位の選手のポイントは500ポイントちょうど。その差は大差とは言えないので、最後まで気は抜けません。
今シーズンの原選手のエプソンツアーでの戦いを振り返ると、開幕戦の28位タイがここまでのワースト順位。8試合に出場し、すべての試合で予選を通過。半数の4試合でトップ10入りと、安定した戦いを見せています。
スタッツを見ると、イーグル数が7個で全体1位と高い攻撃力を見せ、1ラウンドあたりの平均スコアも70.04と全体2位。データ的にも、成績的にも、たしかな実力を示していることがわかります。
そんな原選手の現状を、親交のある中村修プロはこう分析します。
「下部ツアーでの転戦は、移動・芝・環境・言葉の壁……数え切れないほどの困難があることは想像に難くありません。そんななか、『戦う』というマインドで海を渡り、3勝して昇格するという目標を掲げる原選手ですから、現状で満足することなく、勝利を渇望していると思います」
そんななか、少しずつ環境に慣れて結果も出ている原選手。シーズンはポイント3割増しの最終戦に向けて、まもなく折り返し。さらに調子を挙げ、アメリカの地で優勝杯を掲げる姿を期待したいですね。