藤田さいきは2005年4月22-24日のフジサンケイレディスクラシックでツアーデビューをし、明日開幕のニチレイレディスで出場試合数は600試合に達する。開幕2日前の指定練習日のクラブハウス内で、この藤田さいきの600試合出場を祝うセレモニーが、発起人の青木瀬令奈と藤田を慕う有志プロらによって行われた。セレモニー後の藤田に長く活躍できている理由を聞いた。
画像: 後輩たちに囲まれて記念撮影する藤田さいき

後輩たちに囲まれて記念撮影する藤田さいき

慰労会的な催しながら、主催者のニチレイからは花束、契約先の日本シャフトからケーキが贈られ藤田も感激。青木瀬令奈は、藤田のことを「選手みんなに愛されています。多くは語らず、背中でみせてくれる、かっこいい先輩です」と、集まった15人の後輩プロたちの気持ちを代弁して語った。暖かい心遣いにもはや自分独りの意向では決められないと思ったか、「(引退する時は)皆の許可をいただいてから考えます」という藤田。歴代1位は岡田美智子プロの813試合と聞き、さすがに尻込みし「700が限界かなぁ…。700行ったら、その時はまた考えます」と次なる目標を設定した。明日9時00分に、発起人の青木瀬令奈、木村彩子と600試合目のファーストラウンドのティーイングエリアに立つ。

19歳後半から20歳代前半の若手の台頭が著しい女子ゴルフツアーにおいて、長らく第一線で活躍する藤田さいきの、衰えない体、考え方、取り組み方を聞いた。そこには、ゴルフに限らない、いつまでも人生を元気で生きるためのヒントがあった。

――そんなに長く頑張れる“コツ”はなんですか?

『よく食べ、よく寝て、普通に暮らす』

「コツかぁ……。まあ元々体が強かったですかね。今もトレーニングはやっています。前みたいに激しくやってしまうと怪我をしちゃうので、最低限ですけど。まあでも、頑張れる秘訣といったら、あんまりいつもゴルフ、ゴルフしないことですね。私、趣味が釣りで、旦那さんも釣りが趣味だから、いつも二人で行きます。海釣りですけど、いろんな所に行きますよ。それで釣りの業界の方たちとも仲良くなったので、いろんな釣りのポイントに連れていってもらったりしています。あとは、よく食べて、よく寝て。あまり激しい生活をしないように、(人生)普通にやることですかね」

――飛距離が出ることが長く続けられる条件ですか?

『若い子に“負けない”ではなく、飛ばすことを“諦めない”こと』

「う~ん、でも飛距離は今の子はみんな飛ぶから。だから、若い子に負けないぞという気持ちはないですね。だって20コも下なんですから(笑)。でも気持ちで頑張らないといけないこともあって、コース自体が伸びてきているので(飛ばないと)ツアーで戦えない。そこはできる限り諦めないでやることは大事かなと思います」

――長く続けるうえで、これはやっちゃダメだなということは?

『年いってのラーメンはねぇ……。代謝に良いモノを食べましょう』

「食事とか体に入れるものは、あまりハードなものを入れちゃうと良くないので、そこは気をつけますね。たとえば若いうちはラーメンとかを食べてもいいと思うけど、年齢を重ねるに連れてそういうものを食べちゃうとねぇ。やっぱり痩せにくくなってきますからね、代謝に良いものを食べないといけないと思ってやっています」

――若い人と競り合うことは良くないことなのか?

『若い子はライバルじゃなく、勉強の対象です』

「若い子には若い子の良いところが凄くあるので、私は彼女たちはライバルというよりは、勉強する対象というか。(若い子たちって)あぁ、こんなこと考えているんだ、こんなふうにやるんだって見て勉強しています。今の若い子は、新しい子が来るとすぐに優勝するじゃないですか。凄いですよね。それだけ全体のレベルが上がってきていることだから素晴らしいことだと思います」

――向上しようと思うのか、維持をすればいいのか、どっち?

『向上しようと思わないと維持できない』

「年齢を重ねるに連れて、向上しようと思わなければ維持もできない。だから新しいクラブにもチャレンジしますし、なんでも新しいことにはどんどんチャレンジをしています」

――怪我しない秘訣は?

『無理せず続けられるペースで頑張る』

「怪我してますよ、去年骨折してるし。でも痛みに強いというか、骨折しててもゴルフができちゃうから、怪我してるのがわからないんです(笑)。でも、そんな私も無理するところと、無理しないでおくところとを、分けておかないと、本当に倒れちゃう。(「この前、倒れちゃいましたが」との質問に)だから、無理をしないでも続けられるペース内で頑張ることが大事です。私は、日曜日まで試合なら、月、火、水曜日までゴルフは休んで、体だけトレーニングを含めてコンディションを充分に整えて、木曜日はプロアマで、あとは試合だけ頑張るみたいな、今は、そのペースでやっています」

――後輩だから、先輩だからで区別しない?

『上からモノを言おうとは思わない』

「そうですね。上からモノを言おうと思うことはないですね。あまり先輩とか後輩とか意識していないですよね」

――同年代が少なくなると、自分もそろそろ的な思考になっていきませんか。

『30歳のときから引退を意識していた。だから頑張ろうと思う』

「去年、上田桃子さんが試合から距離をおくって宣言した時は、けっこうビックリしました。雰囲気は伝わっていましたけど、でも実際にそうなってみると、同じ時代を一緒にやってきた人なので、そうなるんだなって思って考えましたけどね。でも、私もそういう時が来るんだなって、それはもう30歳前からずっと考えていました。だからこそ、今年40歳になるのですけど、できる限り頑張りたいと思えるんです。私、全美貞さんを韓国に帰らさないって言っているんです、帰られちゃうと私が一番上になっちゃうので(笑)。でも美貞さんがけっこう凄いトレーニングして走っているところ見ているので、あんだけ頑張られると私も頑張らないと、と思っちゃいますよね。そういう姿を見ると、気を引き締めてやらないと、と思います」

『若い子に“負けない”と思わず、しかし挑戦を諦めず』。『向上心を持ち、新しいことにチャレンジ』し、でも『無理をせず』、そして『上からモノを言おうとは思わない』。青木瀬令奈が語った「選手みんなに愛される」理由は、ここにあるのだろう。

後輩に慕われながら、長く頑張って活躍できる人生はなんとも羨ましい。ゴルフ場でも会社でもタメになりそうな“藤田さいき流の人生訓”。ぜひお試しを。

文/古屋雅章
撮影/岡沢裕行

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