横浜カントリークラブで開催中の第109回日本アマチュアゴルフ選手権。7月2日に第2ラウンドが実施され、初日を首位で終えた東北福祉大学1年の矢野仁貴、東海大九州2年の藤井太己、そして瀬戸市立水無瀬中3年の加藤金次郎が7アンダーの首位で決勝ラウンドに進んだ。1打差の4位に埼玉栄高校1年の沖田雫が続く。午前組で取材対象者を探しにアテスト会場付近にいると、早稲田大学4年生の柏俣結生(かしわまた・ゆう)に目を引いた。
画像: 左から中野麟太朗、竹原佳吾、安保卓哉、柏俣結生の早稲田大学ゴルフ部の4人

左から中野麟太朗、竹原佳吾、安保卓哉、柏俣結生の早稲田大学ゴルフ部の4人

朝から会場内にある速報をチェックしていると、11時ごろに「柏俣結生」という名前がリーダーボードを駆け上がった。残念ながら15番ホールのダブルボギーで、最終的にトータル5アンダーでホールアウト(5位タイ)したが、早稲田大学のユニフォームに身を包み、163cmと小柄ながらも堂々とした歩みをみせ、アテスト会場に入っていく柏俣に目が行った。「小さな体で日本アマの優勝争いができているのはなぜなのか」を聞いてみたくなった。

柏俣のアテスト終了後に、日本アマに出場している早稲田大学の4人(イーブンパーで32位タイの中野麟太朗、柏俣結生、2オーバーで53位タイの竹原佳吾、3オーバーで63位タイの安保卓哉)に声をかけ、取材した。

ーー先週、連覇を狙った「全国大学ゴルフ対抗戦」があったり、その前の週には「早慶戦」があったりと、大事な試合が続きましたが。

中野: (全国大学ゴルフ対抗戦は)僕が最終組で全員のスコアを計算すると、最終ホールのセカンドをチップインしないと優勝がないとわかって少し焦りましたし、振り返るともったいないプレーの積み重ねでした。やはり、連覇したかったですし、それを達成できなかったのはちょっと悔いが残ります。
 
柏俣: まさかあんないい位置(首位)で最終日を迎えられると思っていなかったのですが、その最終日のバックナインで、スコアを落としちゃったのが本当に悔しい。主将の(中野)麟太朗が話した通り、連覇をしたかったです。
 
竹原: 初日以外は自分的には満足のいくゴルフができていたんですが、やはり思い返すと、「あれが入っていれば」というパットがいくつもあったので、そこに悔いが残ります。
 
安保: 自分的には調子はすごく良かったですが、もう少しパターが決まってくれたら、伸ばせたのにというのはあります。短いパットとか、もったいない一打の積み重ねだったと思っていますが、悔いはないです。やりきったなっていう思いでした。

ーーそんななかで今週「日本アマ」に挑んでいます。モチベーションの維持というか、切り替えというか、そこはどうですか?

中野: 先週は先週、今週は今週と思って、しっかり切り替えて、「日本アマ」には挑んでいます。(柏俣)結生は悔しい思いをバネに、トータル5アンダーでいい位置にいますし、あと2日ありますが、4人とも最後の日本アマになると思うので、いい形で終わりたいなと思っています。

ーー「最後の日本アマ」というと、以前、中野くんからは、竹原くんと今回は参加できなかった小原力くんがプロ志望と聞いていました。柏俣くん、安保くんもプロへの意識が出てきた?

柏俣: そうですね、今年のQTは受けようと思っていますが、最終的にツアーキャディに挑戦したいと思っています。そのなかで、キャディには資格がないので、担がせてもらうプレーヤーに対しても、しっかりプロになる力量があることを示したほうが信頼も違うと思っていて、QTにチャレンジしようと思いました。(キャディへの憧れはいつから?)中学生くらいから、冗談半分で「キャディをやりたい」と言っていましたが、大学に入って麟太朗や佳吾など、ツアーに出場する同期が周りにいて、女子ツアーで活躍している友達もいて、自分もゴルフ関係の仕事がしたいと。また、自分は人をサポートするのが好きなので、そこを組み合わせると、ツアーキャディという職業にやりがいがありそうだと考え始めました。(昨日、今日と調子がいいのは、そのマネジメントのおかげ?)考え方はある程度、わかっているつもりですが、自分がプレーするとなると、欲が出て、変なことばかりしてしまうので、そこはもう少し勉強しなきゃいけないと思っています。今日良かったのは、キャディのおかげです。彼にお願いした理由は、彼と一緒にラウンドしたときの雰囲気が良くて。ほかの早稲田の後輩にも頼めましたが、ミスしたら「どんまい」みたいな、中途半端な慰めで終わりそうな気がして。彼はそういう忖度はなく、笑いに変えながらズバッと言ってくれて、雰囲気を良くしてくれる。今日もたくさんミスショットがありましたが、彼の雰囲気のおかげで、いい順位で上がれました。
 
安保: ぼくは今年入ったぐらいから「競技ゴルフをやめたくないな」と思い始めました。それこそ、ここにいる4人+小原で挑んだ「Amer Ari Invitational」というハワイの大会がすごく楽しくて、競技はやっぱり楽しいなと。そのときのインタビューでも、自分だけフワッとした答えしか返せず。大学4年生なので、就職活動もしないといけなかったんですが、エントリーシートは直前にならないと書き始められないくらい、身が入らなくて。そういうことがあって、自分としっかり向き合って考えた結果、プロを目指そうと意識が変わりました。

ーー残念ながら、安保くんは1打足りず、CUTとなりましたが、中野くんから「いい形で終わりたい」という言葉がありました。明日からの意気込みをお願いします。

中野: もう優勝目指して、あと2日間、頑張ろうと思います! 最後の日本アマなのであと2日しっかり楽しめるように準備して挑みたいです。
 
柏俣: 余計なことをいうと力みそうなので(笑)、明日も明後日もこの2日間と同じようにキャディさんと一緒に楽しんでいきます!
 
竹原: 最近調子が良かっただけに、初日は優勝への思いが強すぎて空回りした感じがありました。ギリギリですが、予選を通れたので、4日間できることに感謝して、惜しくも落ちてしまった安保のぶんもしっかり頑張ります。明日はしっかりスコアを出して、最終日に少しでも優勝の可能性がある位置まで上がっていければと思います。

一昨年の中野麟太朗の優勝からはや2年。プロを目指す4人が最後の日本アマに挑む。安保以外の3人がどこまで伸ばせるのか、とくにいい位置にいる柏俣が「日本アマを制したツアーキャディ」という肩書きを手に入れられるのか、注目したい。そしてこの4人に小原力を入れた5人の今後に期待したい。

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