
東京都港区のゴルフスクール「広尾ゴルフインパクト」のインストラクター・後藤悠斗プロ
夏ゴルフでは熱中症対策はもちろんのこと、他シーズンと比較して芝が長く伸びていることにも注意が必要となる。
「夏って芝が元気で伸びやすいし、ゴルフ場側も芝を守るため短く刈ることはせずある程度伸ばすんです。夏の強い日差しで日焼けすると、腐って芝が死んでしまいますから。だから全体的にフェアウェイもラフも芝の長さが長めになりやすいんです」(後藤、以下同)
フェアウェイであれば「洋芝だとちょっと別ですが、たとえば日本の高麗芝だと多少長くなったとしてもボールが浮いてくれるだけなので、何ならより簡単になると思います」と後藤。問題となってくるのはラフだ。
「夏のラフについては、どんな種類の芝にせよすごく伸びてボールが埋まりやすいですし、1本1本が重くなってくるので抜けが悪くなるんです。まずクラブ選びから言うと、夏ラフに入ったらフェアウェイウッドやユーティリティという選択はなしですね。もっと言うと、ロングアイアンもなし寄り。ショートアイアンが良いですね」
ショートアイアンのほうが良い理由は様々あるが「要は打ち出し角が高ければ高いほど、ラフの影響を受けにくいんです」と後藤は続ける。
「ラフにボールが埋まってると仮定した時に、打ち出し角が低ければ低いほど、芝の壁の影響を受ける時間が長いわけですよね(写真A参照)。だから打ち出し角が低くなりやすい、長めの番手より、ショートアイアンのほうが夏ラフによる飛距離の影響を受けにくいんです。だからロングアイアンで『うわ、抜けなかった。飛ばない』ってなるよりショートアイアンでしっかり打っていったほうが結果距離が出やすかったりしますね」

写真A:打ち出し角が高い(青矢印)ほうが、低い場合(赤矢印)よりも芝の壁に受ける影響も少なくなる
加えてヘッドスピードが速いゴルファーの場合フライヤーの危険もある。「だからショートアイアンでも結構飛んじゃったりします。ロングアイアン、ミドルアイアンはまだ良いですけど、ユーティリティやフェアウェイウッドに関してはかなりしんどいと思ったほうが良いですね」とのことだ。
番手選択の次は、実際に打つ際のコツも教えてもらおう。まずグリップに関しては「もうとにかく短くするのがオススメです」と後藤。
「芝に負けてヘッドが止まっちゃうことがあるので、とにかく振り抜きを重視したいです。そのためにグリップからはみ出さないギリギリで短く握って、フィニッシュまでしっかり振っていくことが大切です」

グリップをはみださないギリギリまで短く握ろう
振り幅に関しては「バックスウィングは大きくなくて良いですが、フォローからフィッシュまではしっかり振り切りたいですね」と後藤。
「バックスウィングはハーフショットの振り幅で良いですが、フォローからフィニッシュに関しては、フルショットをしたときのフィニッシュ位置まで振り切るような勢いが必要ですね。もちろん芝の抵抗があるので、フルショットのフィニッシュまで振るつもりでも実際にその位置にはなかなかいきません。でもそのくらい勢い良く振り抜かないと、結局芝の抵抗に負けてしまいますよ」

バックスウィングはハーフだとしても、芝の抵抗に負けないために、フォロー以降ではフィニッシュまで振り切るくらいの意識を持つと良い