「NEC軽井沢72トーナメント」で6年ぶりの通算3勝目を飾った柏原明日架。今大会のドライビングディスタンス3位だったスウィングをみんなのゴルフダイジェスト特派記者でプロゴルファーの中村修が解説。

6年ぶりの3勝目を飾った柏原明日架選手。171センチの長身を生かしたアップライトなスウィングでフェードボールをコントロールします。元々アプローチやパッティングのショートゲームには定評があり、特に転がしのアプローチは抜群の精度を誇っていました。

画像: 「NEC軽井沢72トーナメント」で6年ぶりの通算3勝目を飾った柏原明日架

「NEC軽井沢72トーナメント」で6年ぶりの通算3勝目を飾った柏原明日架

3年前から森守洋コーチのサポートを受け、体の動きと連動した切り返しの改善に取り組みスウィングには何の不安もない状態で今季に臨んでいました。森コーチによると「オフからDプレーンの理解度を向上させてフェードを打つセットアップに取り組んで来ていました」と言います。

画像: 低迷した時期もあったがアプローチとパットの安定感はずば抜けていた

低迷した時期もあったがアプローチとパットの安定感はずば抜けていた

Dプレーンとは、ボールの打ち出し方向と曲がり方を、フェースの向きとクラブ軌道の関係で説明しフェースの向きが打ち出し方向を決め、クラブ軌道がボールの曲がり方を決めるというもの。つまりターゲットよりも左に打ち出しターゲットに向かうフェードであれば、フェース向きはターゲットより左に向き、フェース向きよりもアウトサイドインのクラブ軌道を描くことで成立します。そのためダウンブローで打つアイアンでのセットアップは、スタンスもフェース向きもターゲットよりも左に向ける必要があるというものです。

柏原選手はかつてフェードを打つ際にフェース向きはターゲットに向け、アウトサイドインのクラブ軌道でフェードを打つようにしていたため、ボールをこするようなミスショットが出ていました。森コーチの教えによりそれが改善し、つかまったフェードボールが安定して打てるようになって来ていました。

最終18番ホールの左の池の近くに切られたピン位置に対してピンよりも左を向きピンの右に着弾させたショットを見た森コーチは「テーマにして取り組んで来たことができていた」と話します。ボールを自在に操るプロゴルファーであっても感覚だけではなく、頭でも理屈を理解することでアップデートし弾道のコントロールを向上させているのです。

それではスウィングを見てみましょう。テークバックでは体との距離を保ち手元を遠くに上げていきます。体の正面から手元を外さないようにしながら体を縦にねじるように頭よりも手元が高いアップライトな弧を描いてトップへと向かいます。

画像: 長身を生かしたアップライトなスウィングでフェードボールを操る

長身を生かしたアップライトなスウィングでフェードボールを操る

渡邉彩香選手もそうですが、アップライトなスウィングプレーンは、クラブ長さのあるドライバーでもフェードが打ちやすくなります。逆にフラットなスウィングプレーンではインサイドからクラブが入りやすくドローが打ちやすくなります。

柏原選手のアップライトなスウィングプレーンを生かしてフェードを操り、今大会での3日間平均のドライビングディスタンスは、262.833ヤードで穴井詩、神谷そら選手に次いで3位にランクインしています。その要因はクラブのフィッティングがハマったこと、そしてこすり球ではなくつかまったフェードが打てるようになって来たことが大きいでしょう。

画像: ターゲットよりも左にフェースを向けることで左に打ち出し、アウトサイドインのクラブ軌道でフェードボールを打つ

ターゲットよりも左にフェースを向けることで左に打ち出し、アウトサイドインのクラブ軌道でフェードボールを打つ

低迷した時期もありましたが「応援してくれたすべての人に恩返しをしたい、父の前で勝ちたい」というモチベーションがハードな練習を耐える要因になり、6年ぶりの勝利へとたどり着きました。3勝目までは6年という時間を要しましたが4勝目は近い将来見せくれることでしょう。

写真/大澤進二

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