
「CATLadies2025」でツアー5勝目を飾った櫻井心那(撮影/有原裕晶)
6人がトップに並ぶ大混戦を制す

優勝して涙を流したのは初めてという櫻井。キャディの吉田弓美子に支えられた(撮影/有原裕晶)
櫻井は最後まで集中を切らさなかった。
6人がトップに並ぶ混戦状況で臨んだ最終18番パー5。第1打を270ヤード以上飛ばし、第2打はピンまで残り239ヤード。2オンを狙った3Wの1打は飛びすぎて奥のバンカーにつかまったが、落ち着いていた。ボールからカップまで10ヤード、グリーンに落ちてからは右に曲がるラインに対し、58度のウェッジを緩みなく振って見事50センチに寄せた。
「バンカーのイメージは出ていたので、その通りに打てて、まずはクリアかなという気持ちでした。バンカーショットは苦手ですけど、練習してきたことを思い出して自信に変えて打ちました」
残った50センチのウィニングパットを沈めると、感情を全身で表現した。両手を箱根の空に高く突き上げ、やがて喜びの涙がほおを伝って落ちた。2年ぶりの通算5勝目はそれほど大きな1勝。優勝インタビューも泣きながら受けた。
「乗り越えられないものもあったので、乗り越えられてよかったです。やっぱり周りの期待がすごくありましたし、だけど結果が出ない日が続いて、すごく長いなって感じていましたけど、今日優勝できて、思い返してみると短かったなって思います」
優勝して涙を流すのは初めてだった。
「優勝が決まったときは肩の荷が下りた気がしました。全然泣くつもりじゃなかったんですけど、あふれちゃいました。初優勝のときも泣いていないので、優勝して泣くのは初めてです。こんなはずじゃなかったんですけど」
この日は首位からスタートし、一時は入谷響に首位を譲ったが、入谷が15番のティーショットOBで優勝戦線から脱落。再びトップに返り咲くと、以後は最後まで首位を譲らずVゴールに飛び込んだ。
「(ボードで入谷が通算12アンダーまで伸ばしていたのは成績担当の)ボランティアさんが間違えているのかなと思っていたので、どういうこと? とは思いましたが、あまり焦りはなかったです。でも、それは本当だったんですね。今知りました」
昨年は予選落ち11回、今季も8回…そこからスランプ脱出

目澤秀憲コーチのスウィング指導を受けて、スランプ脱出(撮影/有原裕晶)
19歳だった2023年に4勝をマークし旋風を巻き起こしたが、昨季は一転未勝利で予選落ちが11回、今季も前週まで予選落ち8回とスランプに苦しんでいただけに、今週は劇的復活優勝となった。その陰には昨年秋から指導を受けるようになった目澤秀憲コーチ、今週キャディを依頼したツアー7勝のプロゴルファー・吉田弓美子の存在があった。
「目澤コーチに習ってからスウィングも変わりましたし、特にアプローチがよくなりました。(吉田)弓美子さんにはずっと背中を押してもらった。(18番では)プレーオフにはさせたくなかったんですけど、弓美子さんにも『早く帰りたいから分かっているよね』という圧みたいのを17番からかけられていたので、それで奮起してやるぞって気持ちになりました」
2年ぶりの優勝で復活を告げ、今後の達成目標が現実的になってきた。
「やぱっり(国内)メジャーで勝ちたいって気持ちがありますし来週は所属のニトリレディスがあります。(海外挑戦は)もっと経験しなくちゃいけないところもありますし、もっとうまくならければと思います」
この優勝を弾みに櫻井の再進撃が始まる。