「CAT Ladies」で今季初優勝を飾った櫻井心那。24年に不振に陥り、2年ぶりの優勝を果たしたスウィングをみんなのゴルフダイジェスト特派記者でプロゴルファーの中村修が解説。

吉田弓美子プロとのコンビでつかんだ復活優勝

練習日に櫻井心那選手を見かけた際に吉田弓美子プロがキャディとしてコンビを組む姿に驚きました。ただスウィングを見てこれまで目澤秀憲コーチと取り組んで来た成果が出て来ていると感じていました。

大箱根CCはインコースが難しく特に上がりの3ホールの難易度が高く、仮にリードしていても優勝するのは簡単ではないコース。最終日は吉田弓美子キャディに背中を押され、最終ホールのバーディで決着し2年ぶりの優勝を手にしました。

画像: 吉田弓美子(左)をキャディに復活優勝を手にした櫻井心那(右)

吉田弓美子(左)をキャディに復活優勝を手にした櫻井心那(右)

練習日にコースをチェックすると久しぶりにグリーンが硬くて速く、ラフはボールが沈み込むように立たせてあり、ショットのクオリティが問われるセッティングになっていました。初日は少しボールは止まるようにグリーンの硬さは落ち着いていましたが、上位陣はスピン量や弾道の高さで止められる選手が並んでいました。

櫻井選手の使用パターに注目するとピン「アンサー4」というショートネックのブレード型でステンレスのモデルでした。目澤コーチのスタジオにあったものを櫻井選手が気に入り、34インチの長さだったものを33インチにカットして投入したといいます。

ピンのツアー担当者の岩田さんによると、「2007年に発売した復刻版で当時と同じ金型で鋳造しているので実質オリジナルと同じモデル」とのこと。ヘッド重量は300gと軽く「最近は350g前後の重量のあるヘッドが多く、軽いヘッドのパターを使ったことがない選手は距離感が合わせやすく打感も良いと新鮮なようです」と教えてくれました。

画像: ピン「アンサー4」を武器に硬くて速いグリーンを攻略した

ピン「アンサー4」を武器に硬くて速いグリーンを攻略した

私も30年近く前のオリジナルの「アンサー4」を引っ張りだしてパターマットで転がしてみましたが、確かに軽いヘッドのパターに新鮮さを感じました。橋本真和パッティングコーチによると、「軽いヘッドのパターはテンポが速くなることで振り幅が小さくなり、手首のローテーションも減る」というメリットがあるようです。早速、次のラウンドで試してみたくなりました。

それではスウィングを見てみましょう。昨年はスウィングを崩しドローボールを打つ時期もありましたが、目澤コーチの指導の下、フェードボールに回帰しています。優勝会見ではスウィングで気をつけていることを聞かれるとフェースを開いて上げる意識だと話しました。

画像: フェースを開きながらテークバックすることを意識していたという

フェースを開きながらテークバックすることを意識していたという

「オープンウィークにスウィングのイメージをガラッと変えたんですけど、今週はフェースを開きながら上げるっていうか、ヘッドの位置とかを気をつけました。フェースを開きながら上げると、インパクトの時に閉じてくれるので、結構自分はインパクトで右わきが開いてクラブが寝るので(インパクトで)フェースを返してしまうか、開いたまま当たるかっていう癖とか、右わきが開いて突っ込んじゃう癖とかがあるので、そこで(フェースを)開きながら右わきを閉めて、ちょっとインパクトを低くみたいなイメージをやって、それを意識してました」(櫻井心那)

ストロンググリップやスクエアグリップと自身の相性も含めての組み合わせになりますが、フェースを開きながらテークバックするとインパクトに向けて閉じる動きが入りやすく、逆にシャットフェースでテークバックするとインパクトで開きやすい傾向があります。

25年春先のスウィングと23年10月スウィングと比較してみるとトップやダウンスウィングのシャフトの角度の違いが見て取れます。以前のスウィングでは切り返しでクラブが立って下りインパクトにかけてクラブが寝る傾向にありました。

画像: 25年春先のトップ(左)と23年のトップ(右)比べるとシャフトの向きの違いが見て取れる

25年春先のトップ(左)と23年のトップ(右)比べるとシャフトの向きの違いが見て取れる

その傾向を感覚とデータも含めて頭でも理解しながら改善して来たことで、スウィングの完成度が高まり自信を持って振り抜けるように変わっています。

画像: 25年春先のアドレス(左)~テークバック(中)~トップ(右)まで

25年春先のアドレス(左)~テークバック(中)~トップ(右)まで

ダウンスウィングを見ても下からあおるような動きが改善し、安定したフェードボールが打てるようになって来ていました。

画像: ダウンスウィングでクラブが寝る癖が改善され安定したフェードが打てるよう改善して来た

ダウンスウィングでクラブが寝る癖が改善され安定したフェードが打てるよう改善して来た

最終日に伸ばして終えることはできませんでしたが、今回の優勝で自信を深めたことで残るシーズンでも優勝争いをする姿が見られることでしょう。

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