パーオン率向上のカギは土台をしっかりさせること
苦手とする新南愛知CC美浜コースで今季2勝目を挙げた要因はパーオン率の向上と話しました。今オフから師事する坂詰和久コーチは渡邉彩香、宮田成華、髙木優奈、稲垣那奈子、そして神谷そら選手らをコーチとしてサポートしていますが、渡邉選手1勝と神谷選手2勝、稲垣選手1勝の計4勝を飾っています。
神谷選手は、同じ和久コーチ門下生との練習ラウンドを共にするうちに、「私よりお姉さんの皆さんが可愛がってくれているおかげでゴルフに少し自信を持てるようになって来て、ゴルフを楽しくプレーできるようになったことが大きい」と間近の4試合で2位タイ、4位タイ、8位タイと続き、今大会の優勝へと結びついたようです。
オフから練習もスウィングも持ち球も変えたという神谷選手は「まだ自分の目指す3割程度」と道半ばではありますが、課題としているパーオン率の向上は昨季の65.7143%(62位)から70.4995%(25位)へと大幅に改善されています。

「住友生命Vitalityレディス 東海クラシック」で今季2勝目を飾った神谷そら
坂詰コーチに話しを聞くと「可動域の広い神谷選手は上体が強くなりやすいので、下半身を安定させることで上体を制御するよう取り組んでいます」と話します。下半身が動きすぎると元々持つ可動域の広さからバックスウィングが大きくなってしまい、インパクトが不安定になり距離や方向性が失われます。そこで下半身を安定させることで可動域の広さを生かし、大きな飛距離を生みながらも方向性を確保できるという取り組みです。
関節は多方向に動かせる足首(モビリティ関節)、一方向に動かせるひざ(スタビリティ関節)、多方向に動かせる股関節(モビリティ関節)といった具合にモビリティ関節とスタビリティ関節とが交互に組み合わされています。可動域の広い神谷選手は安定すべき関節を安定させることで可動域の広さを効率よく使うこことができるということです。

下半身をどっしりと安定させることで可動域の広い身体的特徴を生かしている
神谷選手は下半身を安定させることで可動域の広い関節を持つ身体的特徴を生かし、ショットの安定性を高めることやケガの予防にもつながっていますが、そのためにはしっかりとした土台作りが必要になります。ゴルフはシーズンも長く試合数も多いので年間を通して成績を残すためには、トレーニングと体のケア、心や頭のリフレッシュも重要な要素になります。
ダウンスウィングの上半身と下半身の捻転差を見ると可動域の広さが見て取れます。トップからの切り返しで下半身から動き出すことで、引き伸ばされた筋肉が反射的に収縮する伸張反射を効率よく利用し、大きな飛距離に結びついています。

ダウンスウィングでは上半身と下半身の捻転差が大きく飛距離の源になっている
ラウンド中に高弾道のきれいな球を打つことを求めすぎると、風やライの影響を受けやすくなるため中弾道の練習にも取り組んでいると言います。
スコアメイクが上手いプレーヤーほど、苦手なロケーションやピン位置、風やライの対処に選ぶ番手の選択肢を広げています。神谷選手も最終日の17番パー4の深いラフからの2打目を48度とPWと迷いながらもPWを持って「Pちょん」(PWでちょんと打つ)を選択し、チャンスメイクしていました。そういったクラブ選択やライの状況判断なども着実にレベルアップしていることを表していました。
苦手なコースでつかんだ今季2勝目は残るシーズンでも自信となり、3勝目、ポイントランク女王争いへとつながることでしょう。
写真/大澤進ニ