表彰式で堀選手は「9年前の忘れ物を取りに来れて本当に良かった。皆さんありがとうございました」と声に出し、9年前の「日本女子オープン」で当時アマチュアだった畑岡奈紗選手との勝負に敗れたことから解放された瞬間でした。

3年ぶりのツアー3勝目を「日本女子オープン」で飾った堀琴音
高校1年生のアマチュア廣吉優梨菜選手と最終組でスタートする頃には雨足も強く降っていました。廣吉選手が1番でロングパットを決めてバーディ発進すると2番で堀選手がバーディと首位を譲りません。しかし、打ち上げで距離のある5番パー4でボギーとし再び廣吉選手と並ぶと6番パー3で廣吉選手がボギー、7番パー5で堀選手がバーディとし一歩抜け出して折り返します。
最終組から5組前で5打差からスタートした佐久間朱莉選手は、少しでも上位陣にプレッシャーを掛けるためには自身が良いプレーをするしかない順位から、前半を5つのバーディでスコアを伸ばします。
折り返した堀選手は10番、11番でバーディを奪い18アンダーまでスコアを伸ばし距離のある打ち上げの難しい13番パー4も寄せワンのパーでしのぎます。佐久間選手はその13番と15番でバーディを奪いますが、16番ではカップ淵にボールが止まり、最終18番パー5でもバーディを奪えず17アンダーでフィニッシュ。
堀選手は12番以降、落ち着いたプレーでパーを重ね16番パー4でバーディを奪い19アンダーまでスコアを伸ばします。池越えの17番パー3でも確実にグリーンを捉えパーとし佐久間選手に2打差を持って18番へと向かいます。
左サイドからグリーン手前まで池が絡む18番は3オン狙いでティーショットを3Wで刻むも右に飛び出しギャラリーに当たってラフに戻るラッキーもありました。2打目をしっかりとフェアウェイに戻し3打目をピン右4mに乗せ短いパーパットを残すと、バーディを決めた廣吉選手の後に短いウィニングパットを決め両手を挙げてガッツポーズ。プレッシャーの中でつかんだビッグタイトルに安堵の笑みを浮かべました。

最終18番パー5でもしっかりと3打目を乗せ勝利を確信した
優勝会見では「あの試合で良くも悪くも堀琴音の名前を知っていただいた。でも試合のことを言われれば言われるほど苦しかった」と当時を振り返りました。先輩プロの原江里菜選手から森守洋コーチを紹介され、「この二人といたらポジティブになれる」とすがるように師事し、「二人がいなかったら初優勝もメジャー優勝も挙げられていなかった」と感謝を口にしました。

原江里菜、柏原明日架、菅沼菜々らも指導する森守洋コーチ(左)と堀琴音(右)
猛暑や雨の影響もありある程度広いフェアウェイに軟らかいグリーンは多くのビッグスコアを生み、最終日も佐久間朱莉、河本結選手は65、神谷そら選手は64とスコアボードを駆け上がりました。その中で史上最年少優勝を目指したアマチュアの廣吉優梨菜選手はバーディが遠く、3バーディ2ボギーとスコアを1つ伸ばし単独3位で終えローアマのタイトルを獲得しました。

メジャー初勝利を「日本女子オープン」で飾った堀琴音(左)とローアマを獲得した廣吉優梨菜(右)
日本女子オープンの歴史に名を刻んだ堀琴音選手。次なる目標を聞かれ「メジャーで初めて勝てたので他のメジャーで勝つことにも挑戦していきたい。次はリコーカップ(JLPGAツアー選手権リコー杯)で頑張りたい」と最終戦での活躍を誓いました。
写真/姉崎正