「日本女子オープン」でメジャー初制覇を遂げた堀琴音。フェアウェイキープ率1位のフェードヒッターのスウィングをみんなのゴルフダイジェスト特派記者でプロゴルファーの中村修が解説。

オリジナリティあふれるプレースタイル

9年前の雪辱を晴らし「日本女子オープン」で優勝を飾った堀琴音選手。大げさにアウトに上げるテークバックから胸を地面に向けるように下ろす独特のルーティンやボールを見ずにストロークする長尺パターのパッティングなどオリジナリティあふれるプレーが魅力的です。

FWキープ率1位、パーオン率11位、パー3の平均スコア7位とショット力の高さはツアーでも屈指の実力を持っています。今大会でのスタッツを見てもFWキープ率は全体の3番目、パーオン率は2番目の記録を残し、持ち前のショット力にプラスして1ラウンド当たりの平均パット28.75とパーオン率が高いのにパット数が少なくパットの貢献度が高かったことも表れています。

画像: 9年前の雪辱を晴らし「日本女子オープン」で優勝を飾った堀琴音

9年前の雪辱を晴らし「日本女子オープン」で優勝を飾った堀琴音

優勝会見でそのパット好調の要因を聞くと「やっぱり、ショートパットもロングパットも、しっかりタッチを合わせて、リズムよく打つってことだけを考えてやっていました」との答え。打つ前にヘッドを芝に押さえつけないことで、始動がスムーズになりリズムよく打てていた印象です。

独特のルーティンは突っ込まないための意識づけ

ドライバーやアイアンショットを打つ前のルーティンは、クラブヘッドをアウトに上げ、伸び上がるようなアップライトなトップを作り、そこからボールの後方にクラブを地面に落とすように胸を下に向けて下ろします。

「最初はSNSでタイガー・ウッズがやっていたのを見て真似しようと始めましたが、今は体が突っ込む癖があるので突っ込まないように捻転を意識して、下半身は回るけど上半身は右側でさばくイメージ」と教えてくれました。

画像: 外に上げてアップライトなトップから、胸を地面に向けて下ろすルーティンは体を突っ込ませないため

外に上げてアップライトなトップから、胸を地面に向けて下ろすルーティンは体を突っ込ませないため

優勝が決まった後に森守洋コーチに話しを聞くと「練習日に3年前より外に上がり過ぎていませんか? 直したほうがいいですよね」と連絡があったといい、それを聞いた森コーチは「今さら?」と思ったそうですが「いや、上がるところはそうだけどダウンで良いところに下りて来てるから問題ないんだよ」と諭したと話しました。恐らく女子オープンを前に少しナーバスになっていたのでしょうね。

大げさなルーティンから、スウィングの始動では一度左へ重心を移動させてからクラブを動かしリズムを取ります。

画像: フォワードルーティンは一度左に重心移動してから始動する

フォワードルーティンは一度左に重心移動してから始動する

テークバックでは外に上げますが、アップライトなトップでのシャフトの向きはターゲットよりも左を向くレイドオフ。そこから上半身と下半身の捻転差を作ったままダウンスウィングに入ることでスウィングプレーンに乗せて来ます。

画像: レイドオフのトップから捻転差を保ってクラブをスウィングプレーンに乗せる

レイドオフのトップから捻転差を保ってクラブをスウィングプレーンに乗せる

フェースが少し開いて下りて来ますが、しっかりと閉じて打ち出し方向に向いた位置でインパクトしています。フェースが開いたままインパクトするとスライスになりますが、打ち出し方向に向けたフェース向きでインパクトすることで、ターゲットよりも左に打ち出してからターゲットを指すフェードボールで飛距離と方向性をコントロールしています。

ショット力が高いだけに、「全ピンです!」(すべてのホールでピンを狙って打つ)なんて答えが返って来た時期もありましたが、今大会では打ち上げで距離のあるパー4や左右にピンが振られた池越えのパーなど、メリハリのあるマネジメントでコースを攻めていた姿が印象的でした。

残るシーズンでも持ち味を生かしたプレーでツアーを盛り上げてくれることでしょう。

写真/姉崎正、中村修

「9年前に忘れ物」をした堀琴音が国内メジャー初制覇

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