短期決戦を制したのはメンタル面の強化と意地
最終日は濃霧のためスタート時間が4時間遅れになり、上位30名のセカンドカットが実施され9ホールの短期決戦になりました。霧が多い標高の高いホールを除いて1番(パー4)、9番(パー4)、10(パー3)、11番(パー5)、14番(パー4)、15番(パー5)、16番(パー3)、17番(パー4)、18番(パー5)がピックアップされ、パー3が2ホール、パー4が5ホール、パー5が2ホールと通常通りのパー36となりテレビや動画配信の中継も考慮するとベストな9ホールの選択でした。
米女子ツアー参戦中の渋野日向子、原英莉花、岩井明愛・千怜、古江彩佳らが参戦したこともあり、多くのギャラリーが集まりました。その中で岩井千怜選手が単独2位で終え存在感をアピール、予選落ちに終わった渋野日向子と古江彩佳選手は今週の「富士通レディース」にも出場します。

「スタンレーレディスホンダゴルフトーナメントで今季2勝目を飾った河本結
試合に話しを戻すと、2日目の最終ホールをバーディとし1打差の首位で終えた河本結選手は、出だしの1番、9番でバーディと幸先よく主導権を握ります。11番パー5でも奥のカラーからバーディ、16番パー3でも4.5mのバーディを奪い4つスコアを伸ばし後続に3打差で今季2勝目を飾りました。
ショット、パットともに持てるパフォーマンスを発揮できたのは、メンタル面の強化と「JLPGAの意地を見せたかった」という強い気持ちだったのではないでしょうか。それではスウィングを見てみましょう。
右ひじを内側に向けたアドレスで再現性アップ
河本選手の持ち味は再現性の高さにあります。右ひじを内側に絞るような向きで構えるアドレスから始動すると、右わきが締まりいつも同じようにテークバックできると河本選手は言いますが、自分なりのポイントを持つことはスウィングの再現性を高めるうえではとても重要なコツになります。

アドレスでは右ひじを内側に絞るように噛めることでテークバックの位置を安定させている
始動でわずかにバイザーの向きが右に向くのは左肩を下げるようにテークバックするから。これは前傾姿勢をキープしながらテークバックしようとするとみられる自然な動きです。そうすることで肩のラインがフラットに回り左わきが開いたり、体が伸び上がることを防ぐことにつながっています。
骨盤の前傾をキープしたままダウンスウィングに入ることで、腰が前に出てしまうエラーもありませんし、股関節が上手く使えることで上半身と下半身の捻転差をしっかりと作られています。体幹をねじり戻すための捻転差を作ることで飛距離にも結び付き、再現性の高さにもつながっています。

骨盤の前傾をキープしたまま切り返すことで上半身と下半身の捻転差を作る
中継のテレビカメラやメディアのカメラマンに手を振ったり、観戦チケットを購入して来場したギャラリーを巻き込み、魅せるプレーは河本選手の「日本ツアーを盛り上げたい」という気持ちやプロスポーツ選手としての自覚や覚悟が表れています。黄金世代初の年間女王戴冠を目指して残るシーズンも大暴れすることでしょう。
写真/岡沢裕行