最速グリーンを制した堅実派、金子駆大と原敏之が首位争いに浮上
厳しいセッティングの中、トータル3アンダーで首位争いに浮上したのは、原敏之と金子駆大の2人。特に2日目のスコアは、原、金子ともに4アンダーの66と、難コースでロースコアをマーク。
原敏之:冴えわたった「2打目以降の完璧さ」

首位タイに浮上した原敏之。読み仮名が「はら・さとし」だ
予選会(QT)から出場権を獲得した原は、2日目を「2打目以降、自分でも完璧に近いプレーができた」と振り返る。ラフに入る場面もありながら、木をかわすわずかなラッキーが続いたことに加え、アプローチとパッティングが「本当に自分でも言うのもなんなんですが冴えていた」と自己評価。
特にラインの読みは完璧で、1〜3メートルという微妙な距離のパーパットを「全部決まった」ことが、ピンチを最小限に留めた要因だ。現在、賞金ランキング54位とシード争いの渦中にある原は、「シードを確定させたいのが第一の目標」としながらも、最高の場所で戦えている現状に「目標を変えずにしっかり足元を地に足付けてプレーしたい」と、週末への集中を誓った。
金子駆大:タフなセッティングを好む堅実な戦略

アダム・スコットと同組も周りを気にせず、自分のプレーで首位タイになった金子駆大
金子はボギーが先行した出だしも、「5メートルくらいのパーパットが入って」流れを変え、アウトを34、インを32で回りトータル3アンダーに。彼は「こういうタフなセッティングのほうが自分は好き」だと語り、日光CCのような難コースとの相性の良さを見せる。
戦略は徹底した堅実路線だ。「ボギーを打たないように、センター、センターにという感じ」で、パーオンを優先するゴルフが功を奏した。アダム・スコット(オーストラリア)と2日間同組で回りながらも「あまり人のプレーは見ずに自分のプレーに集中できた」と、メンタルの強さも見せた金子。海外メジャー切符が懸かる大舞台へ向け、「それが大きい」と力を込めた。
メンタルを修正した河本力と、リズムを取り戻した清水大成
トータル2アンダーの河本力とトータル1アンダーの清水大成(どちらも2日目は67)も、初日の出遅れから見事にスコアを伸ばし、上位に食い込んだ。
河本力:自爆を克服し、「次のショット」に徹する

河本力は首位に1打差の3位タイで週末に挑む
河本は、この2週間、ゴルフに対するメンタル的な修正に集中してきたことを明かした。「完璧主義すぎたり、自分のことを許せなくなっちゃったり」と、焦りからくるメンタルの自爆に苦しんでいたという。
その結論は「やってしまったことは過去なので、過去に囚われない」こと。プレー中は「次のショットをどういい方向に持って行くかだけを考えている」と語る。「初日の前半で3オーバー打ったんですけど、しっかり返ってくることができたので、そこはすごく成長している」と手応えを感じている。
清水大成:スウィング始動を遅らせてリズム回復

今年の日本プロを制している清水大成。同一年に国内メジャー2勝を狙う
清水は初日、ティーショットの不調に苦しんだが、2日目はショットが安定。「スウィングの始動を少しゆっくりするイメージ」に変えたことでリズムが回復し、フェアウェイキープが9回に増加した。10メートル近いパットを2つ沈めるなどパッティングも冴え、2日目を3アンダーでフィニッシュした。
「この試合に勝つことで、特典がすごいので勝ちたい」と、マスターズの切符を見据える清水。週末に向けて、「フェードは自信を持って、むしろスライスでもいいぐらいで打つようにしてます」と、攻めの姿勢を維持する構えだ。
予選通過を果たしたプロたちは、難セッティングの中で見つけた光明を武器に、週末のムービングサタデー、そして最終日のタイトル獲得を目指す。
撮影/姉崎正