先日の日本女子オープンで堀琴音プロが優勝を飾りました。ブリヂストン社製のアイアンやUTを長年愛用していることが話題になったり、クラブセッティングにもこだわりのある堀琴音プロですが、シャフトにもこだわりを持っているプロゴルファーの一人です。堀琴音プロがウッドに使用しているグラファイトデザイン社製のシャフトは他に使用プロが多くいるモデルではないですが、ドライバーからフェアウェイウッドにすべて同じスペックを装着していることでも注目されています。そこで、今回は堀琴音プロのウッドのシャフトセッティングを検証していきたいと思います。
先ず堀琴音プロのウッドの使用シャフトですが、グラファイトデザイン社の「TOUR AD HD 5S」を使用しています。
堀琴音のウッドシャフト
1W:グラファイトデザイン ツアーAD HD 5S
3W:グラファイトデザイン ツアーAD HD 5S
5W:グラファイトデザイン ツアーAD HD 5S
7W:グラファイトデザイン ツアーAD HD 5S
グラファイトデザイン「ツアーAD HD」ってどんなシャフト?
「ツアーAD HD」を改めて紹介したいと思います。
「ツアーAD HD」は2020年9月に発売されたモデル。「HD」のネーミングの由来は「HYPER DRIVE」の頭文字を取ったもので、超弾道、強弾道を意味しています。ホワイトのシャフトカラーからイメージするよりも力強さを感じるネーミングのシャフトです。
堀琴音プロの使用するHD5Sはシャフト重量59グラム、トルク4.4の中調子のシャフトです。メーカーのカタログには「最新素材の組み合わせによる弾きとスピンの両立、叩ける弾き系シャフト」と記載があり、2020年発売当時の最新素材を採用した大型・高慣性モーメントのヘッド性能を最大限に活かすシャフト設計です。

写真はツアーAD HD(6S)
シャフト重量は59グラムと、グラファイトデザイン社の50グラム台・Sフレックスのラインナップで最も重いシャフトです。キックポイントは中調子のシャフトですが、手元側から先端部分まで剛性に大きな差を設けていないことで穏やかなシャフト挙動です。手元側の剛性も高くないので切り返し時のタイミングが取りやすく、手元調子のようなシャフトフィーリングです。
シャフト中間部分にしなるポイントがあり、中間部分から先端部分にかけてやや硬度を高く設計していることでほんのりスピード感がありますが、先端部分の挙動は安定感がありインパクト時の打点のばらつきを抑えて安定したバックスピン量を実現しているシャフトに仕上がっています。
「ツアーAD HD」は高強度の素材で構成されていますが、手元側で切り返しのタイミングが取りやすく、スムーズなしなりで扱いやすいシャフトです。元調子系のシャフトが合う方にも良いと思います。
「ツアーAD HD(5S)」はフェアウェイウッドにも合う?
堀琴音プロがフェアウェイウッドに装着している「ツアーAD HD 5S」はフェアウェイウッドにも合うのでしょうか?
堀琴音プロは1W、3W、5W、7Wに同じ「ツアーAD 5S」を装着して使用しています。堀琴音プロに限らずプロゴルファーの場合、ドライバーに使用しているシャフトと同じモデルをフェアウェイウッドに装着しているケースはそう珍しいことではありません。その理由は「振り感を揃えている」ということになるでしょう。ドライバーショットの切り返しのタイミングと同じイメージをフェアウェイウッドにも求めているケースが多いと思います。

日本女子オープンで優勝した堀琴音がウッドで使用していたモデルが「TOUR AD HD 5S」(撮影/姉崎正)
ただしドライバー用シャフトをフェアウェイウッドに装着すると全てイメージ通りに「振り感が揃う」かというと一概に言えません。フェアウェイウッドに装着する場合は当然シャフトの手元側のカット量が多くなりますので手元側の剛性が硬いシャフトだと切り返しのイメージに相違が出る場合も多くあります。
堀琴音プロの装着している「ツアーAD HD 5S」が仮に3W、5W、7Wが0.5インチずつレングスが短くなっていると仮定して考えると手元側のカット量も3Wと7Wで1インチ違うことになります。イメージ通りの「振り感」に揃うためにはシャフトの手元側の剛性設計がポイントになるでしょう。
「ツアーAD HD」 の場合は手元側の剛性と中間部分までの剛性に大きな差がなく、ある程度カットしても切り返しのイメージに大きな違いが出にくいシャフトになっていますので「振り感が揃う」シャフトとも言えます。
グラファイトデザイン社のシャフトラインナップで手元側から先端部分まで全長の剛性の差が大きくないシャフトとしては「ツアーAD PT」や「ツアーAD DI」があります。この2本も多くのプロゴルファーがフェアウェイウッドに装着しているシャフトで、バット(手元)カットやチップ(先端)カットにも対応している設計のシャフトとなっています。
「ツア―AD HD」は「PT」「DI」よりも開発年度が新しいこともあり、先端部分の設計や素材による安定感もプラスされていて打点のバラツキにも強く安定したスピン量も確保しています。その点からも堀琴音プロがフェアウェイウッドの3W、5W、7Wに同じHD 5Sを装着しても「振り感が揃う」イメージになり違和感なく使うことができるのでしょう。
フェアウェイウッドのシャフト重量を揃える理由は?
一般的にドライバーシャフトをフェアウェイウッドに装着する場合、シャフト重量をどうしたら良いか悩む方も多いと思います。特に5W、7Wはシャフトカット量が多くなることでシャフト重量が軽くなるので3Wよりも重いシャフトを装着する方が良いのでは? と考えるケースもあるはずです。
グラファイトデザイン社のツアーサービスを受けているトッププロですので、当然5Wや7Wに60グラム台のシャフト等も試していると思いますが、自身にとって一番「しっくりくる」感覚のセッティングが「全て同じHD 5Sを装着すること」なのだと考えられます。
特にプロの場合は試合で番手毎の飛距離をイメージした弾道で打てるように扱いやすいシャフト重量にすることで理想的な弾道コントロールを実現しています。堀琴音プロのフェアウェイウッドのシャフト重量セッティングは自身のスウィングでコントロールしやすいように「振り感を揃える」という感覚的なものを重視してセッティングになっています。
一般のゴルファーも自身の感覚での「振り感」を重視したシャフト重量選びをしてみてはいかがでしょうか?


