「ゴルフ自体を楽しんで欲しい」

アダム・スコットと仁科優花さん(右)
アダム・スコットは、JGAとの育成プログラムが10年以上続き、日本の育成強化が前進していることを実感しているという。特に、子どもたちが毎年楽しみに集まる姿は、自身にとって感動的であると明かした。プロゴルファーとしての活動が「ビジネス的」になりがちななかで、子どもたちの情熱に触れることが、彼自身の喜びにもつながっているそうだ。
子どもたちの様子について、「情報が変わってきている」と指摘。以前と比べて、スウィングなどの「技術的な質問」が多くなっているという。ドライバースウィングで悩んでいたという仁科優花さん(第一学院高校1年)も技術的なアドバイスを求めた1人だ。
レッスン終了後の取材で仁科さんは「いつもお父さんやコーチに『こういった練習したほうが良いんじゃない?』と言われるんですけど、アダムさんは、『自分に合う練習を見つけたほうが良いんじゃない?』って自分で考えるようなアドバイスをくれたので、とても新鮮でした」と、若干コーチを頼り過ぎていたと実感。マスターズ覇者からのアドバイスは彼女をより成長させてくれるはずだ。
彼がジュニアたちに対し、伝えたかったのは「レンジでスウィングを直すことだけではなく、どうやってコース上でプレーするか、ゴルフ自体を楽しみながらやるのか」という視点を持つことの重要性だった。
自身のジュニア時代との違いは、より“シリアス”な環境へ

ジュニアゴルファー達の質問に丁寧に答えるアダム・スコット
アダム・スコットは、今のジュニアと自身のジュニア時代を比較し、現在の環境がよりシリアスになっていると感じているようだ。
自身が育った時代は、単純に「試合に行ってプレーする」ことに集中する環境だったのに対し、現在はコーチングや練習方法など、細かいところにまで意識が向き、技術的な側面への集中度が高まっている。これが良いか悪いかではなく、環境が変化している事実を語った。

海外に比べ、日本はドライビングレンジでの練習が中心になっているとアダム・スコット
また、日本と海外のゴルフ環境のアクセスの違いにも言及。オーストラリアが非常にオープンでコースにアクセスしやすい環境である一方、日本はドライビングレンジでの練習が中心になっていると分析した。彼は、日本でもゴルフへのアクセスがさらに改善されることを望んでいるという。
そして、子どもたちが将来、プロとして成功するか否かにかかわらず、大切にしてほしいことを語った。
プロを目指すのであれば、他の選手も同じように練習やトレーニングをしているため、「強く、上手くなりたい」という気持ちの底から来る強い力と、戦う準備が大切だと強調した。
一方で、途中でプロにならない道を選んだとしても、ゴルフに早く出合ったことで学べる「人生における重要なレッスン」があるという 。彼は、ゴルフを通して良いスタートを切れているのだから、そこで学んだ教訓を大切にして生きていってほしいと、エールを送った。
最後には参加者たちに“宝物”が…!

アダムスコットの直筆サイン入りのポロシャツがジュニアゴルファー達にプレゼントされた
イベントの最後には、アダム・スコットが契約する『ユニクロ』の直筆サイン入りポロシャツがプレゼントされた。みんなが一斉にポロシャツが置かれた場所に集まり、好きな色のポロシャツを持ち帰った。

最後に参加者全員と写真撮影!
ゴルフというスポーツを通じて、世界的なトッププロから直接指導を受けるという貴重な体験は、参加したジュニアたちの心に強く刻まれた瞬間に違いない。彼が語った「ゴルフは人生のレッスン」というメッセージとともに、技術的な上達だけでなく、スポーツマンとしての情熱や、人生を豊かにするための教訓を学ぶ、最高の機会となっただろう。この日の貴重な経験が、未来のゴルファーたちの成長を力強く後押しすることになるに違いない。