
22アンダーで首位に立つジーノ・ティティクル(左、撮影/姉崎正)と6打差の2位で追いかえるネリー・コルダ(右、撮影/岩本芳弘)
ジーノ・ティティクルの天真爛漫な攻め
世界一の座を守り、最終戦のタイトルに王手をかけたジーノ・ティティクル。この日もスコアを伸ばし続けながら、彼女の頭の中にあるのは「シンプルな戦略」と「笑い」だけだ。
「昨日も今日も、私が打ち込んだものはすべて素晴らしかった」と語るジーノ。好調の要因を問われると、「希望通り、フェアウェイ、グリーン、パットを決めることだけ」と、あまりにもシンプルな戦略を明かした。
バーディを量産する瞬間も、「何をやってるか気づいていない」という彼女。「ただ同じことをやろうとしていました。ピンの近くに寄せられるベストな場所を見つけて、パットを決める。シンプルな戦略です」。
プレッシャーのかかる最終組のプレー中も、「リーダーボードは少し見ました。ただみんなが終わったかを知りたかっただけなんです」と、まるで他人事。この天真爛漫さが、プレッシャーを寄せ付けない最大の武器となっている。
「CMEグループ ツアー選手権」の週にジーノは毎日「Sushi Thai Too」というレストランで食事をしている。故郷タイの料理を食べることで、「自宅にいるように感じる」という。
「タイの辛いパパイヤサラダを食べたら、泣いちゃうくらい。でも明日の夜食べます」と、最終日の勝利後に「ご褒美」を食べることを楽しみにしている。この、ゴルフを心から楽しむ姿勢こそが、彼女をトップの座に留めている原動力だ。
ネリー・コルダのプロセスを崩さない「慎重さ」
ジーノを6打差で追う立場となったネリー・コルダは、対照的に冷静沈着だ。
ネリーは、終盤にスコアを伸ばす際も、精神的なシフトはないという。「その瞬間、自分が正確に何をしているかに集中するだけ」と、プロセス重視の姿勢を貫く。
この日のようにロースコアの展開でも、「風やピン位置、ティーショットの出来によって、積極的になれるかが決まる」と、常に状況を読み、無理はしない。
特に、最終日最終盤の戦い方について、彼女は警鐘を鳴らす。
「頑張ろうとしすぎると、ミスが少し忍び込み始めると感じている。自分のプロセスと自分自身に集中しなければならない」
彼女にとって、優勝争いは「無理をしてはいけない」ゲームだ。「もし少し先走りすぎたり、押しすぎたりすると、そのミスが忍び込み始め、有益にはならない」と、長年の経験から導き出された慎重なゴルフ哲学を語った。
最終日へ:世界トップ2の決戦
世界ランキング1位と2位という最高のライバル関係にある二人。ネリーは「本当に素晴らしいゴルフをした。ティーからグリーンまで本当に素晴らしかった。パットにも力を発揮した」と自身のプレーに満足しながらも、「まだいくつか残したパットもあった」と、完璧ではない一日を振り返った。
6打差という大きな差を追うネリーに対し、ジーノは「明日18ホール。うまく片付けて、やってくるオフシーズンを楽しみたい」と、余裕のコメント。
天真爛漫なジーノが逃げ切るのか。それとも、冷静沈着なネリーがミスを誘い、大逆転を演じるのか。世界最高峰の二人の女王による最終日の戦いは現地時間の11時40分(日本時間の24日1時40分)にスタートする。
※2025年11月23日23時29分、一部加筆修正しました。


