今季中盤からショットが乱れてボロボロの状態に陥った脇元。腰痛も悪化して予選落ちが続き、「どうしていいのかわからなくなったときに、誰に連絡しようって考えて閃いたのが晋呉さんだったんです」と話す。
高校生の頃から「晋呉合宿」に参加して、ゴルフの基礎や練習法などの指導を受けてきた。片山自身が現役プレーヤーでもあるためいわゆる「コーチ」ではないが、困ったときに相談できる「師匠」的な存在だ。

アライメントがズレているとテークバックもズレると指摘
「10月頭に華ちゃんから連絡が来てスウィングの動画を送ってもらったんだけど、『よくそれで試合に出られているね』っていう感じでした。アドレスもテークバックもインパクトも悪かったから、それじゃあ真っすぐ飛ぶわけないよって」。見兼ねた片山が「なんとかしないと」と翌週に2人がいた(片山は大阪、脇元は三島)中間地点の名古屋で落ち合い、練習場で3時間の熱血指導をし、試合で戦えるレベルに修正した。それから毎日のように連絡を取り合いながらリモート指導が続き、伊藤園の2週前には「かなりしっくり打てる状態にまでなって、そろそろ大丈夫だねと言っていたら優勝しました。僕もずっと腰痛を抱えてきて腰が痛いときの誤魔化し方とか知っているので、そういうことを教えてあげられたのもよかったと思います」(片山)
片山自身は6月に化膿性椎間板炎にかかり、先週のシニアツアーでようやく試合復帰したが「試合になるとどんどん振っちゃうから痛みが出てダメだった」と最終日の3日目に棄権。今季の自分のシーズンは終了したが、愛弟子の最終戦に「直接見て伝えられることがたくさんあるから」と駆け付けたというわけだ。
「スウィングはオフにまた合宿でじっくり取り組めばいいから、今日はまだズレが残っていたアライメントを中心に直しました。女子は休みなく試合が続くから、どうしてもアライメントがズレやすい。それに気付かずにショットが曲がるからとスウィングをイジリ出すと『ドツボ』にハマるんです。10月頃の華ちゃんがまさにそんな感じでした」(片山)
片山が丁寧に向きをチェックしてアドレスの入り方やテークバックの上げ方まで伝えると、脇元のショットは見る見る音が良くなった。

写真左/アドレスを後方から撮影して向きのズレを本人に確認させる片山、写真右/高麗芝の中にティフトン芝が紛れている宮崎CC 。「ティフトンからは特別な打ち方があるんです」
「あんなに悪かったショットが芯を食うようになりました。練習ラウンドでは逆目のラフのアプローチとかも教えてもらって“技のひきだし”が増えたし、晋呉さんって改めてすごい人だなって見直しました(笑)」(脇元)
2人の子弟関係は10年以上だが、「オフに一緒にラウンドはするけど、試合のセッティングのなかで使える技とかは伝えられてこなかったから、今日来て良かったです。試合中もどんなプレーをするのか見たことないので、木曜日以降もまた教えられることがあるかなと思います」(片山)
勝ち方を知り尽くした永久シード選手という超強力なバックアップを受けながら、地元優勝を果たせるか注目だ。
文&写真/重富由美子
