1970年代からアジア、欧州、北米などのコースを取材し、現在、日本ゴルフコース設計者協会名誉協力会員として活動する吉川丈雄がラウンド中に話題になる「ゴルフの知識」を綴るコラム。第41回目は、バンカーの“砂”について。

景観と難易度を高める白い砂の正体

画像: 白砂、水面、そして芝のコントラストが、コースの美しさを際立たせる

白砂、水面、そして芝のコントラストが、コースの美しさを際立たせる

ティーイングエリアから構えると、フェアウェイ右側にバンカー、少し先の左側にもバンカーがある、というのが日本コースの特長のひとつといえる。右側が手前なのはスライサーの球を、少し先の左側のバンカーはフックの球をとらえる、という意図なのだろうか。なぜこのような配列になっているコースが多いのかは不明だが、内陸部に造られたパークランドスタイルのコースはバンカーが不可欠となる。

本来、ゴルフというゲームはリンクスで行われてきたもので、リンクスは海岸に接する砂地に造られている。ティーイングエリア、フェアウェイ、そしてグリーン以外では地肌そのままのウエストエリア、膝や腰まで伸びたハリエニシダのラフ、そして深く掘った部分がバンカーということになる。イングランドやスコットランドで目撃したのは、コースの芝を剥し、フェアウェイを掘り、剥した芝をグリーン方向側の壁に積み上げてソッドウォールバンカーを造っていたことだ。この場合、下地は砂なので掘った部分には砂を入れない。

画像: 大洗GCのバンカー

大洗GCのバンカー

茨城県にある大洗GCは砂地の上に造られていて「掘ればバンカーになりますから」とバンカーの砂を購入したことがないという。

実際に内陸部コースの大半は砂地ではないことから、デザイン的にも戦略的にもバンカーなどを造る必要性があるのだ。結果、景観と難易度が高まることにもなる。この場合のバンカーは、どちらかといえばナチュラルというよりデザインされたものになる傾向がある。しかし近年、欧米の内陸部コースでは意図的にクラシカルなナチュラルバンカーを造る傾向があるようだ。

コースによって使われる砂の種類は異なり、本来はリンクスランドだからそこにある砂をそのまま使うことになるが、内陸部のコースではコース理念、もしくは経費に見合った砂を導入することになる。

ゴルフの祭典マスターズが行われるオーガスタナショナルGCで使われている真っ白な砂は、アパラチア山脈の鉱山で採掘されたスパーク・クオーツ・サンドといわれているものできめが細かく白色が特長で高価といわれている。この他にも大理石などを砕いた白い砂もある。

日本のコースでも白い砂を使うコースが多くなっているが、福島県産の白竜砕石の色は白く芝の緑とのコントラストが美しい。だが、料金が高めなことから同じように白い砂の愛知砂、瀬戸砂もよく使われ中国海南島の白砂も人気があるようだ。白い色の砂を使う最大の理由は、景観がよくなり視認性も高まるからだろう。

バンカーに使われる砂は、いわゆる公園などの「砂場」の砂とは異なり様々な条件がある。

①砂粒が均一されている
②砂の角があること
③排水性に優れている
④なるべく白色で遠くからの視認性に優れる

などで、砂の中に含まれる粒子が粗砂0.5~1mm、細砂0.1~0.25mm、極細砂0.05~0.1mm、粘土質などを含まないものが良いとされる。砂は採掘場所により山砂、川砂、海砂、砕砂と分けられ色や硬度、粒子の大きさも異なる。例えば川の上流で採掘される砂は茶色が多くバンカーに入れると締まりやすいという特長があり、下流や海砂の砂は柔らかくバンカーに打ち込んでしまうと球は沈みやすく目玉になるため難しくなる。つまり、砂の粒子が粗く硬めのほうが球は沈みにくいことから脱出しやすいといえる。

バンカーに入る砂は想像以上に多量で、バンカーの数があればあるほど経費は嵩むことになり、なるべく近場の優れた砂を採用することにする。

文・写真/吉川丈雄(特別編集委員)
1970年代からアジア、欧州、北米などのコースを取材。チョイス誌編集長も務めたコースやゴルフの歴史のスペシャリスト。現在、日本ゴルフコース設計者協会名誉協力会員としても活動中

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