正午時点での気温は17.2度、風は3mの発表でしたが、トップスタート8時30分は北西の風が強く、肌寒いなかでスタートしていきました。2日目に注目したのは、米女子ツアーから帰国参戦する畑岡奈紗と穴井詩選手の組。畑岡選手は米国内での乗り継ぎ便がキャンセルになり宮崎入りしたのは水曜日の午前中。インコース9ホールだけの練習ラウンドでしたが初日を4バーディ4ボギーのイーブンパー18位で終えていました。

「JLPGAツアー選手権リコー杯」の2日目を67でプレーし首位に立った穴井詩(右)とイーブンパー13位で終えた畑岡奈紗(左)
「TOTOジャパンクラシック」で3年半ぶりの優勝を飾りスウィングやパット、体の状態も良いとコーチ兼トレーナーを務める高田洋平トレーナーに聞いていましたが、実際に試合での畑岡選手を見るのは久しぶりでしたので楽しみにしていました。
体の動きをイメージするように素振りをし、右手を添えてから左手を握るルーティン。そこからのスウィングはインパクトで強く入ることもなく、ジャンプする動きも少なくなりスウィングのバランスがとても良くスムーズに感じました。高田トレーナーからは「畑岡さんの体の特性に合わせた体の動きにしたことで動きが良くなりましたが、最後のピースになった右手の使い方を変えたことで再現性が向上し飛距離も伸びました」と、聞いていた通りでした。
右手のグリップを下からでも上からでもなく、左手の甲と平行になるようにナチュラルに握るようにしたことで体の動きとクラブの動きがマッチアップして振れているようです。

グリップの握り方、体の動きをイメージするように丁寧に素振りをするルーティン
「そこは継続して気を付けているポイントであるので、なるべくそれを続けられるように、というのはもちろんあります。意識はちゃんとして忠実にできるようにしています」と話してくれました。
後半の17番パー4では右の林に打ち込み2打目は出すだけの状況。ラフからの50ヤードほどの3打目は、グリーン左サイドにある段の上に切られたピンに対して、上り傾斜に落としてランを使ってピンそば1.5メートルにつけると、それを沈めてパーで切り抜けます。「17番は狙えた通りに打てた、ラフだったので傾斜に当たってくれれば良いなと思いました」と話します。
今日のプレーについては「昨日よりはショットはまとまっていましたが、後半振り遅れたりするところがあったので少しもったいなかったです。でもよく我慢できたところもあったので。パッティングもしっかり打てているのでストレスもないので、明日はショットでバーディチャンスを増やして良ければ」と明日のプレーに期待しましょう。
フィールドベストの5アンダーでプレーし、13位タイから一気に単独首位に躍り出た穴井詩選手。出だしの1番パー4では106ヤードの2打目を放り込むショットインイーグルでスタートすると、3番でボギーの後、4番でバウンスバックのバーディ。ピン手前6メートルから見事なバーディを穴井選手やステップ・アップ・ツアーで優勝した高校生、後藤あい選手のコーチも務める石井雄二コーチに聞くと「今週の練習日に新しくパターを作ってもらいました。やっぱりコーライグリーンは打ち出しで少しボールが浮いてくれたほうが芝目の影響も受けにくく転がりが良いんですよね」と投入したばかりのパットでタッチも合っていましたし、1イーグル5バーディ2ボギーと大きくスコアを伸ばしました。
ラウンド後にパターを見せてもらうと、スコッティキャメロンのツノ型で「ファントムT-7.2」との表記。グリップは前週の「エリエールレディス」で優勝したウー・チャイェン選手が使用していたイオミック「アイ・クラシック・ツアーパター」が装着されていました。このグリップは、グリップエンドから先にかけて同じ幅でフラットな面が続き、右手の部分も細くなっていないモデルです。

穴井詩が今週から投入したスコッティ・キャメロン「ファントムT-7.2」
今日のキーになったホールは9番パー5でした。穴井選手はドライバーを左の林に打ち込み、2打目でフェアウェイに戻すと、3打目をピン手前のアゴの高いバンカーに入れます。4打目のバンカーショットをピンに寄せてパーで切り抜けました。対して畑岡選手は、ドライバーはフェアウェイど真ん中から2オンを狙うも、右のバンカーに入れ、しっかり寄せたものの1メートル強のバーディパットがカップに蹴られてパーで終えました。

9番パー5でピンチからパーで切り抜け後半の4バーディにつなげた
9番はバーディが欲しいホールなのでボギーは流れも切ることになりますし、メンタルダメージも残ります。しかし、ボギーになるところをパーで切り抜けたという前向きな状態で10番に迎えた穴井選手は、距離の短い10番パー4でバーディ、12番パー3、13番パー5でバーディと後半の流れにつながりました。畑岡選手はカップに蹴られずに沈めていたら後半の流れも変わっていたことでしょう。
リーダーボードに目を移すと、6アンダーの首位に穴井詩、1打差に鈴木愛、岩井明愛、2打差の4位タイに古江彩佳、岩井千怜、3打差6位タイに申ジエ、阿部未悠と続きます。明日も現地からのレポートをお届けします。
写真/岡沢裕行
