
「超過クラブ」違反でプレーオフ敗退となった黄アルム
ステップ・アップ・ツアーの最終戦、京都レディースオープンは、藤井美羽と黄アルムのプレーオフとなった。2ホール目で黄の勝利で決着したと思われた。しかし、プレーを終えて黄がバッグのクラブ確認を行っていた際、自分のものではないクラブが入っていることに気づき、競技委員を呼んで状況を説明した。
競技委員は黄のバッグに15本入っていることを視認し、両選手とキャディから事情を聞いた。キャディの話から最終ラウンドの最終18番でクラブの入れ違いがあったことを確認。「プレーオフ開始時に選手自身がクラブの確認をしていない。プレーオフ終了からクラブ超過の発覚までに超過分のクラブを入れた事実はなく、黄はプレーオフ1ホール目から15本のクラブでプレーしていた」として、「プレーオフ1ホール目のスコア4(パー)に一般の罰(2罰打)を加え6と訂正する」との裁定を下した。
結果、プレーオフは1ホール目で藤井の勝利となった。黄の失ったものは大きく、実は手続きミスにより1次QTに出場できなかった黄。この試合に勝てば最終QTに出場できたことも悔やまれる要因だ。
そして、この件を黄自身がSNSにつづっていた。「空白の間は誰も分からない」「LPGAは推定で決めている」などだ。ネット上でも不可解とする声が挙がっていた。しかし、改めてJLPGA側の裁定やゴルフ規則を確認すると、今回はやむ得ない判断だったと言わざるをえない。
①最終ラウンド終了後に実施されたプレーオフは新しいラウンドとなる(ゴルフ規則5.1)。②14本のクラブの制限。プレーヤーは次のことをしてはならない●14本を超えるクラブを持ってラウンドをスタートすること●ラウンド中に14本を超えるクラブを持つこと。※ただしスタートした後に置き忘れたクラブを拾ったり、プレーヤーが知らないところでクラブが誤ってそのプレーヤーのバッグに入れられたりした場合、そのクラブは14本の制限についてはプレーヤーのクラブの1本とは扱われない(しかし、使用することはできない)。(ゴルフ規則4.1b)。
つまり、誰かがラウンド中に故意にクラブを追加しても使用しなければ問題はなく、スタート前なら本人が確認し抜くことができる。
今回は、共用のキャディが最終ラウンドで同じ組を回っていた選手のクラブを誤って黄のバッグに入れてしまったのが原因だった。やはりプレーオフ開始前に確認すべきだった。競技に参加している方はぜひご注意を。
※週刊ゴルフダイジェスト2025年12月16日号「バック9」より
