
左から首位スタートの宋永漢、レフティ細野勇策、小木曽喬
難しい最終戦で飛び出した宋永漢の「異次元の63」

7バーディノーボギーの完璧なスコアで首位に立った宋永漢
ツアー通算2勝、34歳の宋永漢が、毎年難易度が上がる最終戦のコースで、バーディを量産する「異次元の63」を叩き出した。
宋は、最終戦での「63」というスコアについて「珍しいですよね。このコースは難しいんですけど」と自身も驚きを見せる。好スコアの要因は、ショットの良さと共に、パッティングの貢献(平均パットは2位の「1.5385」)にある。
「1番ホールは結構長い(11メートル)難しいパターが入った。2番も5メートルくらいの難しい微妙なパーパットが入ってくれた」と、序盤の難しいパットを確実に沈めたことが、後のバーディラッシュへの流れを作った。
さらに、最終18番(パー3)では、アプローチの場面で同組の小斉平優和が上手く打ったのを「イメージが凄くよくて、同じように打ちました」と、同組の選手のプレーからも学びを得る冷静さを見せた。
後半で掴んだ「価値ある収穫」(小木曽喬)

小木曽喬は6バーディ1ボギーの5アンダーで2位タイに
ツアー通算1勝、28歳の小木曽喬は、前半に5アンダーで回りながらも、風が強まった後半は苦戦しスコアを伸ばせず「65」でホールアウト。しかし、この日のゴルフを「後半のラウンドのほうが良い収穫がありました」と、ポジティブに振り返った。
小木曽は、愛知県出身者として初のJTカップ優勝を目指す。
「前半すごく良いゴルフができた。後半もう少し伸ばしたいと思ったけど、風が強くなってから難しい状況になった。その中でピンチもありましたけど、しっかり耐えることができた」
前半の貯金と後半の粘りで、首位の宋を追う絶好の位置につけた。
若手レフティ細野勇策が狙う「ツアー初優勝」

24年ぶりのレフティ優勝に向け好スタートを切った細野勇策
ツアー未勝利のレフティ、22歳の細野勇策も「65」をマークし、2位タイに並んだ。
細野は前半で試練に見舞われた。4番でティーショットを左ラフに外し、そこからバンカー、ホームランで痛恨のダブルボギーを叩いた。
しかし、その後にスコアを立て直し、最終戦で初の優勝を目指す。細野が本大会で優勝すれば、日本人としては1991年「ダイドードリンコ静岡オープン」で優勝した羽川豊以来のレフティによるツアー制覇となる。
「後半、風が強くなって難しい状況になった。そのなかで、ショットがまとまってくれた」と、前半のミスを引きずらない精神的な強さを見せた。
宋の異次元のスコアを、小木曽と細野がどこまで追い詰めるのか。最終戦にふさわしい、熾烈な優勝争いの幕が切って落とされた。
撮影/姉崎正

