全国から問い合わせが殺到するという知る人ぞ知る人気ショップ「ゴルフステージ成城」のクラブナビゲーター吉田朋広氏が注目するギアを徹底検証・解説する企画。今回は三菱ケミカルから7月11日に発売されたVANQUISHブランドのセカンドモデル「VANQUISH VV」の30グラム台を検証!

30グラム台「VANQUISH VV 3」が人気の理由は?

VANQUISHは三菱ケミカルの軽量分野で新たな歴史を創る「超精密軽量ブランド」として2022年7月に発売されたシャフト。当初は40グラム台と50グラム台で展開されていましたが、2024年4月に新たに30グラム台を追加し、軽量シャフトを求めるゴルファーの選択肢に幅を広げてくれました。

2025年7月に発売されたVANQUISH VVは30グラム台、40グラム台、50グラム台の3つの重量がラインナップ。ノーマルのVANQUISHと合わせて軽量シャフトを求めるゴルファーが選びやすくなりました。発売から約5カ月経ったVANQUISH VVはセールスでも好調とのことですが、なかでも人気のある30グラム台「VANQUISH VV 3」にフォーカスして検証していきたいと思います。

「VANQUISH」は「征服する」という意味ですので、軽量シャフトを征服するという願いが込められています。そして「VV」はVANQUISH VEROCITYの頭文字(VV)を取ったもので「VEROCITY」は速度や速さを表しますので「スピード感のあるVANQUISH」といったところになるのでしょう。

画像: テストヘッドはテーラーメイドQi35 LITE、ロフトは12度。長さは45.75インチ。Rフレックス装着時のバランスはC6

テストヘッドはテーラーメイドQi35 LITE、ロフトは12度。長さは45.75インチ。Rフレックス装着時のバランスはC6

外観はブラック塗装でシャフト中間部分から先端まではマットブラックでシャフトロゴのVANQUISHはグリーンを採用。ブルーのロゴのVANQUISHとイメージを合わせた外観デザイン。フレックスはR3、R2、R、S、Xの5種類が用意されています。各フレックスのスペックは以下の通りです。

フレックス重量トルクキックポイント振動数
R336.5グラム9.1中調子190CPM
R238.4グラム9.1中調子210CPM
R40グラム9.1中調子230CPM
S41.9グラム9.1中調子245CPM
X44.8グラム9.1中調子265CPM

「VANQUISH VV 3」R

さて、まずはVANQUISH VV 3のちょうど中間のスペックのRから検証していきたいと思います。

ワッグルした際に感じられるシャフト自体の剛性感は30グラム台のRフレックスのシャフトとは思えないくらいしっかりとしたものに感じられます。中調子シャフトらしくシャフト中間部分にしなりを感じられ中間から先にシャフトの動きはあるものの大きくしなるイメージはありません。

実際のスウィング中も手元部分には適度なハリ感があり、シャフトに潰れ感もなく、トルク9.1という数値のイメージよりも捻れる感じもありません。今回のテストヘッドは30グラム台のシャフトということでテーラーメイドQi35 LITEの軽量モデルをチョイスしました。ヘッド重量も軽いこともあり先端部分に変な重みを感じることもなく、非常にスッキリとしたフィーリングの振り心地です。

画像: 吉田がまとめたVANQUISH VV 3のフィーリング

吉田がまとめたVANQUISH VV 3のフィーリング

シャフト先端部分は30グラム台のシャフトとしてはしっかりとした印象で、インパクトでも当たり負け感はなく、ボールスピードも非常に速いと思います。中調子のVANQUISH VVは先調子のVANQUISHに比べてボールのつかまりが抑えれているのがわかります。しっかりとボールはつかまりますが、必要以上に左に巻き込むようなボールも出ず、方向安定性が非常に優れていると感じます。

Rフレックスはこのシャフトが対象としているゴルファーが多少叩いていくようなインパクトをしてもボールの吹け上がり感もなく高いボールスピードを体感できます。VANQUISH VV 3のシャフトの持つパフォーマンスの高さを感じられます。

「VANQUISH VV 3」S

シャフト自体に捻れ感やたわみ感がなく、引き締まった印象です。シャフト先端部分の動きも少なめに抑えられていて、一体感のあるシャフト挙動はストレスなくフィニッシュまで一気に振り切ることができる“爽快感がある”振り心地です。

自身のスウィングパワーをしっかりとボールに伝えていける強めの先端剛性です。その剛性が生み出す「カチッ」としたインパクトイメージはこのシャフトの本来のターゲットのプレーヤーにとって非常に心地良いものに感じられるでしょう。Rフレックス同様にボールのつかまり感はあるものの左への巻き込みのイメージはなく直進性の高い強い弾道が印象的です。

30グラム台のシャフトイメージを一新するパフォーマンスを持ったフレックスです。しっかりしたスウィングで自分でインパクトを作っていけるベテランゴルファーにオススメしたいフレックスです。

「VANQUISH VV 3」X

XはSに比べてシャフト振動数も20CPMアップする265CPM。まさに「軽硬」シャフトというポジションのフレックスです。

シャフト自体の剛性が一気にアップしてスウィング中にしなり感はあまり感じられず、手元側から先端部分まで一体感のあるフィーリングです。叩けるイメージが一気にアップするフレックスですので、自身の持つスウィングパワーをボールにしっかりと伝えていってもボールが吹け上がるようなことはありません。シャフトに余分な動きがないので自身でインパクトを作っていきたい方にとって非常に気持ち良く感じられるでしょう。

弾道の高さはSフレックスよりも低くなり、左右ブレや捻れる感じのない直進性が高い弾道で、振れば振るほどボールが伸びていくことを実感できるフレックスです。機会があれば試していただきたい面白いポジションの軽硬フレックスです。

「VANQUISH VV 3」R2

Rフレックスの下のR2フレックスはワッグルした際にシャフト中間部分から先に動きがあるものの、一般的な30グラム台のR2フレックスに比べて想像するよりもしっかりとしたVANQUISH VVらしいフィーリングがあります。シャフトのしなりでボールをとらえていけるやさしさを持ちながらもインパクトをしっかりと作っていってもブレの少ない強い弾道を打つことができるR2フレックス。シャフトのしなりと叩ける二面性を持った個性の光るフレックスです。

「軽量シャフトは頼りない感じがして使いにくい」というイメージを持っている元々しっかりとしたフィーリングのシャフトが好みだった方にも使いやすい納得のパフォーマンスのフレックスです。スウィングパワーやスウィングスピードが落ちてきたシニアゴルファーに是非試していただきたいオススメのフレックスです。

「VANQUISH VV 3」R3

R3フレックスはVANQUISH VV3で最も軟らかいフレックスとなります。ゆっくりとしたテークバックの方でも切り返ししやすく、R2に比べて大きめのシャフトのしなり量は30グラム台のシャフトを必要とするプレーヤーにスウィングパワーを必要とせずに十分なシャフトのしなりを生み出すことができます。

しなり量は大きくても先端部分の動きは穏やかでシャフトコントロールのしやすいことでヘッドをしっかりとインパクトエリアに導いてくれます。ヘッドの挙動が安定しているのでフェースが上を向いたり開いたりしてインパクトになることがないので、効率良くボールにスウィングパワーを伝えてくれます。

しなりが大きくてもつかまりすぎない安心感があるシャフト特性は、特にゴルフ歴のながいベテランのシニアゴルファーにオススメです。

VANQUISH VV 3総評

今回はVANQUISHの2ndモデルVANQUISH VVの最軽量モデルである30グラム台の「VANQUISH VV 3」にフォーカスして検証してみました。この数年で市場での販売比率が増えてきている軽量シャフトですが、「VANQUISH VV」は特に30グラム台の販売が好調とのことです。

シニアゴルファーの増加に伴い各シャフトメーカーも軽量モデルの投入が目立ってきていますが、特に三菱ケミカルは軽量シャフトをリードしているイメージがあります。「VANQUISH」シリーズよりも先に展開されている「BASSARA」シリーズはいち早く軽量シャフトの概念を覆すハイパフォーマンスモデルを展開しています。

2022年から展開されているVANQUISHシリーズもBASSARAシリーズ同様軽量シャフトにありがちな「頼りない感じがして振りきれない」「振りやすいけど実際にコースで飛ばない」といったイメージを払拭したハイパフォーマンスの軽量モデルです。

画像: 30グラム台の場合

30グラム台の場合

今回検証したVANQUISH VV 3は30グラム台のシャフトとは思えない高いシャフトパフォーマンスを感じられるモデルで、軽量モデルを得意とする三菱ケミカルの高い開発力と技術力を感じました。シニアプレーヤーの増加に伴い軽量シャフトにも様々なバリエーションが必要とされてきています。

ファーストモデルの中先調子のVANQUISH、セカンドモデルの中調子のVANQUISH VVが揃ったことで軽量シャフトを必要とする方に選択肢が大幅に増えたことはシニアゴルファーにとって非常に喜ばしいことだと思います。

VANQUISH VV 3は「最近シャフトが振りきれない」「スウィングスピードを上げて飛距離を取り戻したい」というシニアゴルファーの方に是非試して頂きたいと思います。

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