12月23日、東京都内某所にて、「AIG女子オープン(全英女子)」優勝を記念する山下美夢有の海外メジャー優勝祝賀会が開催された。スポンサーである花王が選んでくれたという着物姿で登場した山下。海外ツアー初挑戦のルーキーイヤーにもかかわらず、メジャーを制し大躍進を遂げた今シーズンの締めくくりともいえる本イベントで語られていたのは所属先である花王と、父親に対する感謝の言葉だった。

ルーキーイヤーでのメジャー制覇と新人賞

身長150cm。世界を相手にするアスリートとしては小柄なその体躯を、祝賀会の司会者は敬意を込めて「小さな巨人」と呼んだ。

2025年シーズン、山下は未知の世界へと飛び込んだ。米女子ツアーへの本格参戦。言葉の壁、文化の違い、過酷な移動、そして慣れない環境での体調管理。想像以上の困難が待ち受けていたルーキーイヤーだったが、彼女は「AIG女子オープン(全英女子)」優勝、そしてルーキー・オブ・ザ・イヤー(新人賞)獲得という、日本ゴルフ史に刻まれる偉業を成し遂げて帰ってきた。

「正直、自分でもまだ信じられない気持ちです」

壇上でそう語った山下だが、その表情は充実感に満ちていた。2022年に国内賞金女王になった際、「賞金でルンバを買いたい」と語った等身大の少女は、わずか数年で世界の頂点に立ったのだ。

画像: 花王株式会社の社長・長谷部氏より花束が贈呈された。ゲスト席のテーブル番号には、「マジックリン」「メリット」など、花王の商品名が割り当てられていた

花王株式会社の社長・長谷部氏より花束が贈呈された。ゲスト席のテーブル番号には、「マジックリン」「メリット」など、花王の商品名が割り当てられていた

「父は普段笑わないけれど…」 二人三脚で掴んだ栄冠

会見で山下が強調したのは、家族、特にコーチである父・勝臣さんとの絆だ。 シーズン前半、思うような成績が出ず苦しむ中、父とはビデオ通話でスウィングチェックを繰り返した。しかし、全英女子オープンの週は違った。父が現地に帯同してくれたのだ。

「普段はビデオ通話だったので、近くで観てくれたことが心強かった。調子も上がり、優勝につながりました」

小学校1年生でクラブを握った日から、父娘の二人三脚は続いている。時には厳しい指導もあったはずだ。

「父は普段あまり笑わないんです。でも、優勝した時はすごい笑っている姿を見て……それが本当に嬉しかった」

メジャーの重圧を跳ねのけたのは、技術だけでなく、一番近くで見守る父の存在だったことは想像に難くない。

苦境を救った花王の「メッセージ」と「ビオレ」

画像: 会場内には「全英女子オープン」の記録や世界を舞台に輝く山下の姿がそこら中に飾られていた

会場内には「全英女子オープン」の記録や世界を舞台に輝く山下の姿がそこら中に飾られていた

そしてもう一つ、山下を支えたのが所属スポンサーである花王の存在だ。 マレーシアでのメイバンク選手権では、現地まで社員が応援に駆けつけた。不調に陥った前半戦には、長谷部佳宏社長をはじめ社員から多くのメッセージカードが届いたという。

「その温かさが心に響いて、本当に救われました」

また、海外ツアーならではのエピソードも披露された。過酷な日差しの中で戦う女子プロたちにとって、日焼け止めは必需品。山下が愛用する花王の『ビオレ』は、海外のトップ選手たちからも注目の的だという。 「ネリー・コルダ選手やイェリミ・ノ選手も『ビオレを使っている』と言ってくれて。私はタダでもらっているんですけど(笑)、嬉しい気持ちになります」と会場の笑いを誘った。

「ゴールではなくスタート」 目指すは世界No.1

画像: 会場には山下を祝う装飾がたくさんあった

会場には山下を祝う装飾がたくさんあった

このオフ初めて袖を通したという着物姿を取材陣へお披露目した際には、「結婚式のような“お色直し”はあるか?」と突っ込まれ、はにかんだ山下。 花王や家族へ感謝の言葉を述べるその姿は、まるで結婚式で新婦が手紙を読んでいるかのよう。彼女を囲んで見守る大人たちの温かい眼差しも相まって、会場中が幸せな空気に包まれていた。

しかし、来季への視線は鋭い。 色紙に記した来季の目標は「まずは1勝」。メジャー覇者としては謙虚すぎる目標にも見えるが、そこには「優勝することの難しさ」を知る彼女なりのリアリズムがある。

「今回の優勝はゴールではなくスタート。自分の武器であるショット力を生かして、世界ナンバーワンになることを目標に掲げています」

オフシーズンは体幹トレーニングを強化し、スウィングの見直しに着手する予定だ。 「小さな巨人」の挑戦はまだ始まったばかり。2026年シーズン、山下美夢有は再び世界を驚かせる準備を着々と進めている。

山下美夢有と父の物語

メイバンク選手権の優勝を振り返る

AIG女子からの凱旋帰国会見を振り返る

This article is a sponsored article by
''.