
今季の女子ツアーは12人が初優勝。脇元華もそのひとり
●28歳の脇元華がプロ8年目で悲願の初優勝

28歳の脇元華が伊藤園レディスで悲願の初優勝
2025年国内女子ツアーは過去最多を更新する12人が初優勝を果たした。
11月の「伊藤園レディス」(千葉県・グレートアイランドC)で初優勝をつかんだ脇元華はプロ8年目の27歳。首位と2打差の8位からスタートした最終日は8バーディ、1ボギーの65で回って通算16アンダーとし、鮮やかな逆転Vをつかんだ。内容的には5番からの3連続バーディ、13番からの4連続バーディが圧巻だった。
18番でウィニングパットを決めた直後には、駆け寄ってきた親友でありライバルの原英莉花とハグ。続いてずっと自分を支えてくれた父・信幸さんと抱き合い、大粒の涙を流した。
優勝スピーチでは家族への感謝の言葉が印象的だった。
「お父さん…、父はじめ、おばあちゃんはじめ、支えてもらってきたので、こうしてプロ8年目で優勝できたことを報告できてうれしいです。特に父にはレギュラーツアーの優勝を届けたかったです」
優勝の原動力はパターイップスの克服だった。2020年ごろから悩み始め、パター巧者の上田桃子や谷原秀人に必死でアドバイスを求めるなどし、昨年ごろからようやくトンネルの出口が見えてきた矢先の初優勝。「あのころはパターが入らなすぎて、私はこのまま消える選手かと思ったので、グリーンの上で1人泣いたこともありました」と感慨深そうに振り返った。
●プロ2年目の菅楓華はメルセデスランキング4位と大躍進

ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンで大逆転優勝
2023年のプロテストに合格した人気選手・菅楓華は9月の「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」(宮城県・利府GC)で初優勝をつかんだ。最終日に2打差の10位から出て8バーディ、1ボギーの65をマーク。通算9アンダーで大逆転Vを成し遂げた。優勝決定後はプロテスト同期合格の政田夢乃や天本ハルカから祝福のハグを受け、両手で顔を覆って泣きじゃくった。優勝スピーチでは「開幕戦から優勝争いの経験をたくさんして勝ちたかったんですけど、今日は自分を信じて戦うことができたと思います。今週も(開催コースに近い仙台の名物)牛タンをたくさん食べたので、それが力になって頑張れました」と喜びを言葉に換えた。
年間トップ10回数が16回(2位)でメルセデスランキングは4位と大躍進の1年となった。
●プロ9年目の金澤志奈は日本女子プロで涙の地元優勝

日本女子プロで涙の地元優勝を飾った金澤志奈
茨城県笠間市出身でプロ9年目の金澤志奈は9月に地元の大洗GCで開催されたメジャー「ソニー日本女子プロゴルフ選手権」で悲願の初優勝を果たした。最終日に通算10アンダーでトップに並んだ桑木志帆とプレーオフに突入。1ホール目でティーショットを右に曲げたが、木に当たって戻ってくるラッキーがあり、アプローチを寄せてのバーディで決着をつけた。師と仰ぐ申ジエから祝福の抱擁を受けたときには目に大粒の涙。
優勝インタビューでは「ホントに、ホントにうれしいです。地元ということもあって初日からたくさんのギャラリーの方に集まってもらって、みなさんのお力で73ホールを回れることができました」と話し大きな拍手を浴びた。
今季は時系列で列挙すると、工藤遥加(アクサレディス)、佐久間朱莉(KKT杯バンテリンレディス)、稲垣那奈子(リゾートトラストレディス)、高野愛姫(ヨネックスレディス)、入谷響(ニチレイレディス)、内田ことこ(ミネベアミツミレディス)、荒木優奈(ゴルフ5レディス)、金澤志奈(ソニー日本女子プロゴルフ選手権)、菅楓華(ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン)、仲村果乃(樋口久子・三菱電機レディス)、脇元華(伊藤園レディス)、ウー・チャイエン(大王製紙エリエールレディス)が初優勝を果たした。この12人の平均年齢は23.9歳だった。
女子ゴルフ界は上位選手が米ツアーに参戦するケースが多く、国内ツアーはいつ誰が優勝しても不思議ではない群雄割拠状態。来季は一体誰が栄冠をつかむのか―。
撮影/姉崎正、大澤進二、岡沢裕行、有原裕晶、干川修
