初優勝者が多く出た
2025年シーズンは、多くの初優勝が出ました(11人)。初優勝が多いのは世界的な傾向で、各ツアーのトップ選手がアメリカのPGAツアーを目指していくなかで、各ツアー内では競争が激化して、力のある若手が初優勝のチャンスをつかむケースが増えています。日本の女子ツアーはそれが顕著ですが、僕はその傾向は良いことだと思っています。海外ツアーの壁は厚いので、跳ね返される選手も多いけれど、昨シーズンは久常涼君とか金谷拓実君はその壁を乗り越えて残っています。今後、女子のように爆発的に増えることはないかもしれないけど、海外を志向する選手は増えると思いますから、この流れは続くものと思います。
初優勝者が賞金王に

2025年は初優勝の「関西オープン」、そして4000万円の高額大会である「三井住友VISA太平洋マスターズ」で2勝目を挙げた金子駆大が賞金王に輝いた(撮影/姉崎正)
今年の初優勝者のなかでも金子駆大君の活躍は格別で、初優勝者がその年に賞金王になったのは日本人では彼が初めてです。過去、キム・キョンテやベ・サンムンもそうでしたが、彼らは韓国ツアーで優勝経験があり満を持して日本にきて賞金王を獲ったわけで、金子君の場合はツアーで初優勝した年に賞金王を獲った初めての選手だったわけです。未だ23歳ですし、プレースタイルはオールラウンダーですが、いろんな面でまだまだ伸び盛りの賞金王だなという感じはします。来季はDPワールド(ヨーロッパ)かコーンフェリー(米2部ツアー)に出ていくと思いますけど、さらに大きくなって欲しいと思います。

「オールアラウンドランキング賞(平均ストロークやバーディ率など9つの部門の成績をポイント換算し、総合的に最も優れたプレーヤーに贈られる賞)」「ポイントランキング賞(JGTO ツアートーナメントの各競技及び海外メジャー競技での順位をポイントに換算し、 シーズンを通して活躍した選手を評価するランキングでトップに輝いたプレーヤーに贈られる賞)」の2冠に輝いた生源寺龍憲(撮影/姉崎正)
生源寺龍憲君も開幕戦での初優勝後に2勝目を挙げ、最後まで金子君と賞金王争いをしましたが、彼はPGAツアーのQスクールにチャレンジしたため、賞金王獲得の可能性が残るカシオワールドと日本シリーズJTカップは出ませんでした。結果的にPGAツアーの出場権もJGTOの賞金王も得られませんでしたが、今季のJGTOの「オールアラウンドランキング賞」と「ポイントランキング賞」を受賞しましたので、その実力は証明されたと思います。
今シーズンの上位の人たちが来年は日本にいないという流れなので、これからはこういうことは起きるんだろうなと言う感じです。

日本人初のアジアンツアー年間王者となった比嘉一貴(PHOTO/Ian Walton/Asian Tour)
比嘉一貴君のアジアンツアーの年間王者も素晴らしかったと思います。アジアンツアーは歴史あるツアーですが、僕らの時代は日本の試合に出られないので行くといった感じがあったけれど、今はインターナショナルシリーズの上位選手にはLIVゴルフへの出場権が与えられる影響もあって、魅力的なツアーになり、日本のシード選手も積極的に行くようになりました。年間王者になった日本人は彼が初めてで、日本ツアーでも賞金ランク6位と両ツアーで好成績を収めた年でした。3年前に日本の賞金王になり、翌年はDPワールド(ヨーロッパ)ツアーに挑戦しましたが、あの頃は、連戦のせいか体も細くなり体調も万全でない印象で、本来の力を出せない感じでした。それ以来、ちょっと不調になっていたのが、今年は体も作って飛距離も伸びて余力のある感じの再ブレイクでした。2026年もアジアと日本を掛け持ちで頑張ってくれると思います。

アジアンツアーのインターナショナルシリーズで2位に入り、LIVゴルフリーグ入りを決めた浅地洋佑(PHOTO/Ian Walton/Asian Tour)
浅地洋佑君は中日クラウンズで4年ぶりに優勝して、その後、アジアンツアーのインターナショナルシリーズで勝って、同シリーズの年間ポイントランキングで上位2名に入り、来季のLIVゴルフ出場権を獲得。日本人としては香妻陣一朗君に次ぎ、2人目のLIVゴルフプレーヤーになりました。
こう見てくると、今は日本ツアーも試合が少なくなりスケジュールが空くので力のある選手は試合を求め、より自分を磨けたりお金を稼げる世界のツアーへどんどん出ていく流れになっていますが、これはこれでいいことだと思います。今の日本の経済状況が世界の中で上位のレベルでなくなってきているので、昔のオーストラリアとか南アフリカの強い選手が積極的に世界に出て行ったような流れに日本も当面はなっていくのかなと思います。

片岡尚之が25年日光CCで開催された日本オープンを制し、26年マスターズの出場権を手にした(撮影/姉崎正)
今シーズンから日本オープンの優勝者がマスターズの出場権を得られるようになったというのは大きなことで、間違いなく選手のモチベーションは上がったでしょうし、見ている我々も普段より熱が入りました。試合展開も清水大成君とか石川遼君とかマスターズへの想いが人一倍強いと思われる選手が終盤崩れていったのは、マスターズの出場権の影響によるものだなと思ってみていました。優勝した片岡尚之君が日本オープンの勝者として来年マスターズのあの舞台に立つわけです。今後、普段あまり活躍していない選手でも日本オープンの予選を通って、もし優勝したらマスターズに行けるのですから、夢がありますよね。
2026年のJGTOツアー

左から吉田泰基、古川龍之介、出利葉太一郎、福住修。金子駆大のような期待がかかる(撮影/姉崎正、岩本芳弘)
2026年の男子ツアーは、さらに若い力や、今年勝てそうで勝てなかった人が優勝するだろうなと思います。賞金王争いは、今年惜しくも逃した生源寺君や蟬川泰果君や小木曽喬君、あと日本オープン覇者の片岡君など、この辺りを中心に展開するのではないでしょうか。あとは今年の金子君のように未勝利の選手がポッと春先に勝って賞金王になる可能性もあるでしょうし、活躍をする選手が出てきそうです。まだ勝っていない吉田泰基君とか古川龍之介君、それに下部ツアーから上がってきた出利葉太一郎君や福住修君のような勢いのある選手も面白いと思います。こういう若い人たちが、海外に出て行ったトップの人たちの穴を埋めてツアーを盛り上げるような気がします。

飛ばし屋の永野竜太郎。26年初優勝なるか!?(撮影/姉崎正)
今年復活優勝した塚田よおすけ君は9年ぶり、浅地君も4年ぶりでしたが、彼らのように成績が出ずに苦しんだ時期を乗り越えての優勝というのも、来シーズンも期待したいですね。復活優勝は新しい人の初優勝のように注目はされないけど、いったん落ち込んでからまた優勝をするストーリーは感動します。今年勝てなかった実力者の今平周吾君や2022年以来優勝がない大型プレーヤーの河本力君はもちろん、ベテランの宮里優作君や池田勇太君などもまだまだ勝てると思います。あと今年、13年目の小西たかのり君の前澤杯での初優勝は話題になりましたが、2008年プロ入りながらまだ未勝利の大器である永野竜太郎君なんかが勝つと、勝てなかった数年間の苦悩が掘り返されて感動すると思います。
編集/古屋雅章
