
LIVゴルフ アデレードで16年ぶりに優勝を果たしたアンソニー・キム(提供/LIVゴルフ)
こんにちは。SPORTSBOX AI 日本アンバサダーの北野達郎です。今回は「LIVゴルフ アデレード」で、劇的な復活優勝を成し遂げたアンソニー・キム(以下、キム)の正面からのドライバースウィングで、過去と現在の違いをスポーツボックスAIのデータと共に解説させていただきます。キムのスウィングで過去と現在の違いは、主な違いは以下の2点です。
①胸と骨盤の左右差が少なくなった
②フォロースルーでフェースローテーションが少なくなった
それでは早速チェックしてみましょう!
胸と骨盤の左右差が少なくなった
まずはアドレスとインパクトに注目しましょう。スポーツボックスのデータ項目「Sway Gap」は胸と骨盤の左右差を表します(右打ちの場合、マイナスは胸が骨盤より右、プラスは胸が骨盤より左。胸と骨盤が垂直に重なると0cm)。キムの胸と骨盤の左右差のデータを見ると、以前はマイナス7.5cm、現在はマイナス3.2cmで、現在のほうが胸と骨盤の左右差が少なく、軸が右足寄りからセンター寄りに近づいたことがわかります。

画像①アドレス/以前(左)より、現在(右)のほうが胸と骨盤の左右差が少なくなった
この傾向はインパクトでも同様で、以前はマイナス18.7cm、現在はマイナス15.7cmで、インパクトでも現在のほうが胸と骨盤の左右差は少なくなっています。

画像②インパクト/胸と骨盤の左右差が少なくなった傾向はインパクトでも同様だ
この軸の右への傾きが少なくなることで、スウィング軌道ではインサイドアウトの度合いが減りますので、フェードを打ちやすくなる効果があります。キム本人も「復帰後は以前よりカットフェードを多用するようになった」と話しています。
フォロースルーでフェースの開閉が少なくなった
次はフォロースルーを比較してみましょう。「Release Factor」は、クラブヘッドスピードをハンドスピードで割った合計値を表します(例えば、クラブヘッドスピード45m/s ÷ ハンドスピード9m/sなら、リリースファクターは5になります)。このリリースファクターが高いほどクラブを効率よく走らせることができますので、飛距離を出しやすい特徴があり、リリースファクターが低いほど、フェースの開閉が抑えられる傾向にあり、飛距離はやや犠牲になる反面、方向性は出しやすくなります。キムのリリースファクターを比較しますと、以前は5.27で、現在は4.60です。

画像③フォロースルーの比較/両手の位置に注目。右手が左手の上にかぶさる度合いが現在のほうが少ない
スポーツボックスAIが独自で調査した、リリースファクターの海外男子ツアーレンジは、4.63~5.57ですので、以前のキムのほうが飛距離の効率は高い反面、フェースの開閉は多いタイプで、現在のキムは飛距離の効率は以前より劣る一方で、フェースの開閉が少なくなった分だけ、より方向性重視のタイプになったと言えます。特に注目したいのはフォロースルーでの両手の位置で、以前は左手の上に右手がかぶさって左手のグローブが見えていますが、現在は左手の上に右手はかぶさってはいるものの、左手のグローブは見えないので、以前より両腕のローテーションを抑えているのがわかります。現在のキムの持ち球であるカットフェードには、両腕のローテーションとリリースファクターが少ない現在のスウィングのほうが相性は良いので、この精度の向上が復活優勝の大きな要因と言えるでしょう。
今回はアンソニー・キムの正面からのドライバースウィングを解説させていただきました。かつてはPGAツアー3勝にマスターズ最高成績3位と、当時「ネクストタイガー」の1人と注目されたキム。しかし怪我によるPGAツアー撤退後は薬物、アルコール依存、精神疾患と、人生のどん底も味わいました。それからLIVゴルフでプロゴルフに復帰し、参戦3年目でついに果たした復活優勝は、まさに「LIVゴルフ史上最高のストーリー」として語り継がれていくでしょう!




