
初日4アンダーで首位スタートした4人。左からリー・ウエストウッド(24年LIVゴルフ・ラスベガス、撮影/岩本芳弘)、ジョン・ラーム、ブライソン・デシャンボー、リチャード・T・リー(提供/LIVゴルフ)
メジャー王者と、怪我明けの52歳大ベテラン
ラームとデシャンボーという、誰もが認める優勝候補筆頭の二人が順当に首位に立つ中、世界中のゴルフファンを驚かせたのが、マジェスティックスGCの共同キャプテンを務めるリー・ウエストウッドの活躍だ。
彼は手首の腱を断裂するという重傷を負い、今シーズンの開幕から欠場が続いていた。前週の香港大会が半年ぶりの実戦復帰だったという52歳のベテランが、この過酷なセントーサGCでボギーフリーの「67」を叩き出したのだ。「正直、自分でも少し驚いているよ」とウエストウッドは会見で率直な思いを吐露した。
「先週は6カ月ぶりのトーナメントで、大会の5〜6日前になってようやくドライバーをフルスウィングできるようになった状態だった。だから、こんなに早く結果が出るとは思っていなかった」
しかし、ティーショットの正確性が求められるこのコースで、彼の熟練の技術が光った。
「今日このコースは容赦がなかった。風も吹く中で、ラインを決めてコミットしなければならないタフなティーショットがいくつもあったが、それを上手くこなせた」
年齢と怪我のハンデを跳ね返す、ベテランの意地と経験値の勝利である。
正規メンバーを狙うワイルドカードの野望
もう一人の首位タイ、リチャード・T・リーの存在も非常に興味深い。彼は今季、LIVの固定チームに所属しない「ワイルドカード」枠として単年での個人戦を戦っているカナダ出身の選手だ。
過去にアジアンツアーを主戦場としていた彼は、このセントーサGCでのプレー経験が豊富だ。「6番ホールからスタートして、バンカーからショートサイドに外したけど、そこから直接チップインバーディを決めて良いスタートが切れた」と語るように、コースの攻め方を知り尽くしている地の利がスコアに直結した。ワイルドカードの選手にとって、毎試合が来季の生き残りを懸けたサバイバルだ。彼には明確な野望がある。
「一人ぼっちでプレーしているような気分になることもある。でも、最高のプレーをして優勝でもすれば、来年(2027年)はどこかのチームに入れる可能性があると思っているんだ」
スーパースターたちが集うチーム戦の枠外から、実力一つで成り上がり(下剋上)を狙うハングリー精神。それが彼の強力なモチベーションとなっている。
浅地は27位! カオスな首位争い
メジャーの頂点を極めた絶対王者たち。不屈の精神で蘇った52歳のレジェンド。そして、自らの腕一本で未来を切り開こうとするワイルドカードの伏兵。実績も背景も全く異なるプレーヤーたちが、同じリーダーボードの最上段で肩を並べて激突する。これこそが、多様性に満ちたLIVゴルフならではの醍醐味だ。なお、日本勢で唯一、今シーズンLIVゴルフリーグに参戦している浅地洋佑は2ホール目となる12番でボギー、そして15番でトリプルボギーを叩く不安定な立ち上がりながら、全部で5つのバーディを奪い(3番でもボギー)、イーブンパーで初日を終えた。首位と4打差の27位タイとまずまずの滑り出しだ。まだ始まったばかりの「LIVゴルフ・シンガポール」で、このカオスな争いを抜け出すのは果たして誰か。
