
公式会見でこの日のラウンドや南アフリカ大会について話すディーン・バーメスター(提供/LIVゴルフ)
1番ティーの涙と極限の緊張
大観衆が取り囲むスタートホールの1番ティー。母国のファンが地鳴りのような歓声を上げる中、ブルメスターの心臓は早鐘のように打っていた。
スタート前夜から、彼はチームメイトたちに“予言”されていた。ブランデン・グレースからは「人生で一番クールな経験になるぞ」と言われ、キャプテンのルイ・ウエストハイゼンからは「とにかく、泣くなよ」と釘を刺されていた。 しかし、いざ数千人のファンが自分の名前を叫ぶ中を歩き出した瞬間、彼の感情は限界を突破した。
「結局、泣いてしまったんだ。手も、足も、脚も、何の感覚もなくなってしまった。どうやってボールをティーアップしたのかすら驚きだよ。とにかく震えていたんだ」

3日目の1番Hのティーショットを終えるバーメスター(提供/LIVゴルフ)
百戦錬磨のトッププロが、ティーアップすらおぼつかないほど極限の緊張と感動に包まれる。深呼吸を一つし、なんとかフェアウェイにボールを運んだ安堵感。それは、彼がどれほどこの母国での大会を待ち焦がれていたかを雄弁に物語っていた。
家族への感謝と「絶対に勝つ」という誓い
「マイク・タイソンに殴られても笑顔は消えないよ」とおどけていた前日から一転、会見での彼は時折声を詰まらせながら、支えてくれた人々への深い感謝を口にした。
「ジンバブエを追われ、南アフリカへ移住するという苦難を乗り越えてくれた両親。そして、そんな僕を『南アフリカ人』として温かく迎え入れてくれたこの国の人々。さらに、僕を支え、24時間365日子供たちを追いかけてくれている妻。彼女のサポートなしでは、今の僕はいない」
国中が自分を後押ししてくれる感覚に、彼は「涙が出るほど嬉しい」と表現した。
この日、サザン・ガーズの4人が記録したスコアは、驚異の「チーム26アンダー」。バーメスターは「65(6アンダー)」というビッグスコアを叩き出しながら、「自分がチームで一番悪いスコアだったなんて信じられないよ」と笑う。 その圧倒的なチーム力の背景には、前夜のグループチャットで交わされた熱い誓いがあった。

12番でパーセーブしたあと、観客に応えるバーメスター(提供/LIVゴルフ)
「四の五の言わず、ただこの試合に勝とう。何が必要かなんて関係ない。立ち上がり、男になって、絶対に実現させるんだ」
涙の1番ティーから始まったバーメスターの第3ラウンド。彼らが誓い合った「母国での優勝」という最高のエンディングへ向けて、サザン・ガーズの男たちは最終日の熱狂の中へと飛び込んでいく。
