難コースを最新のパターと10年前のアイアンで制した
硬く速いグリーンに強い風も加わり、予選カットラインが7オーバーとなった難コンディションの紫カントリークラブ すみれコース。初日は1オーバーの18位タイ、アベレージが75.6776となった2日目に「70」と伸ばして2位タイに浮上すると、最終日も「70」としっかりスコアを伸ばし、5年ぶりの優勝を手繰り寄せました。「1打1打気持ちを込めてプレーすること」と心に誓い、昨年までシード権を逃していた自分にもう一度「優勝」という目標を課して臨んだ結果、今季3戦目での見事な勝利となりました。

「Vポイント×SMBC レディス」で5年ぶりの勝利を飾った笠りつ子
硬く速いグリーンに対し、佐久間選手がマッスルバックアイアンのスピンの効いたボールで止め、神谷選手が飛距離を生かして短い番手で止めるのに対して、笠選手は2016年に作ってもらったというポケットキャビティでソール幅の広いホンマ「TW737P」のプロトタイプアイアンを使用。ランも計算に入れた巧みなマネジメントでコースを攻略していました。
10年愛用するこのアイアンは、顔の良さと球の上がりやすさを気に入っているといい、新しいモデルに替えるつもりもないと言います。まさに自分のプレースタイルにマッチした、手放せない相棒なのでしょう。ドライバーもキャロウェイ「パラダイム」を長く使用しており、自分に合ったモデルを使い続けることの大切さも教えてもらいました。

10年使い続けるちょい飛び系のホンマ「TW737P」
その一方で、パターはオデッセイ「ダマスカスミルド 7DB」という、金属インサートで弾き感のある未発表の最新モデルを投入していました。「ラインは読めていましたが、打てていなかったから、今週の速いグリーンに合ったんだと思います」と語るのは、キャディを務めた父・清也さん。今週最も活躍したクラブに「パター」を挙げた笠選手の、道具に対する目利きの良さが伝わってきます。

フェースにダマスカス鋼をインサートしたオデッセイの未発表モデル
ノーコックで緩やかなダウンブローで打つ
笠選手のスウィングといえば、ノーコックが特徴です。左手の甲がターゲットを向き、右手はかぶせて握るウィークグリップを採用。テークバックで手首を使ってシャフトを縦方向に立てる動作をほとんど入れず、手元を高くバックスウィングしていきます。

ノーコックで手元を高く上げるバックスウィング
ダウンスウィングでもタメを大きく作らず、入射角の浅いダウンブローでボールをしっかりととらえています。ここで、10年使い続ける低重心で球の上がりやすいアイアンとの相性の良さが生きてくるのです。

浅い入射角はアイアンとの相性も抜群
佐久間朱莉選手は縦の動きを取り入れることで入射角を確保し、ロフト角を立てながらダウンブローで打つため、重心の高いマッスルバックアイアンを使いこなしています。一方、笠選手は入射角が緩やかでハンドファーストも強くないため、打点がフェースの下部からセンターに集まります。そのため、低重心のアイアンとの相性が抜群なのです。自分のスウィングにマッチしたアイアンを使うことの大切さを、彼女のプレーが証明してくれました。
優勝会見では、38歳という年齢で今後のことを考え「早く優勝したかった」と胸の内を明かしました。難コースを制してシード権も獲得したことで、来年も力強いその姿を見せてくれることでしょう。
写真/姉崎正、中村修
