
マシュー・フィッツパトリック(写真は26年WMフェニックスオープン最終日、撮影/岩本芳弘)
こんにちは。SPORTSBOX AI 日本アンバサダーの北野達郎です。今回はPGAツアー「バルスパー選手権」で逆転優勝したマシュー・フィッツパトリックの後方からのドライバースウィングをスポーツボックスAIのデータと共に解説させていただきます。フィッツパトリックといえば、クイックなテンポのスウィングが特徴的ですが、今回は“バックスウィングはインサイドに上げて、ダウンはプレーン上にクラブが戻る”点を中心に着目して、アマチュアとの比較やドリルなども盛り込んで解説していきます。
バックスウィングはインサイドに上げて、ダウンはプレーン上にクラブが戻る
まずはバックスウィングとダウンスウィングを比較しましょう。フィッツパトリックで特徴的なのはバックスウィング(以下、P3・バックスウィングで左腕が地面と平行のポジション)で、両手とクラブがかなりインサイドの深いポジションに入ります。「Hand Thrust」(以下、両手の位置)は両手がアドレスの位置から前後にどれだけ移動したか?の距離を表します(マイナスは背中側へ、プラスはボール側へ。アドレスの位置を0とします)。
フィッツパトリックのP3での両手の位置はマイナス53.5cmで、ダウンスウィング(以下、P5・ダウンスウィングで左腕が地面と平行のポジション)での両手の位置はマイナス35.9cmです。

画像①バックスウィングとダウンスウィングの比較/両手とクラブはいずれもバックスウィングのほうがインサイドに入っている
スポーツボックスAIが独自で調査した、P3での両手の位置の海外男子ツアーレンジは、マイナス20.8cm〜マイナス33.5cmですので、フィッツパトリックはバックスウィングでかなり両手をインサイドに上げるタイプであることがわかります。
このインサイドに上がる傾向はクラブも同様です。「Shaft Angle DTL Vertical」(以下、クラブの角度)は、クラブが地面と垂直の角度を0度として、そこからクラブが背中側にどれだけ傾いているか?の角度を表します(マイナスの数字が大きいほどクラブの傾きが大きく、角度が小さければスティープ=鋭角、角度が大きければシャロー=鈍角と解釈できます)。
フィッツパトリックのP3はマイナス56度で、P5でマイナス44度と、クラブも両手の位置と同じくバックスウィングのほうがインサイドに上がっています。次は、「バックスウィングで手とクラブがインサイドに上がるのは悪ではないのか⁉ 」という点について解説していきましょう。
バックスウィングで両手とクラブがインサイドに上がるのは悪とは限らない
続いて、アマチュアのケース(画像左)とフィッツパトリック(画像右)を3Dアバターで比較してみましょう。「Club Hand Gap」は後方からの手とクラブヘッドの前後差を表します(マイナスはクラブヘッドが手より背中側へ、プラスはクラブヘッドが手よりボール側へ)。アマチュアのP6(ダウンスウィングでクラブが地面と平行の位置)での手とクラブの前後差はプラス5.9cmで、フィッツパトリックのP6(ダウンスウィングでクラブが地面と平行の位置)での手とクラブの前後差はマイナス12.1cmで、プラスとマイナスが正反対のデータになっています。
画像②アマチュア(左)とフィッツパトリック(右)の3Dアバター比較/手とクラブの前後差はプラスとマイナスで正反対だ
3Dアバターで両手とクラブの軌道を見ると、両者とも両手とクラブがバックスウィングよりダウンスウィングのほうが前に出るタイプで、バックスウィングがインサイドに上がる点も似ていますが、アマチュアがP6で両手よりクラブが前に下りるアウトサイドイン軌道になるのに対して、フィッツパトリックはP6で両手よりクラブがまだ後ろに残ってインサイドからクラブが下りています。
実は重要なのはこのP6での違いで、多くのレッスンで「バックスウィングをインサイドに上げると悪」とされる大きな要因は、「インサイドにバックスウィングすると、ダウンスウィングは反動で手とクラブが前に出た時にアウトサイドイン軌道になりやすいから」というのが最も大きな理由です。ですので、フィッツパトリックのようにバックスウィングで両手とクラブがインサイドに上がったとしても、ダウンスウィングからP6にかけてインサイドからクラブが下ろせるのであれば問題ありません。
クロスハンドで構えて、そのまま打つ。フィッツパトリックのアプローチを試してみよう!
そして、フィッツパトリックのもう1つの特徴と言えば、「クロスハンドグリップ」でのアプローチですが、このクロスハンドには先述の「手よりクラブがインから下りる」ポジションを作りやすい利点があります。理由は、クロスハンドに構える場合は「左腕からクラブまでを一直線に構えて、正面から見て小文字の『y』」のアドレスが望ましいですが、このアドレスの時点で既にクラブは手より後方にあるからです。
画像③アプローチ/フィッツパトリックのクロスハンドアプローチは、小文字の「y」の構えが望ましい
このクロスハンドで「小文字の『y』」のアドレスを取ると、「ハンドファースト」のアドレスになりますが、このアドレスを維持したまま体の回転でバックスウィングをすると、自然に「手よりクラブは後方=インサイド」へ上がります。そのポジションを維持したまま打てれば、ハンドファーストのインパクトも身につきます。
ですので、「バックスウィングがインサイドに上がる」傾向がある方は、無理に修正せずフィッツパトリックのように「クロスハンドの練習」を取り入れて武器に変える発想もお勧めです。
今回はマシュー・フィッツパトリックの後方からのスウィングを解説させて頂きました。前週の「ザ・プレーヤーズ選手権」での惜敗の翌週にリベンジを果たしたフィッツパトリック。マスターズでメジャー2勝目なるか⁉ 注目しましょう!


