名器再生! 14年前のアイアンを現代風にレストア
GD 今日の作業は、アイアンのリシャフトですか?
今井 フォーティーンの「TC530」をリシャフトします。
GD 「TC530」は2012年発売ですが、軟鉄鍛造のいわゆる1枚モノで、深い彫りのキャビティが特徴です。グースが効いていて安心感がありつつも、打感の良さは今のストロングロフト化したアイアンにはない魅力があります。
最新のシャフトと丁寧な調整を組み合わせれば、最新モデルを凌駕する武器になるかもしれません。7番が32度、PWが44度。まだまだスペック的にも通用します。
ちょっと待って! このヘッド、市販のモノとは少し雰囲気が違うような気がしますが……。
今井 以前このアイアンを使っていて、やっぱり「TC530がいいな」と思い、中古で買い直したそうです。リシャフトするにあたって「できるだけヘッドをきれいにできないか」と相談されたので、小傷をヤスリで取り、キャビティ部のロゴカラーを剥がしたら、(このアイアンに関しては)サンドブラストが良い味となり、「プロトタイプ」のような雰囲気になりました。

キャビティ内の刻印の色抜きのために塗料剥離剤「スケルトン」を塗ります。30分ほど放置し、拭き取ったところサンドブラストが良い味に変化(これは偶然の産物でした)

ソールの小傷を目立たなくするためにヤスリをかけました。やりすぎるとメッキが剥がれてしまうので、表面をサッとひと擦りする程度
GD 今から14年前のクラブという感じがまったくしません。むしろ新しい。
今井 元々、このアイアンには「NS950GH HT」という、ノーマルの「GH」よりも球が高く上がるシャフトが付いていましたが、今回は日本シャフトの「ゼロス8」のフレックス「S」にリシャフトします。
GD ゼロスシリーズは、振り心地の良さが評判のスチールです。ちょっとだけ飛び系のヘッドと「ゼロス8」の組み合わせは良さそうですね。使ってみたくなるアイアンです。
今井 今回は“番手ずらし”をして、Sをもう少しマイルド(ソフトステップ)にしていきます。「ゼロス8」にはSとRしか設定がないので、その中間を狙うには番手ずらしが有効です。これはプロでもよく使う裏技ですね。
GD 5番アイアンに4番用のシャフトを挿す、ということですよね?
今井 そうです。「ゼロス8」は番手別設計なので長さは異なりますが、重量は同じです。5番用のシャフトをそのまま使うより、4番用を流用してカットする量を増やせば、結果的にシャフト重量は軽くなります。カット前の振動数を比べると、4番用シャフトに5番のヘッドを付けた場合は269cpm、5番用をそのまま付けると276cpm。その差は7cpmで、感覚的には「SR」寄りの仕上がりになります。
GD 逆に5番のヘッドに6番用のシャフトを挿すと?
今井 カット量が少なくなるので重量は重くなり、フレックスは硬く感じます。「Sだと物足りないけれど、Xではハードすぎる」といった場合に、下の番手用を上のヘッドに挿す調整(ハードステップ)を行います。
GD SR設定がないアイアンでも、番手ずらしが解決策になるわけですね。
今井 ヘッドとシャフトを組み上げていきますが、問題はバランスです。今回はPWが重かったので、そこに基準を合わせていきます。ただ、軽量シャフトでバランスを重くしすぎるとシャフトが負けてしまうため、PWの「C9」に合わせて整えます。

アイアンの組み上げで大事なのはバランス調整です。軽量シャフトの場合、「Cバランス」に留めることをおすすめしています
GD ネック内に錘(おもり)を加えて調整するのですか?
今井 「TC530」は特殊な設計で、通常0.5インチ刻みの番手間が0.55インチとなっています。上の番手ほどヘッドが軽くなるため、ネック内の錘を重心に影響が出ない範囲(最大4グラム)で調整しても、5番は「C7.5」、6〜8番が「C8.5」、9番とPWが「C9」というセッティングになります。

狙ったバランスを出すためにホーゼル内に錘(おもり)を入れます。重心に影響を与えないよう「最大4グラムまで」としますが、市販品には10グラム以上の錘が入っていることがあります
GD セット内でバランスがフローしてしまうのですね。
今井 6、7、8番の「C8.5」は許容範囲ですが、5番の「C7.5」は軽すぎるので、外付けの鉛で微調整が必要になりそうです。
GD バランスが軽すぎるデメリットは何でしょうか?
今井 ひと言で言えば「飛ばなくなる」ということです。ボールを前に押し出すには、ある程度の重さというエネルギーが必要です。バランスが軽すぎると球は上がりますが、前に進む力が弱まってしまうんです。
GD グリップはゴルフプライドの「ツアー360」ですね。今はこれが人気ですか?
今井 グリップは好みで良いと思いますが、軽すぎるものはお勧めしません。ゴルフクラブは「ツアーベルベット」の重量を基準に設計されている側面があるため、一般男性なら50グラムはほしいところです。
GD グリップの重さもバランスに影響しますよね。
今井 はい。今回は、バランスが出にくい5番と6番には、あえて1グラム軽い個体を選別して装着し、バランスを稼いでいます。
GD 重量公差を逆手に取るわけですね。
今井 最近は減りましたが、それでも±1グラムの公差はあります。たった1グラムですが、バランス調整には大きく貢献してくれます。逆にバランスを落としたいときは、重めのグリップを使い、装着用の両面テープのエンド側を通常より長く巻くことで、手元側に重さを集中させることができます。

グリップは1本ずつ重量を測ります。バランスを出すには軽め、落とすには重め。公差を利用してバランスを整えていきます
GD 一種のカウンターバランス効果ですね。
今井 ほんの少しの工夫ですが、積み重なると大きな効果を生みます。
GD 14年前のアイアンを現代風に蘇らせるリシャフトでしたが、番手ずらしから1グラム単位のグリップ選別まで、実に緻密な作業でした。
今井 ゴルフクラブは何らかの課題を抱えていることが多いものです。本来の性能を引き出し、納得のいくクラブを使いたい方は、ぜひご相談ください。

リシャフト、クラブの組み換え作業を行う際は、ライ、ロフトをしっかり調整してお戻しします
【ツアークオリティのクラブ工房からのお知らせ!】
ツアークオリティのクラブ工房(ゴルファーズラウンジby tantanto.)では、リシャフトキャンペーンを実施しています。なにかと敷居の高さを感じる「クラブ工房」ですが、お気軽にお問合せください。
■アイアンのリシャフト「サブロク・キャンペーン」/36000円(アイアン6本、税込み)
※アイアン1本からリシャフトを承ります。料金に含まれるもの。シャフト代、組み直し作業、長さ、ライ角、ロフト、バランスなどの各種調整。
※グリップ代は別途。再利用可能な場合は、キャンペーン対応といたします(無料)。「希望するシャフト銘柄」によって料金が異なる場合があります。
■フィッティング料金/5000円(40分、税込み)
※「キャンペーン」ご利用者限定の「特別料金」となっています。フィッティング後、商品発注となるため、作業日は別日とさせていただきます。
■場所/東京都港区赤坂2-13-18コリンズ33 B1F(バーディ赤坂24内)
※郵送(送料別)での対応もさせていただきます。「作業立ち合い」をご希望の方は、作業日時のご予約をお願いします。
■問い合わせ/ゴルファーズラウンジby tantanto.






