
パッティングのコツをつかんだ稲葉千乃
カモシカがコースに乱入

葛城GC山名C9番グリーン横を駆け抜けるカモシカ
稲葉が前半9番パー4の3打目をグリーンオンした直後、グリーン右から動物が横切った。「イノシシ? いや、シカやん!」と驚いたものの、正体はカモシカだった。ちょうどこの日、大阪で捕獲されて「シカやん」と命名された話題のシカではなかったが、葛城GCではカモシカがよく目撃されるという。この突然の乱入に、「最終ホールで、ギャラリーやみんながずっと見ていて私も驚きました」と振り返る。動じることなくそのホールをボギーでしのぎ、後半はパープレーでまとめた。
前半3連続バーディを奪うなど、ショットとパットの両方でこの1年の上達を実感している。転機となったのは昨年6月の日本女子アマと、11月のプロテストだった。「去年の女子アマは、腰をやってしまって。そこから体作りやトレーニングを本格的に始めました」と明かす。女子アマは2日目2位から20位まで順位を落とし、プロテストは2日目6位から3日目にまた腰を痛め「81」を叩き、合格のチャンスを失っていた。
腰痛を克服するために肉体改造に着手し、ケガをしない体作りに励んだ。
「走るのが1番いいとトレーナーさんに教えてもらったので、走り込みをしたり、ウェイトは週1回するようにしています」
パッティングのコツは「シャフトをストロークする」

パッティングのコツは「シャフトをストロークする」だ
また、課題であったパッティング改善のため、最終プロテスト前から地元三重県の自宅から近い愛知県あま市にある「モアライズ」(代表・千葉和人氏)のショールームに通うようになった。そこで千葉氏から学んだのは「シャフトをストロークする」だった。パッティングはヘッドをストロークするものと考えていたが、シャフトの動きをイメージすることでヘッドの動きがスムーズになったという。
同施設は、室内のレーザーシステムでストロークや構え方を学ぶことができる。「東海ジュニアが集うショールーム」として、ジュニアゴルファーから若手プロゴルファーまでガチ勢が本気で練習していると人気らしい。レーザーでターゲットラインなどが視覚化され、アドレスのラインを意識しやすくなったという。

「シャフトをストロークする」練習器具。ホームセンターの材料を使って母が作ったモノ。棒に沿ってシャフトを真っすぐ動かす練習だ
「立ち方の練習もしてるんですけど、手打ちになってパンチが入ることもなくなり、タッチが良くなりました。シャフトを動かすイメージとラインに対する構えが良くなりパッティングに自信を持てるようになりました」とその効果を実感している。
トレーニングによる飛距離アップで2打目は短い番手で打てるようになり、パッティングも決まるようになった。
「ロングアイアンでは、どうしてもボールが止まりにくいですけど、それがミドルアイアンだったりショートアイアン、ピッチング……など、短い番手で打てるとピンをしっかり狙っていけるので、バーディチャンスが増えたと思います」とプレースタイルの変化を語る。
今大会でも、強風でプロも苦しんだ初日を進化したパッティングで4オーバーで耐えしのぎ、2日目は最終18番のパー5でバーディフィニッシュを決めるなど、1つスコアを伸ばした。
「18番のロングのティーショットも(落下地点に)少し下り傾斜があって飛ぶんですけど、飛距離が伸びた分、セカンドも突っ込んでいけるので、サードもウェッジで攻められました」と、残り80ヤードからの3打目を1メートルにつけた。
「トレーニングによって自分の中で体が変わってきてるなっていうのを感じますし、後半、微妙なパーパットを決められるようになったのは、去年の自分と比べたら大きな成長だと思います」と手応えを口にする。
今年の目標は日本女子アマ制覇とプロテスト合格。「レギュラーツアーの出場予定はないんですけど、5月のステップ・アップ・ツアーの予選会に出たり、推薦がもらえれば出たいです」とプロとアマの試合で経験を積みたいという。決勝ラウンドでは、成長したショットとパットで、上位進出を目指す。
